あなたは知っていますか?台風や豪雨のたびに繰り返される都市型水害、深刻化する気候変動、エネルギー問題。これらの地球規模の課題に、日本の研究者や技術者たちが画期的な解決策を生み出しているのです。テレビ東京の人気番組「橋本幸治の理系通信」でおなじみの橋本幸治氏が初めて著した『未来を見通すビジネス教養 日本のすごい先端科学技術』には、まさに世界の常識を変えうる日本発の先端技術が満載です。本書の第3章で紹介される人類的課題への挑戦技術は、ビジネスパーソンとして知っておくべき重要な教養といえるでしょう。
雨水を地面が飲み込む時代へ
近年、都市部で発生する水害のニュースを目にしない日はありません。コンクリートやアスファルトで固められた現代の都市では、雨水が地面に浸透せず、一気に下水道や河川に流れ込んでしまうのです。
この問題に革命を起こしたのが、透水性コンクリート「ドットコン」です。コンクリートの中に無数の小さな穴を設けることで、舗装自体が雨水を吸収・排水する役割を担います。かつて土の地面が持っていた雨水を受け入れる力を、現代の舗装に取り戻すという発想から生まれた技術です。
開発したのは、コンクリート一筋で業界を駆け抜けてきた異色の起業家、小澤辰矢氏。中卒からたたき上げで成功を収めた気鋭の社長が気づいた常識はずれの水害解決策として、世界規模で増える洪水被害への対策として注目されています。
太陽光発電の未来を切り拓く日本発技術
環境問題への取り組みで欠かせないのが、再生可能エネルギーの技術革新です。本書で紹介されるペロブスカイト太陽電池は、まさに日本発の技術として世界をリードしています。
驚くべきことに、プリンター企業のキヤノンがこの材料開発に挑戦し、高効率化に貢献しているのです。異分野からの参入が新たなイノベーションを生み出す好例といえます。本書では、こうした企業の挑戦がいかに日本の科学技術の強みとなっているかが詳しく解説されています。
宇宙から地球へエネルギーを届ける壮大な計画
さらに壮大なスケールで展開されているのが、宇宙太陽光発電の研究です。京都大学の篠原真毅教授らが進めるこのプロジェクトは、宇宙空間で太陽光エネルギーを集め、それをマイクロ波で地上へ無線送電するという夢のような技術です。
宇宙規模のエネルギー供給計画が日本で着実に進んでいる様子は、読者に未来への希望を与えてくれます。本書第4章でも触れられるこの研究は、人類のエネルギー問題解決への大きな一歩となる可能性を秘めています。
なぜ日本の技術が世界を変えられるのか
本書が示すのは、日本の科学技術には確かな強みがあるという事実です。素材・部品分野の競争力、精密加工技術、ロボット工学など、世界に誇れる分野は多岐にわたります。
著者の橋本氏は、科学技術を理系だけのものではなく、あらゆる人が関わることのできる知識体系だと強調しています。科学的ブレイクスルーが新技術を生み、技術の進展がまた次の科学的探究を促すという相互作用こそが、イノベーションの源泉なのです。
本書に登場する研究者や技術者たちの原動力は、強い探究心と情熱です。地道な試行錯誤の先に一歩ずつ未来を切り拓こうとする姿勢は、ビジネスパーソンにとっても大いに学ぶべき点があります。
技術は社会実装されてこそ価値がある
本書でもう一つ重要なポイントは、技術が研究成果に留まらず、社会実装・ビジネス展開で初めて真の価値を持つという視点です。論文発表だけでは意味がなく、人々の生活を変えてこそ技術は完成するのです。
大学発の知や技術がスタートアップや新サービスとなって世に出て、そこから得られた価値が再び大学に還流するという持続可能なイノベーション・エコシステムの構築が、日本には必要だと著者は説きます。実際に東京大学松尾研究室のケースでは、こうした循環が生まれており、理想的なモデルの一つとして紹介されています。
ビジネス教養として科学技術を学ぶ意義
本書は288ページにわたり、未来を変えうる日本発の最新科学技術20件を厳選して紹介しています。第1章では日常に潜む先端技術、第2章では産業を変革し得る技術、第3章では環境やエネルギー問題など人類的課題への挑戦技術、第4章では核融合や宇宙開発など国家的プロジェクト級の技術が取り上げられており、体系的に日本の科学技術の今を理解できる構成になっています。
理系・文系や年齢を問わず読み進められるよう工夫された平易な解説により、専門知識がなくても日本の科学技術の見方を学べます。著者の橋本氏は東京大学大学院で工学を専攻した経歴を持ち、現在はテレビ東京の報道記者・ディレクターとして科学技術に関する取材・発信を行っています。YouTubeでも配信されている理系通信動画は600万回再生を超える動画もあるほど話題となっており、超わかりやすい理系オタクと呼ばれるほど親しまれています。
『未来を見通すビジネス教養 日本のすごい先端科学技術』を読めば、日本の研究者や技術者たちが地球規模の課題にどう立ち向かっているかが分かります。読み進めるうちに、こんなすごいこと、なんでもっと話題になってないのかと驚くことでしょう。水害対策から気候変動、エネルギー問題まで、日本の技術が世界を救う未来が、もうすぐそこまで来ているのです。

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