老人ホームにおけるこどもの日の行事食 – 美味しさと栄養を兼ね備えた献立例と工夫


こどもの日(5月5日)は日本の伝統的な祝日であり、老人ホームなどの高齢者施設でも季節感を取り入れた行事食として大切にされています。行事食は季節の変化を感じる機会となるだけでなく、高齢者の方々の思い出を呼び起こし、会話のきっかけを生み出す重要な役割も果たしています。本記事では、高齢者施設で実際に提供されているこどもの日の行事食と、高齢者の方々に配慮した工夫について詳しく紹介します。

こどもの日に提供される代表的な献立例

高齢者施設では、こどもの日にちなんださまざまな献立が提供されています。実際の施設での提供例を見てみましょう。

鯉のぼりや兜をモチーフにした献立

社会福祉法人あすか福祉会では、2023年のこどもの日行事食として「鯉のぼりハンバーグ&スクランブルエッグ」をメインに、「エビピラフ」「ほうれん草のソテー」「かしわもち風プリン」「コンソメスープ」といった献立を提供しました。特に鯉のぼり型のハンバーグは、キザミ食にも対応できるよう一つ一つ丁寧に形作られ、ケチャップで目を描くなどの細かい工夫がされていました。

2024年には「かぶと型ハンバーグ&からあげ」「チキンライス」「ブロッコリーサラダ」「クリームソーダ風ゼリー」「コンソメスープ」というメニューに変更し、季節感を大切にしながらも年ごとにバリエーションを持たせる工夫が見られます。

端午の節句の伝統食材を活用した献立

社会福祉法人育秀会では、2020年のこどもの日(端午の節句)に「山菜の炊き込みご飯」「なめこと豆腐の赤だし」「ぶりの照り焼き」「たけのことそら豆のくず煮」「びわのコンポートヨーグルトクリーム添え」という献立を提供しました。ぶりは出世魚であること、たけのこはまっすぐ伸びることから端午の節句に食べると縁起が良いとされる食材を意識的に取り入れています。

第二青陽園では「たけのこご飯」「かれいの照り焼き」「わかめの酢の物」という和食中心の献立が提供されていました。

楽しさと選択肢を重視した献立

介護老人保健施設コスモス苑では、「牛丼」「青菜の胡麻和え」「くず餅風デザート」「豆腐と葱の味噌汁」といった献立が提供されました。牛丼は利用者からの要望が多かったメニューとして初めて提供され、好評を博したとのことです。

エデンの園では、A食として「手巻き寿司」、B食として「ブリの照り焼き」を提供し、「ミニかしわ餅とよもぎ団子」をデザートとして添えていました。手巻き寿司は「普段とは違って巻くのが楽しい」「なかなか手巻き寿司はできないので懐かしい」などの声があり、食事を通じた楽しみの提供にも成功しています。

高齢者向けの食形態別対応と工夫

多様な食形態への対応

高齢者施設では、利用者の嚥下・咀嚼能力に合わせて、同じメニューでも複数の食形態で提供する工夫がされています。あすか福祉会では、「常食」「一口大」「粗キザミ」「キザミ」「極キザミ」「ミキサー」の6種類の食形態で提供されており、育秀会でも「常食」「極きざみ食」「ミキサー食」と食形態別の対応がなされています。

コスモス苑では、「軟菜」と「ミキサー菜」の2種類の食形態があり、例えば軟菜で「牛丼」を提供する場合、ミキサー菜では「照り焼きハンバーグ 花形人参ムース添え」といったように、別メニューを工夫して提供することもあります。

調理と見た目の工夫

高齢者向けの食事では、嚥下・咀嚼に配慮しつつ、見た目も楽しめるような工夫が重要です。キザミ食の場合でも鯉のぼりの形を残すようにしたり、ミキサー食でも花形の人参ムースを添えるなど、見た目で楽しめる工夫がされています。

かしわもち風プリンは、一番下にはあんこ、真ん中には豆乳プリン、一番上は緑茶プリンの3層構造にして味の変化を楽しめるようにするなど、食感だけでなく味わいの面でも工夫がされています。

