「矢印を外に向ける」だけで文章が変わる~さわらぎ寛子「自分の言葉で書く」が教える読者中心の書き方

部下に送ったメール、思うように伝わらなかった経験はありませんか。家族への言葉が空回りして、むしろ関係が悪くなってしまったことはないでしょうか。実は、こうした失敗の原因は文章力の問題ではなく、意識の向け方にあるのです。さわらぎ寛子氏の著書『自分の言葉で書く』は、書き手の視点を根本から転換させ、読者中心の文章術を教えてくれる一冊です。本書が提唱する「矢印を外に向ける」という考え方を理解すれば、職場でのコミュニケーションも家庭での会話も、劇的に改善されるでしょう。

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「評価されたい」から「届けたい」への意識転換

多くの人が文章を書けない理由は、技術不足ではなく意識の向け方にあります。自分がどう思われるか、おかしく見えないか、といった不安に囚われている状態では、相手に響く文章は生まれません。

さわらぎ氏は「評価されたい」「よく見られたい」という気持ちは、矢印が自分に向いている状態だと指摘しています。一方、「あの人に届けたい」という想いは、矢印が相手に向いている状態です。この矢印の向きを変えるだけで、文章は劇的に変わります。

たとえば、部下への業務指示メールを書くとき、「ちゃんとした上司だと思われたい」という意識で書くと、堅苦しく要点がぼやけた文章になりがちです。しかし、「この部下が困らないように、必要な情報を分かりやすく伝えたい」という意識で書けば、相手の立場に立った具体的で親切な文章になります。

矢印を外に向けることは、単なるテクニックではなく、コミュニケーションの本質的な姿勢の転換なのです。

自分と相手の交差点を探す

本書の核心は、「自分が言いたいこと」と「相手が知りたいこと」の交差点を見つけることにあります。この交差点こそが、自分の言葉で書くということの本質だとさわらぎ氏は説きます。

自分の伝えたいことだけを書けば、それは自己満足に終わってしまいます。かといって、相手の求めることだけに応えようとすれば、自分らしさが失われてしまいます。この両者のバランスをとることが重要です。

具体的には、まず「誰に」届けたいのかを明確にすることから始めます。漠然と「部下全員」ではなく、「入社3年目で初めてリーダーを任された田中さん」というように、たった一人の顔を思い浮かべることが大切です。次に、その人が「どんな気持ちになってほしいか」「どんな行動をしてほしいか」を具体的に描きます。

この作業を通じて、自分が本当に伝えたいことと、相手が本当に必要としていることの重なる部分が見えてきます。この交差点を見つけることができれば、あなたの文章は必ず相手の心に届くのです。

読者の悩みとニーズを想像する力

読者中心の文章を書くためには、相手の悩みやニーズを具体的に想像する力が不可欠です。本書では「誰に」「どんな気持ちになって」「どんな行動をしてほしいか」という3つの視点を明確にすることが提唱されています。

たとえば、新しいプロジェクトの提案書を書く場合を考えてみましょう。上司が抱えている課題は何でしょうか。予算の制約でしょうか、人員不足でしょうか、それとも期限の問題でしょうか。その課題を具体的にイメージできれば、提案の切り口が自然と見えてきます。

家庭でのコミュニケーションも同様です。妻が忙しい平日の夕方に、週末の予定について相談したいとき、いきなり「どこか行きたい場所ある」と聞くのではなく、「最近疲れてそうだから、リフレッシュできる場所を探してみたんだけど」と切り出す方が、相手の状況を理解していることが伝わります。

読者の立場に立った文章は、単に情報を提供するだけでなく、「自分のことを理解してくれている」と感じさせる力があります。この共感が、信頼関係の構築につながるのです。

「矢印チェック」で文章を見直す習慣

本書から学べる最も実践的なスキルは、書いた文章の「矢印の向き」をチェックする習慣です。文章を書き終えたら、次の質問を自分に投げかけてみましょう。

この文章は誰のために書いているのか。自分がどう見られるかばかり気にしていないか。相手が本当に知りたいことは何か。この文章を読んだ相手は、どんな行動を起こせるか。

このチェックを習慣化することで、自然と読者中心の文章が書けるようになります。最初は意識的に行う必要がありますが、繰り返すうちに、書いている段階から矢印が外を向いた文章を書けるようになります。

部下への指示メール、プレゼンテーション資料、家族へのメッセージ、どんな場面でもこの「矢印チェック」は有効です。あなたの言葉が相手に届かないと感じたら、まず矢印の向きを確認してみてください。

読者中心主義で築く信頼関係

読者中心の文章を書くことは、単に伝わりやすくするだけでなく、信頼関係を築く基盤となります。自分の見せ方ではなく、相手のニーズに焦点を当てることで、あなたの誠実さが伝わるのです。

本書が提唱する「矢印を外に向ける」思考法は、部下からの信頼獲得、プレゼンテーションの成功、家族との良好な関係構築、すべてに応用できる普遍的な原則です。技術的なライティングスキルを学ぶ前に、まずこの意識の転換を実践してみてください。

さわらぎ寛子氏の『自分の言葉で書く』は、文章術の本であると同時に、人間関係を豊かにするコミュニケーションの本質を教えてくれる一冊です。矢印を外に向ける、ただそれだけで、あなたの言葉は今日から変わり始めます。

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#NR書評猫761 さわらぎ寛子著「自分の言葉で書く」

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