あなたは部下の前でプレゼンをする時、重要な会議で発言する時、緊張してしまう自分を責めていませんか?私も40代のIT管理職として、日々様々なプレッシャーにさらされる中で、緊張は克服すべき弱点だと思い込んでいました。
しかし、精神科医の樺沢紫苑氏の著書『いい緊張は能力を2倍にする』を読んで、その考えが根底から変わりました。緊張は敵ではなく、むしろあなたの能力を最大限に引き出してくれる最強の味方だったのです。
この記事では、特に緊張しやすい性格を「欠点」だと感じている管理職の方々に向けて、その特性がいかに成功への条件となり得るかをお伝えします。読み終える頃には、明日からの仕事に対する姿勢が変わり、自分自身をより肯定的に捉えられるようになるでしょう。
緊張しやすい人ほど「成功体質」である理由
緊張は成功への前提条件
本書で最も衝撃的だったのは、「緊張しやすいことは、あなたの欠点やコンプレックスではない。あなたが成功するための条件だ」という著者の言葉です。
私たち管理職は、部下への指導、上司への報告、クライアントとの交渉など、常に「見られている」状況にあります。その度に感じる緊張を、これまで「弱さ」だと思っていました。しかし、樺沢氏によれば、緊張しやすい人こそが、実は高いパフォーマンスを発揮する潜在能力を持っているというのです。
ヤーキーズ・ドットソンの法則が証明する真実
心理学の「ヤーキーズ・ドットソンの法則」によると、パフォーマンスと緊張度の関係は逆U字カーブを描きます。つまり、全く緊張していない状態でも、過度に緊張した状態でも、パフォーマンスは低下するのです。
最高のパフォーマンスが発揮されるのは、適度に緊張した「いい緊張」の状態なのです。オリンピック選手が大舞台で世界記録を出すのも、この「いい緊張」状態にあるからだと説明されています。
つまり、緊張しやすいあなたは、この「いい緊張」状態により近い位置にいるということ。緊張を感じない人よりも、むしろ成功に近いところにいるのです。
自己肯定感を高める緊張との向き合い方
緊張を「敵」から「味方」へ変える意識改革
40代という年齢になると、これまでの経験から「自分はこういう人間だ」という固定観念ができあがってしまいがちです。私自身、「緊張しやすい性格だから、リーダーには向いていない」と思い込んでいた時期がありました。
しかし本書は、そんなネガティブな自己認識を根本から覆してくれます。緊張を「テンション」という言葉に置き換えることで、そのエネルギーをポジティブに捉え直すことができるのです。
「今日は緊張している」ではなく「今日はテンションが上がっている」と表現を変えるだけで、同じ生理的反応でも全く違った意味を持つようになります。
成功体験の積み重ねによる扁桃体の書き換え
本書で特に印象深かったのは、徹底した事前準備の重要性です。「ここまで出来た、ここまでやった」という成功体験を積み重ねることで、脳の扁桃体が参照する過去の記憶をポジティブなものに書き換えることができるといいます。
管理職として多くのプロジェクトを担当してきた経験から振り返ると、確かに準備を怠った時ほど不安が大きく、逆に十分に準備した案件では、緊張はするもののそれが集中力に変わっていたことに気づきます。
この気づきは、単なる仕事術を超えて、自分自身への信頼感を高めることにつながります。「準備した自分は大丈夫」という確信が、緊張というエネルギーを前向きな力に変換してくれるのです。
管理職が実践すべき「いい緊張」活用法
朝のルーティンでセロトニンを活性化
本書では、幸福感や心の安定をもたらす「セロトニン」の活性化が重要だと説明されています。特に管理職の場合、朝一番の状態がその日一日のパフォーマンスを左右します。
著者が推奨する「朝散歩」は、まさに管理職にとって理想的な習慣です。朝の太陽光を浴びながら軽く歩くことで、セロトニンが分泌され、一日の始まりに心の安定をもたらします。私も実践してみたところ、午前中の会議での発言に、以前よりも落ち着きと自信を感じられるようになりました。
また、「納豆、チーズ、バナナ」といった食品を朝食に取り入れることで、セロトニンの原料となるトリプトファンを効率よく摂取できます。
プレゼン前の具体的対処法
管理職として避けて通れないのがプレゼンテーションです。本書で紹介されている「冷たい水を飲む」「ゆっくり話し始める」といったテクニックは、すぐに実践できる有効な方法です。
特に印象的だったのは、話す内容よりも「姿勢」が重要だという指摘です。正しい姿勢を保つことが、気分を前向きにし、セロトニン分泌にも良い影響を与えるとのこと。これは、部下に対する説得力やリーダーシップの発揮にも直結する要素だと感じました。
ルーティンの力を活用する
イチロー選手も実践していたという「ルーティン」の活用は、管理職にとって特に有効です。7種類程度の動作を組み合わせたルーティンを確立することで、適切な緊張レベルに調整できます。
私の場合、重要な会議前には「深呼吸を3回→肩の力を抜く→資料の要点を頭の中で整理→『今日もベストを尽くそう』と心の中でつぶやく」というルーティンを作りました。これにより、予測可能な行動パターンを通じて心理的な安定を確保できるようになったのです。
人生全体を変える緊張活用のマインドセット
「トライ&エラー」思考で成長を加速
本書では、失敗を「エラー」と捉え、そこから学びを得て次へと繋げる「トライ&エラー」の思考が重要だと説かれています。これは、管理職として部下を指導する際にも、自分自身の成長を促進する際にも極めて重要な考え方です。
40代という年齢になると、失敗を恐れて新しいチャレンジを避けがちになります。しかし、「失敗」ではなく「エラー」として捉え直すことで、それを成功への貴重な糧として活用できるのです。
緊張エネルギーを長期的な成長につなげる
最も重要なのは、緊張というエネルギーを一時的な対処で終わらせるのではなく、長期的な自己成長と人生の充実につなげることです。
本書の教えを実践することで、私は緊張を感じる度に「これは成長のチャンス」「このエネルギーを活用しよう」と考えられるようになりました。その結果、新しいプロジェクトへの挑戦意欲が高まり、部下との関係も良好になったのです。
緊張しやすい性格を「欠点」として隠そうとするのではなく、「私の強み」として受け入れ、積極的に活用することで、管理職としてのパフォーマンスが格段に向上しました。
今日から実践できる具体的ステップ
まずは言葉を変えることから始める
「緊張している」を「テンションが上がっている」に変えるだけでも、心理的な変化を感じられるはずです。これは費用もかからず、今すぐにでも始められる最も簡単な第一歩です。
朝のセロトニン活性化習慣を取り入れる
毎朝15分の散歩から始めてみましょう。太陽光を浴びながらの軽い運動が、一日の心の安定をもたらし、緊張を「いい緊張」に変える土台を作ってくれます。
自分なりのルーティンを確立する
重要な場面の前に行う、自分だけのルーティンを作ってください。5つから7つの簡単な動作の組み合わせで十分です。継続することで、緊張をコントロールする強力なツールになります。
緊張しやすいあなたは、実は成功に最も近い位置にいるのです。その特性を受け入れ、活用することで、管理職としての、そして人生全体のパフォーマンスが飛躍的に向上するでしょう。明日から、新しい自分との出会いが始まります。
#NR書評猫409 樺沢紫苑著「いい緊張は能力を2倍にする]


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