「経済学」と聞くと、株価や為替レート、難しい数式ばかりが思い浮かびませんか?実は、経済学はもっと身近で、もっと面白いものなのです。
毎日の会議で「なぜこの施策がうまくいかないのか?」と悩んでいるあなた。部下のモチベーション向上に頭を抱えているあなた。その答えは、意外なところに隠れているかもしれません。
この記事では、全世界400万部のベストセラー『ヤバい経済学』から、あなたの仕事と人生を変える新しい思考法をご紹介します。読み終わる頃には、きっと世界が違って見えるはずです。
なぜ「経済学」がこんなに面白いのか?
経済学の真の姿とは
多くの人が抱く経済学のイメージは、実は間違っています。本書の著者スティーヴン・D・レヴィットは、シカゴ大学の若き経済学者として、経済学を全く新しい角度から再定義しました。
経済学とは、お金や市場だけを扱う学問ではありません。むしろ、人間のあらゆる行動を「インセンティブ」という観点から分析する強力なツールなのです。
つまり、あなたが普段直面している「部下がなかなか動いてくれない」「新しい制度を導入したのに効果が出ない」といった問題も、経済学的思考で解決の糸口が見えてくるということです。
身近な例から見えてくる真実
本書では、一見経済学とは無関係に思える事例が次々と登場します。
裏社会のギャングの組織運営から見えてくるのは、実は私たちが働く会社と同じような階層構造と報酬システムです。ギャングのボスが部下に与える「インセンティブ」の仕組みは、あなたの会社の人事評価制度と本質的に変わりません。
もう一つの興味深い例が、保育園の遅刻問題です。イスラエルのある保育園で、遅刻する親に罰金を科したところ、なんと遅刻が減るどころか増えてしまいました。
なぜでしょうか?それまで「申し訳ない」という道徳的な気持ちで遅刻を避けていた親が、罰金を払えば「サービスを購入している」と考えるようになったからです。金銭的インセンティブが道徳的インセンティブを上書きしてしまったのです。
あなたの職場でも起きている「インセンティブの罠」
制度設計の落とし穴
この保育園の事例は、私たちの職場でも頻繁に起きています。
例えば、営業チームの成績向上のために導入したボーナス制度が、かえってチームワークを悪化させていませんか?個人の成績を重視しすぎると、情報共有を避けたり、同僚の足を引っ張るような行動が生まれることがあります。
また、残業時間削減のために「20時以降の残業禁止」というルールを作ったものの、実際には仕事を持ち帰る人が増えただけ、という経験はないでしょうか。
道徳よりも仕組みが重要
多くのマネージャーは「もっと責任感を持ってほしい」「チームワークを大切にしてほしい」と部下に訴えかけます。しかし、本書が教えてくれるのは、道徳的な訴えかけよりも、適切なインセンティブ設計の方がはるかに効果的だということです。
人は基本的に、自分にとって最も有利な選択をする合理的な存在です。だからこそ、望ましい行動が最も合理的な選択になるような仕組みを作ることが重要なのです。
常識を疑う力が競争優位を生む
データが暴く意外な真実
本書のもう一つの魅力は、私たちの常識や思い込みを次々と覆していくことです。
不動産広告で「環境良好」と書かれている物件は、実は何らかの問題を抱えている可能性が高いことをご存知でしたか?不動産業者は、売りにくい物件ほど曖昧で美しい表現を使う傾向があるのです。
また、子どもの学力向上のために高額な教育費をかけている親御さんも多いでしょう。しかし、データ分析の結果、子どもの成績は親の教育熱心さよりも、親自身の学歴や年齢により強く相関することが分かっています。
ビジネスへの応用
この「常識を疑う力」は、ビジネスの現場でも極めて重要です。
「顧客満足度が高い = 売上が伸びる」という前提で施策を考えていませんか?実際には、満足度調査に回答する顧客と実際に購入する顧客は異なる可能性があります。
「残業が多い部署 = 忙しい部署」と決めつけていませんか?もしかすると、業務効率の問題や、残業することで評価されるという誤ったインセンティブが働いているかもしれません。
経済学的思考を身につける第一歩
すべては「なぜ?」から始まる
本書が教えてくれる最も重要なことは、目の前の現象を当たり前と思わず、常に「なぜ?」と問い続ける習慣です。
なぜこの会議は毎回長時間になるのか?なぜこのプロジェクトはいつも遅れるのか?なぜ優秀な人材が辞めていくのか?
表面的な理由に満足せず、その背後にあるインセンティブの構造を見抜くことができれば、根本的な解決策が見えてきます。
データに語らせる重要性
また、感情や直感ではなく、客観的なデータに基づいて判断することの重要性も本書は強調しています。
「みんなそう言っている」「常識的に考えて」「経験上」といった曖昧な根拠ではなく、具体的な数字やパターンを探してみてください。そこには、きっと新しい発見があるはずです。
まとめ:新しい世界の見方を手に入れよう
『ヤバい経済学』は、単なる経済学の本ではありません。あなたの思考を根本から変える、新しい世界の見方を提供してくれる一冊です。
40代のビジネスパーソンとして、これまで積み重ねてきた経験や常識は貴重な財産です。しかし、時にはその常識を疑い、全く新しい角度から物事を見直すことが、次のステップアップにつながります。
この本を読むことで、あなたは部下のマネジメント、プロジェクトの運営、さらには人生の重要な意思決定において、より賢く、より効果的な選択ができるようになるでしょう。
経済学が「お金の学問」だと思っていたあなたも、きっと驚くはずです。実際には、人間の行動を理解し、より良い結果を生み出すための最高のツールだったのですから。
#NR書評猫673 スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー ヤバい経済学


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