変化の激しい時代、あなたは日本の未来に不安を感じていませんか?AIやデジタル技術の波が押し寄せる中で、日本は本当に生き残れるのでしょうか。安宅和人氏の著書『シン・ニホン』は、データとAIが創る日本の未来像を鮮やかに描き出し、私たちに行動を促す一冊です。本書は単なる未来予測ではなく、今この瞬間から何をすべきかを具体的に示してくれます。今回は特に、日本が置かれている現状と、そこからどう抜け出すべきかについて、本書の洞察を紹介します。
AI時代の到来と日本の立ち位置
2016年10月、囲碁の世界棋士イ・セドルとAlphaGoの戦いは、AI時代の本格的な幕開けを象徴する出来事でした。4勝1敗でイ・セドルが敗れたというニュースは、多くの人々に衝撃を与えました。
この出来事が示しているのは、AIが人間を超える領域が確実に広がっているという事実です。ローマ時代から産業革命の間では、せいぜい2倍程度にしかならなかった生産性が、産業革命から現代までの200年で50倍から100倍だという驚異的な成長を遂げています。
そして今、データがもたらす革命はさらなるジャンプがあると考えるのが妥当だと安宅氏は指摘します。データについては、ホモ・デウスなどでも革命として扱われており、その重要性は疑いようがありません。
GAFAに圧倒される日本の現実
現代のデジタル経済を牽引しているのは、言うまでもなくGAFAと呼ばれる巨大IT企業です。これらの企業は、単に優れたサービスを提供するだけでなく、国家インフラとしても機能しています。
日本の鉄道や家電といった領域で他国を圧倒してきた時代もありました。ペリー提督の黒船来航が1853年ですが、それまで米国と鎖国で生き立てていた日本人は、あっという間の明治維新に向かい、世界大戦を経てボロボロになりながらも圧倒的なスピードで世界一になったわけです。
しかし、1700年から1800年代はこのフェーズで勝てましたが、今のIT時代では辛酸をなめている状況です。発明や発見の時刻表の精緻さもすごいところですが、それからウォークマンは音楽を持ち運ぶというライフスタイルを発明し、既存の概念から解き放ちました。
ゲームだってすごいわけです。これはビジネス領域でのエコシステム構築とも言えますし、本体があってカセットはメーカーが生産するという、今のプラットフォームの概念に通じるものがあります。
日本が抱える構造的な課題
安宅氏は本書で、世界とこの国の現状の苦しさを冷静に見つめ、単なる悲観論を逃げ出だと喝破し、未来を自ら目指し創るために行動を続けています。
日本が抱える課題として、特に深刻なのが人材と予算の不足です。日本の科学技術の予算が削られていることがわかります。日本の科学技術の予算は圧倒的に不足しており、主要国で唯一、博士号の取得にまとまった費用がかかる国だという指摘は重要です。
米国の主要大学と大きな差を生んでいる収入は投資からの運用益であることを踏まえ、著者は本書で国家レベルの基金システムの設立を提案しました。理想を語っても現実は変わらないと思っている人もいるかもしれませんが、しかし、本書の刊行後の2020年12月、10兆円規模を目指す大学ファンド設置が盛り込まれた緊急経済対策が閣議決定されたのです。
さらに、未来を創るを体現しています。
女性の高等教育と生産性の関係
安宅氏が指摘する興味深いポイントのひとつが、女性の時間を仕事に回すことでも生産性は高まるという視点です。これは過去の価値観をギュッと引き絞って、女性の高等教育機関の女性比率が少ないということも影響しています。
ハーバード大学では50パーセントらしいのですが、東大は17パーセント程度にとどまっています。この数字の差は、日本社会が持つ構造的な問題を浮き彫りにしています。
女性の能力を十分に活かせていない現状は、国全体の生産性を押し下げる要因となっており、ダイバーシティの推進が単なる倫理的な課題ではなく、経済成長のための重要な戦略であることを示しています。
データとAI時代に求められる人材育成
日本の教育の在り方についても、安宅氏は鋭い指摘をしています。教育の再配分が書かれていますが、本質が全然変わらないという批判です。
そして大学に進学したものの、目的もなく過ごし、何のために高い学費を払ったのか分からないという学生も多いと思います。確かにそうですが、なんとなく、大学に行くという世間体を気にしたいなものですよね。そして社会人になって、あのときちゃんとやっておけばと後悔するんですから。
教育システムの抜本的な改革なくして、AI時代に対応できる人材を育成することは困難です。単に知識を詰め込むのではなく、問題解決能力や創造性を育む教育へのシフトが急務となっています。
今こそ行動を起こすとき
安宅氏のメッセージは、現状を嘆くだけではなく、第二波、第三波で勝つしかない、勝てるはずというものです。産業革命を3段階に分解して、データ時代に当てはめて読明されています。
現状は完成していることをまずは認め、第二波、第三波のフェーズで勝つしかないと仰っています。悲観論を逃げ出だと喝破し、未来を自ら目指し創るために行動を続けることの重要性を説いているのです。
日本にはまだ多くの可能性が残されています。技術力、勤勉さ、細やかさといった強みを活かしながら、新しい時代に適応していく柔軟性を持つことができれば、必ず道は開けるはずです。
一人ひとりができること
『シン・ニホン』が示すのは、国家レベルの大きな変革だけではありません。一人ひとりのビジネスパーソンができることも数多くあります。
自分のスキルをアップデートし続けること、新しい技術やトレンドに目を向けること、そして何より、未来を創造する当事者としての意識を持つことです。特にIT業界で働く中間管理職の方々にとって、部下を育成し、組織を変革していくリーダーシップが求められています。
安宅氏が本書で繰り返し強調しているのは、理論と実践の両立です。単なる知識の習得ではなく、それを実際の行動に移すことこそが、日本の未来を切り開く鍵となるのです。
『シン・ニホン』は、日本の未来に対する希望と具体的な行動指針を与えてくれる貴重な一冊です。データとAIが創る新しい時代において、私たち一人ひとりが何をすべきか、そのヒントがこの本には詰まっています。ぜひ手に取って、あなた自身の行動を見つめ直すきっかけにしてください。

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