英語も会計も「二番手」だった 荘司雅彦『法律力養成講座』が明かす最強ビジネススキルの正体

「英語ができれば出世できる」「会計を学べばビジネスが変わる」――そう信じて、隙間時間をTOEICの勉強に使い、簿記の参考書を買い込んだ経験はありませんか?

40代の中間管理職であれば、部下の指導に追われながらも自分を磨く時間を捻出しようと、さまざまなスキルアップに取り組んできたことでしょう。ところが、長年培ってきたその努力の方向性を根本から問い直す一冊があります。元野村證券マンにして現役弁護士、荘司雅彦氏の『六法で身につける 荘司雅彦の法律力養成講座』です。

著者が本書で主張することは、実にシンプルかつ大胆です。「英語でも会計でもなく、法律力こそがすべてのビジネスパーソンに必須の最強スキルである」――この一文が、あなたのキャリア戦略を、そして部下との信頼関係を再構築するヒントになるかもしれません。

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「英語が流暢でも、契約書が読めなければ致命傷になる」という現実

英語力に対する過大な期待について、著者は冷静に釘を刺します。英語はあくまでコミュニケーションを円滑にするツールに過ぎません。語るべき専門的な中身が伴わなければ意味がない、というのが著者の一貫した立場です。

たとえば、外資系企業とのビジネスで英文契約書を取り交わす場面を想像してみてください。流暢な英語で会話が弾んだとしても、契約書に盛り込まれた「期限の利益の喪失条項」や「損害賠償額の予定」といった条項の法的な意味を理解していなければ、署名の瞬間に会社へ甚大なリスクを背負い込む可能性があります。英語力はその場の会話を成立させるかもしれませんが、法的知識がなければ内容の正当性を判断する術がないのです。

IT業界の中間管理職であれば、ベンダーとのシステム開発委託契約、クラウドサービスの利用規約、あるいは部下が結んだ業務委託契約のレビューなど、法律が顔を出す場面は毎週のように訪れているはずです。そのたびに「法務部に投げればいい」と思っていませんか? 実はそこに、あなたの存在感を高める大きな機会が隠れています。

会計知識より「法律力」が普遍的に役立つ理由

著者が次に槍玉に挙げるのは、会計の過大評価です。確かに財務諸表が読めることは重要ですが、それを日常業務でフル活用できる部署は限られているという現実があります。

経理部や財務部であれば会計知識は不可欠でしょう。しかし、営業部門や開発部門、あるいはプロジェクトマネジメントを担うITの中間管理職にとって、損益計算書を深く読み込む機会は、実際にはそれほど多くありません。もちろん予算管理や数値報告の場面では役立ちますが、それは「ツールとしての会計知識」にとどまります。

一方、法律はどうでしょうか。新しいプロジェクトを立ち上げるとき、部下が取引先とトラブルになったとき、社内のハラスメント問題に向き合うとき、退職を申し出た社員との交渉が必要なとき――あらゆる場面で、法律の基本的な知識があるかどうかが判断の質を左右します。著者の言葉を借りれば、法律とは「ビジネスのあらゆる局面に不可避的に登場する、普遍的な基盤」なのです。

「法律力」とは条文の暗記ではなく、思考回路のことだ

ここで誤解しないでほしいのは、著者が求める「法律力」が六法全書の丸暗記を意味するわけではないという点です。本書が定義する法律力とは、二つの力が融合したものです。

一つ目は「法的思考力」、つまりリーガル・マインドです。未知の事態に遭遇したとき、感情や直感に流されず、論理的な道筋を立てて問題を整理する力といえます。二つ目は「法解釈力」、すなわち抽象的なルールを具体的な事案に当てはめる力です。この二つが合わさることで、「自分で考え、自分で判断する」という中間管理職本来の役割をより高い次元で果たせるようになります。

部下から対応策を問われたとき、法務に丸投げするのではなく、問題の構造を瞬時に整理して的確な方向性を示せる上司になれたら、部下からの信頼は格段に変わるでしょう。法律力は、まさにそのための思考の筋肉を鍛えるものです。

法務部以外の人間こそ、法律力が「最強の武器」になる

著者は野村證券での苛烈なビジネス経験を経て、働きながら司法試験に合格した異色の弁護士です。その実体験から断言します。法律の知識を持っているのが「法務部だけ」という会社では、現場の判断スピードが致命的に落ちると。

IT企業の中間管理職という立場で考えてみましょう。ベンダーとの納期交渉が難航したとき、契約書の「瑕疵担保責任」の条項を理解していれば、どこまで主張できるかが自分で判断できます。部下が取引先からクレームを受けたとき、不法行為の基本的な要件を知っていれば、過剰に謝罪する必要がある場面なのかどうかを冷静に見極められます。

これは単なる法律知識を持っているという話ではありません。現場で即断即決できるリーダーとしての信頼性が、法律力によって裏打ちされるということです。英語力や会計知識も大切ですが、それらは特定の場面でのみ輝くスキルです。法律力は、あらゆる場面でリスクを見抜き、正しい判断を下すための基盤インフラとして機能します。

「知らなかった」では通らない社会で、法律力は自分を守る盾になる

ビジネスにおける怖さの一つは、法律は「知らなかった」という言い訳が通用しないことです。部下が善意でやった業務が、結果として下請法違反になっていた。あるいは自分の指示が、意図せず労働基準法に抵触していた――そうした事態は、法律の基礎知識があれば事前に回避できるものがほとんどです。

著者は、法律を「最強の盾と矛」と表現します。自社の権利を守るための矛であり、不当なリスクから身を守るための盾であるということです。この比喩が秀逸なのは、攻守両方の機能を兼ね備えているという点です。

家庭でも同じことがいえます。住宅ローンの繰り上げ返済の条件、子どもの塾との契約トラブル、あるいは近隣との境界線問題――日常生活のあちこちに法律は潜んでいます。法律力を持つことは、会社での判断力を高めるだけでなく、家族を守る力にも直結しているのです。

「1ヶ月で民法の全体像が掴める」と著者が断言する根拠

本書が単なる理論書にとどまらない理由は、著者自身の体験と実務に根ざした方法論にあります。野村證券時代に培った圧倒的なビジネス経験と、働きながら司法試験を突破したノウハウが凝縮されており、「わずか1ヶ月で民法の全体像を把握できる」という主張には確かな根拠があります。

その鍵となるのが「条文の主語」「条文の目的」「条文の背景・要件」という3つのキーワードを使った構造的な読み解きのアプローチです。1000条を超える民法を前にして途方に暮れるのではなく、このフレームワークを使って体系的に整理していく手法は、初学者であっても迷子にならずに学習を進められる強力な地図となります。

法律の素人が挫折するのは、難しいからではなく、全体像が見えないからです。著者は、その「見えなさ」を解消する補助線を惜しみなく提供しています。忙しい中間管理職でも、通勤時間や昼休みを活用して、着実に法律力を積み上げていける構成になっているのが本書の大きな魅力です。

法律を学ぶことは、決して法務部門の専門家だけに許された特権ではありません。それは、ビジネスという戦場で戦うすべての人に開かれた、最強の自己投資です。部下からの信頼を勝ち取りたい、プレゼンや交渉でもっと自信を持って発言したい――そう感じているなら、本書はその願いに応える確かな一冊となるでしょう。

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NR書評猫1228 荘司雅彦 六法で身につける 荘司雅彦の法律力養成講座

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