所有している物件に空室が出たとき、管理会社に相談してもいつも同じアドバイスばかりではありませんか?「家賃を下げましょう」「リフォームしましょう」「ペット可にしましょう」…しかし、本当にそれだけで空室は埋まるのでしょうか。大友哲哉氏の『20ステップで空室が満室になる空室対策の手順書』が示すのは、大家自身が主導権を握り、低コストで実践できる具体的な戦略です。本書の中でも特に注目すべきは、大家主導のマーケティング戦略で管理会社任せの姿勢を打破する方法です。今回は、物件の魅力を最大限に引き出し、入居希望者に選ばれるための実践的なアプローチをご紹介します。
管理会社任せが空室を生む理由
多くの大家さんが管理会社に物件管理を委託しています。しかし、管理会社は複数の物件を抱えており、あなたの物件だけに集中できるわけではありません。管理会社にとって、どの物件も数ある案件の一つに過ぎないのです。
その結果、広告の更新が遅れたり、募集条件が時代に合わなくなったり、物件の魅力が十分に伝わらない広告になったりします。管理会社は悪くありませんが、オーナー自身が物件の良さを一番よく知っているのも事実です。
大友氏は本書で、管理会社に任せきりにするのではなく、大家自身が積極的にマーケティング活動を行うことの重要性を説いています。あなたの物件を一番愛しているのは、他でもないあなた自身なのです。
複数のポータルサイトに自ら掲載する
本書が推奨する重要な戦略の一つが、複数の不動産ポータルサイトへの物件掲載です。SUUMO、HOME’S、アットホームなど、主要なポータルサイト3社以上に情報を載せることで、より多くの入居希望者の目に触れる機会を増やせます。
物件情報の更新は大家自身で行うことで、最新の状態を保てます。管理会社経由だと更新に時間がかかったり、伝えたい魅力が十分に反映されなかったりすることがあります。自分で掲載作業を行えば、物件の良さを最大限にアピールできるのです。
掲載する写真も重要です。暗くて寒々しい写真では、どんなに良い物件でも魅力が伝わりません。明るい時間帯に撮影し、部屋をできるだけ広く見せる工夫をしましょう。可能であれば、プロのカメラマンに依頼するのも一つの手です。
物件のステージングで写真映えを実現
ステージングとは、家具や小物を一時的に配置して、生活感のある魅力的な空間を演出する手法です。空っぽの部屋よりも、家具が配置された部屋の方が、入居後の生活をイメージしやすくなります。
大友氏は本書で、部屋をモデルルームのようにステージングし、プロ並みの写真を撮影することを推奨しています。実際に家具を購入する必要はありません。家具のレンタルサービスを利用したり、自宅にあるものを一時的に持ち込んだりする方法もあります。
写真の質が成約率を大きく左右します。ネット検索で最初に目にするのは写真ですから、ここで興味を持ってもらえなければ内見にすらつながりません。少しの手間と工夫で、物件の印象は劇的に変わるのです。
仲介業者まわりで物件を売り込む
ネット広告だけでなく、実際の仲介業者との関係構築も重要です。本書では、近隣エリアの賃貸仲介会社を少なくとも7社リストアップし、各社に3回以上足を運んで物件を売り込むことを目標としています。
なぜ足を運ぶことが重要なのでしょうか。メールやFAXだけでは、数ある物件の中に埋もれてしまいます。しかし、直接訪問して顔を合わせることで、仲介担当者の記憶に残ります。あなたの熱意が伝われば、優先的に紹介してもらえる可能性が高まります。
訪問時には、物件の魅力を簡潔にまとめた資料を持参しましょう。周辺環境の良さ、設備の充実度、特別な条件など、他の物件との差別化ポイントを明確に伝えることが大切です。仲介担当者があなたの物件を顧客に紹介しやすくなります。
独自の募集ルートを確立する
さらに上級者向けの戦略として、物件専用のホームページやSNSアカウントの開設があります。Facebook、Instagram、Twitterなどで物件情報を発信することで、仲介業者を介さない直接の入居者募集も可能になります。
物件のホームページを作れば、より詳細な情報を掲載できます。周辺環境の魅力、交通アクセス、生活に便利な施設など、ポータルサイトでは伝えきれない情報を盛り込めます。また、360度写真や動画を使えば、より臨場感のある物件紹介が可能です。
SNSでの情報発信は、費用もほとんどかかりません。定期的に物件の魅力や周辺情報を投稿することで、フォロワーが増えていきます。口コミで情報が広がれば、思わぬところから入居希望者が現れることもあります。
物件の魅力を言語化して伝える力
大家自身がマーケティングを行う際に重要なのが、物件の魅力を言語化する力です。「きれいな物件です」「便利な立地です」といった抽象的な表現では、他の物件との違いが伝わりません。
