東京ディズニーリゾート(TDR)は単なるアトラクションやショーの楽しさだけでなく、「食」の面でも非日常的な体験を提供しています。年間約200もの新メニューが開発される舞台裏には、ディズニーの世界観を忠実に再現するための徹底したこだわりがあります。今回は、ゲストをもてなすTDRのシェフたちの情熱と創意工夫に迫ります。
夢の国を支える100カ所の食の世界
東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)には、合わせて94カ所もの飲食施設があります。TDLが54カ所、TDSが40カ所という規模は、まさに一大フードビジネスといえるでしょう。
年間の来場者数が約3千万人にのぼるTDRでは、各レストランに毎日莫大な注文が入ります。そのため、シェフたちはただ美味しいだけでなく、効率的な調理方法も考慮しなければなりません。「おいしいのは当たり前で、見た目にこだわりつつ、いかに手数を減らして調理工程を効率化し、安全に、温かく提供するかも大事」と、TDSのマスターシェフを務める羽生耕平さん(51)は語ります。
シェフたちは食を通じて、ゲストがディズニーの世界に没入できる体験を提供することに情熱を注いでいます。「日本人に受け入れられる味付けを意識し、作品の世界に浸れる没入感に徹底的にこだわっています」と羽生さんは強調します。
メニュー開発の舞台裏に迫る
TDRでは毎年約200もの新メニューが開発されています。1つのメニューを開発するには何度も試作を重ね、味はもちろん、見た目や調理効率、そして何よりディズニーの世界観を忠実に再現できているかが厳しくチェックされます。
メニュー開発は販売開始の約10カ月前から企画立案がスタートし、約6カ月前にメニュー開発、3.5カ月前にメニューが確定するという綿密なスケジュールで進められます。プロのシェフがテストキッチンで実際に調理や盛り付けを行い、部長・マネージャーやエグゼクティブシェフ、さらにはウォルト・ディズニー社も交えて、様々な観点からチェックが行われます。
特に米ディズニー社の意向は重要で、各作品の世界観を忠実に再現したメニューであるかが強く求められます。羽生さんは「米国では、作品のストーリーに対するこだわりがすごく強くて、日本人と発想が違う場合もある。イメージをすり合わせるのはなかなか難しかった」と苦労を語ります。
ファンタジースプリングスの食で体験する物語の世界
2024年6月にオープンしたファンタジースプリングスは、特にレストランのこだわりが強いエリアです。開業の約3年前からメニュー開発に取り組み、ディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』の世界観を忠実に再現したレストランが用意されました。
例えば「アレンデール・ロイヤルバンケット」は、「アナと雪の女王」の世界観を忠実に再現したレストランです。祝宴をイメージした大広間には玉座が置かれ、作品に登場するキャラクターの肖像画や美しいシャンデリアなどの装飾が施され、没入感を高めています。
同レストランのメニュー開発に携わった片岡龍之介さん(37)は、「アレンデールロイヤルセット(シーフード、3500円)」の開発にあたって、国内各地の北欧料理店を食べ歩き、映画を何度も見返して研究しました。「香り高いサフランをクリームソースにして、オマールエビや北欧で採れた赤魚などのシーフードをふんだんに使用し、リッチな味わいに仕上げました」と片岡さんは説明します。
多様なニーズに応える食のバリエーション
近年、インバウンド(訪日外国人客)の来園が増加する中、TDRは海外のゲストのニーズにも対応しています。特に注目されているのが、植物由来の原材料を使用した「プラントベース」メニューです。
プラントベースメニューは植物性食材を主とし、原材料に肉類、魚介類、卵、乳、はちみつ、ゼラチンを使用していないメニューで、多様な食の嗜好や制限に配慮しています。
東京ディズニーランドでは、イーストサイド・カフェの「プラントベースセット(2,600円)」やブルーバイユー・レストランの「プラントベースコース(7,000円)」、プラズマ・レイズ・ダイナーの「プラントベースフードのビビンバ(単品1,250円、セット1,790円)」など、様々なレストランでプラントベースメニューを提供しています。
TDRの食を堪能する魅力
TDRでは、どうしてもアトラクションやショーが注目されがちですが、シェフたちはゲストに食事にも目を向けてほしいと願っています。「レストランに入れば、ディズニーの世界観に没入できる。我々もさらに魅力的なメニューを開発していき、食事が思い出に残ってもう一度、TDRに来たくなるようなきっかけになれば嬉しい」とシェフたちは語ります。
東京ディズニーリゾートの魅力は、アトラクションやショーだけではありません。こだわり抜かれた「食」の体験も、夢の国の大切な要素です。次回TDRを訪れる際には、レストランにも注目して、ディズニーの世界観を味わう食事の時間も楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと、新たな魅力を発見できるはずです。
参考情報
- Yahoo!ニュース「ディズニーの世界忠実に表現 年間200メニュー開発 TDRシェフがこだわる『没入感』」(https://news.yahoo.co.jp/pickup/6537585)
- 東京ディズニーリゾート公式サイト「プラントベースセット」(https://www.tokyodisneyresort.jp/food/3625/)
- 東京ディズニーリゾート公式サイト「シェフズ・イマジネーション」(https://www.tokyodisneyresort.jp/treasure/foodandwinefestival2025/chefsimagination.html)

コメント