部下が伸び悩んでいると感じたとき、上司が先に変わるべき理由 大塚寿『職場活性化の「すごい!」手法』

「あの部下は能力的に限界かもしれない」「何度指導しても変わらない」──こんなふうに感じたことはありませんか?昇進して管理職になったばかりの頃、多くの人が直面するのが、部下の育成という壁です。指摘しても改善しない、任せても期待通りの結果が出ない。そのうち「この人はこういう人なのだろう」と、どこかで線を引いてしまう。

しかし、大塚寿氏は著書の中でこの見方を根本から覆します。部下が伸び悩んでいる本当の原因は、部下側ではなくマネジメント側にある場合が多い、というのです。部下の可能性を「発見する力」を持てるかどうか。それが、チームの成長を決定づける最大の変数だと著者は断言します。

この記事では、大塚氏が提唱するポジティブ・イリュージョンという考え方を軸に、部下の潜在能力を引き出す具体的なアプローチをお伝えします。難しい理論ではありません。上司の「見方」を少し変えるだけで、チームのダイナミクスが変わり始めるのです。

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管理職のOSは「発見力」である

大塚氏は本書の中で、マネジメントの根幹となる考え方を「発見力」という言葉で表現しています。部下の欠点を探して指摘し続けるのではなく、まだ顕在化していない強みや可能性を発見し、そこに光を当てることこそが上司の本来の役割だ、という主張です。

多くの管理職は昇進直後、部下の「できていないこと」が目につきやすくなります。責任が増えるほど、ミスへの感度が上がるからです。しかしその視点で部下を見続けると、部下は評価されていないと感じ、萎縮してしまいます。萎縮した部下は挑戦を避け、結果的にさらに成長しにくくなる。この悪循環が、多くのチームで静かに進行しています。

発見力とは、一言で言えば強みを先に見る習慣です。あの部下はここが弱い、ではなく、あの部下はここに光る素質がある、という視点から関わり始めることで、上司と部下の間に流れる空気が変わります。これは精神論ではなく、心理学的に裏付けられたマネジメント戦略です。

ポジティブ・イリュージョンが人を動かす

大塚氏が提唱するポジティブ・イリュージョンとは、部下の未来の姿に対して意図的に肯定的な幻想を抱き、それを前提としてマネジメントに組み込む手法です。君ならこの壁を乗り越えられる、という圧倒的な信頼を上司が先に持つことで、部下自身の内側にあるやる気の火が点くというメカニズムです。

これは単なる励ましとは異なります。ポイントは「意図的に」という部分です。根拠がなくても、まだ実績がなくても、上司が先に可能性を信じる。そのスタンスが、部下の行動を変えていきます。

教育心理学の世界では、これに近い現象がピグマリオン効果として知られています。教師が生徒に対して高い期待を持って接すると、実際に成績が向上するという実験結果があります。同じことが職場でも起きます。
上司の期待は、部下のパフォーマンスに影響を与えます。
問題は、多くの管理職がこの影響力を無意識にマイナスの方向で使ってしまっていることです。

自己効力感を高める関わり方

部下の成長を左右する要因として、自己効力感という概念があります。やればできる、という感覚のことです。この感覚が高い人は困難にぶつかっても粘り強く取り組みますが、低い人は少しの壁で諦めてしまいます。

自己効力感は生まれつきの資質ではなく、環境と関わり方によって大きく変化します。上司の言葉と態度は、部下の自己効力感に直接影響を与える最大の環境要因の一つです。日々の小さな声かけの積み重ねが、部下の内側で起きていることを静かに変えていくのです。

具体的にどう変えるか。まず、部下の行動ではなく、成長のプロセスを言語化することです。うまくいったかどうかだけを評価するのではなく、前回よりここが変わった、この場面での判断が良かった、という過程への声かけが自己効力感を育てます。成果より成長を見る目を持つことが、発見力の実践につながります。

部下の壁は、実は成長のサインである

部下が伸び悩んでいる状態には、実は二種類あります。一つは本当に方向性がずれているケースで、もう一つは成長の過程で一時的に壁にぶつかっているケースです。多くの場合、管理職が限界と感じているのは後者です。

大塚氏は本書で、今の壁は成長の証である、という視点を繰り返し提示しています。新しいことに挑戦した人間だけが壁にぶつかる。壁のない人間は、そもそも挑戦していないだけです。この見方ができると、部下の停滞が違って見えてきます。

ここで有効なのがポジティブ・イリュージョンです。壁にぶつかっている部下に対して、これは成長の痛みだと上司が先に確信を持って語りかける。論理的な根拠がなくても、その言葉は部下の背中を押す力を持ちます。信頼されているという感覚は、困難を乗り越える燃料になるからです。

家庭での子育てにも通じる発見力

発見力という視点は、職場だけでなく家庭の子育てにも深くつながります。子どもができていないことを指摘し続ける親と、できていることを先に見つけて言葉にする親では、子どもの自信の育ち方が変わります。

中学生や小学生の子どもに対して、なぜこんなこともできないのか、ではなく、ここは前よりうまくなったな、という視点を持てるかどうか。管理職として発見力を鍛えることは、家族との関係を豊かにする練習にもなります。職場と家庭はつながっています。一方で磨いたスキルは、もう一方でも必ず活きてきます。

見方が変わると、チームが動き出す

部下が伸び悩んでいると感じたとき、最初に疑うべきは部下の能力ではなく、自分のマネジメントの視点です。大塚氏の言葉を借りれば、発見力を持てているかどうか。可能性を先に信じる姿勢を取れているかどうか。ポジティブ・イリュージョンを意図的に使えているかどうか。

これらは生まれ持った才能ではなく、意識と習慣の問題です。明日の朝、一人の部下に対して、できていないことではなく光っている部分を一つ見つけて声をかけてみてください。たった一言の変化が、その部下の一日を変えるかもしれません。そしてその積み重ねが、チーム全体を変えていくのです。

上司の視点が変われば、部下が変わります。部下が変われば、チームが動き出します。職場活性化の処方箋は、遠いところにあるのではなく、自分の見方の中にあるのです。

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NR書評猫1225 大塚寿 職場活性化の「すごい!」手法

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