具体的に伝えましょう。「駅から徒歩5分、コンビニ・スーパーが徒歩圏内で仕事帰りの買い物に便利」「南向きで日当たり良好、洗濯物が良く乾きます」「最近導入した宅配ボックスで、不在時も荷物を受け取れます」といった具合です。
入居希望者の立場に立って考えることが大切です。どんな人がこの物件に住むのか、その人にとってどんな点が魅力になるのかを考え、それを言葉にしていきましょう。20代の単身者、30代のカップル、ファミリー層など、ターゲットによって訴求ポイントは変わります。
入居者の声を活用する
すでに入居している方がいる場合、その方々からの声を活用するのも効果的です。「この物件のどこが気に入っていますか?」とアンケートを取り、その結果を広告に反映させましょう。
実際の入居者の生の声は、信頼性が高く説得力があります。「静かで住みやすい」「大家さんが親切」「設備が充実していて快適」といったコメントは、物件を検討している人にとって貴重な判断材料になります。
退去者にもアンケートを取ることで、改善点が見えてきます。「もう少しここが良ければ住み続けたのに」という声があれば、それは次の空室対策のヒントです。入居者の声を丁寧に聞くことで、物件はどんどん良くなっていきます。
情報更新の頻度を上げる
ポータルサイトや自社サイトの情報は、定期的に更新しましょう。不動産ポータルサイトでは、更新された物件が検索結果の上位に表示されやすくなります。内容が変わらなくても、写真を入れ替えたり、説明文を少し書き換えたりするだけで更新扱いになります。
特に繁忙期である1月から3月は、週に1回以上の更新が理想的です。この時期は入居希望者が多く、常に新しい情報を求めています。更新頻度を上げることで、より多くの人の目に触れる機会が増えます。
SNSでの情報発信も同様です。定期的に投稿することで、フォロワーとのつながりを維持できます。物件情報だけでなく、周辺のイベント情報や季節の話題なども織り交ぜると、親しみやすいアカウントになります。
データ分析で効果を測定する
マーケティング活動を行ったら、その効果を測定することも忘れずに。ポータルサイトのアクセス数、問い合わせ件数、内見数などを記録し、どの施策が効果的だったかを分析しましょう。
例えば、写真を変更した後にアクセス数が増えたのであれば、その写真の方向性が正しかったことがわかります。逆に、特定の広告媒体からの反響が少なければ、そこへの投資は見直すべきかもしれません。
データに基づいた改善を繰り返すことで、マーケティングの精度が上がっていきます。最初から完璧を目指す必要はありません。小さな改善を積み重ねることで、確実に成果は出てきます。
大家自身が動くことで生まれる差別化
管理会社に任せきりにしている大家さんが多い中、自ら積極的に動く大家さんは目立ちます。仲介業者も「この大家さんは熱心だな」と感じ、物件を優先的に紹介してくれる可能性が高まります。
また、入居希望者にとっても、大家さんが直接コミュニケーションを取ってくれることは安心材料になります。「何かあったときに相談しやすい」「丁寧に対応してくれそう」という印象を与えられます。
大家自身が動くことで、物件に付加価値が生まれます。同じ条件の物件が並んでいたとき、大家さんの顔が見えて熱心な物件の方が選ばれやすくなるのは当然のことです。
継続的な関係構築が鍵
空室が埋まったら終わりではありません。仲介業者との関係は、将来の空室対策のためにも継続して維持しましょう。定期的に挨拶に行ったり、季節の挨拶を送ったりすることで、良好な関係が続きます。
次に空室が出たときも、「あの大家さんの物件なら安心して紹介できる」と思ってもらえます。信頼関係が築けていれば、優先的に物件を紹介してもらえるでしょう。
入居者との関係構築も同様です。定期的にコミュニケーションを取り、満足度を高めることで、長期入居につながります。空室を埋めることと同じくらい、退去を防ぐことも重要なのです。
今日からできる第一歩
管理会社任せから脱却するために、今日からできることがあります。まずは、自分の物件が現在どのように広告されているかを確認しましょう。ポータルサイトでの掲載内容、写真の質、説明文の充実度などをチェックしてください。
改善点が見つかったら、管理会社に連絡して修正を依頼するか、自分で掲載内容を更新しましょう。そして、近隣の仲介業者をリストアップし、実際に訪問する計画を立ててください。
大友哲哉氏の『20ステップで空室が満室になる空室対策の手順書』は、こうした具体的なアクションプランを段階的に示してくれる実践的なガイドブックです。管理会社任せでは実現できない満室経営を目指すなら、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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