クリームソーダ風ゼリーは、上段が泡状ムース、下段が国産メロン果汁ゼリーの2層構造にして、見た目と味わいの両方を楽しめるよう工夫されています。

高齢者の栄養面を考慮した献立設計

高齢者に必要な栄養素の確保

高齢者の食事では、たんぱく質、カルシウム、ビタミンD、食物繊維が不足しがちな傾向にあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、65歳以上の高齢者のたんぱく質推奨量は男性で60g/日、女性で50g/日とされています。

牛丼の献立では、牛肉に含まれる動物性たんぱく質と鉄分が豊富で、免疫力の向上や代謝促進、貧血や倦怠感の軽減効果が期待されます。ぶりの照り焼きなどの魚料理も良質なたんぱく源となります。

食物繊維の摂取

高齢者の食物繊維の目標摂取量は、男性で20g以上/日、女性で17g以上/日とされています。ほうれん草のソテーやブロッコリーサラダ、青菜の胡麻和えなどの野菜料理は、食物繊維の摂取に貢献します。

岐阜赤十字病院のこどもの日献立では「ナスのずんだ和え」を提供し、枝豆に含まれる良質なたんぱく質とビタミン類、食物繊維を摂取できるよう工夫しています。

行事食が高齢者に与える効果

食欲増進と季節感の演出

季節の行事食は、普段とは異なる献立によって食欲を増進させる効果があります。特に見た目を工夫した料理は、視覚的にも楽しみを提供し、「食べてみたい」という意欲を高めます。

あすか福祉会のかしわもち風プリンは大好評だったとのことで、デザートなどの工夫によって食事全体の満足度を高める効果が期待できます。

コミュニケーションの活性化

行事食は「食を通じて昔を思い出していただいたり、会話のコミュニケーションが生まれること」を目的としています。エデンの園での手巻き寿司提供時には、「普段とは違って巻くのが楽しい」「懐かしい」といった会話が生まれ、食事を通じたコミュニケーションの活性化が実現しています。

また、あすか福祉会では行事食に合わせた「鯉」に関するクイズを実施するなど、食事をきっかけとした楽しいアクティビティも提供されています。

高齢者施設の行事食における今後の展望

個別化と選択肢の拡大

高齢者施設の行事食では、利用者の好みや食べる力に合わせた個別対応がますます重要になってきています。あすか福祉会のように「セレクトおやつ」として選択肢を提供する試みや、エデンの園のようにA食・B食の選択制を取り入れる方法は、利用者の満足度を高める効果が期待できます。

伝統と新しさのバランス

こどもの日の行事食には、柏餅やちまきといった伝統的な食べ物がありますが、西日本と東日本で違いがあったり、地域によって異なる食文化があります。伝統的な食材や調理法を尊重しつつ、現代的なアレンジも取り入れることで、より多くの高齢者に喜ばれる行事食を提供することができるでしょう。

結論

老人ホームにおけるこどもの日の行事食は、単なる食事提供にとどまらず、季節感の演出や思い出の喚起、コミュニケーションの活性化など、高齢者のQOL向上に貢献する重要な役割を担っています。鯉のぼりや兜をモチーフにした料理、端午の節句にちなんだ食材の活用、多様な食形態への対応など、各施設で工夫を凝らした献立が提供されています。

高齢者の栄養面に配慮しつつ、楽しさや選択肢を提供することで、より充実した行事食となり、入居者の満足度向上につながるでしょう。これからも季節の行事食を通じて、高齢者の方々の食の楽しみを支援していくことが期待されます。

参考情報:
社会福祉法人あすか福祉会 https://asukafukushikai.com/2024/05/05/こどもの日行事食👧👦/
社会福祉法人育秀会 https://www.ikushukai.or.jp/blog/2020/05/13/post-1917
日本赤十字社 岐阜赤十字病院 https://www.gifu-med.jrc.or.jp/department/eiyo/season/kodomo.html

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