労咳(ろうがい)という言葉を聞いたことがありますか?この古い病名は現代でいう肺結核のことで、かつては多くの歴史上の人物を苦しめた恐ろしい病気でした。しかし現代医学の進歩により、「不治の病」から「治る病気」へと変わりました。この記事では労咳(結核)の歴史から最新の治療法、完治するための重要ポイントまで詳しく解説します。
労咳(ろうがい)とは?現代でいう結核のこと
労咳(ろうがい)は、現在でいうところの肺結核のことです。「労」という字が示すように、「疲労によって起こる咳をともなう衰弱」という意味があります。日本では江戸時代から明治初期ごろまでこの名称で呼ばれていました。
実はこの病気の記述は非常に古く、平安時代の『枕草子』や『源氏物語』などにもその描写が見られます。高杉晋作や樋口一葉、沖田総司など、多くの歴史上の人物がこの病に苦しめられました。
結核菌による肺の感染症である労咳は、主に空気感染で広がります。ヨーロッパでは「白いペスト」という名前で恐れられていたほど、かつては恐ろしい病気でした。
労咳(結核)は現代では治る病気になった
かつては「不治の病」と恐れられた労咳(結核)ですが、現代では「薬を飲めば治る病気」へと変わりました。これは医学の進歩の大きな成果といえるでしょう。
治療薬は20世紀なかばに発見されるまでは有効な治療法がなく、多くの人が命を落としていました。しかし現在は、複数の抗結核薬を組み合わせた治療によって完治が可能になっています。
結核の標準治療とは?完治までの道のり
現代の結核治療は、複数の薬剤を組み合わせた化学療法が標準となっています。具体的には以下のような治療が行われます:
- 標準治療期間は6~9ヶ月:イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールなどの薬を組み合わせて使用します
- 毎日の服薬が必須:症状がなくなっても、指示された期間は必ず服薬を続けることが重要です
- DOTSという治療方式:患者の服薬を医療職員が確認する方式で、治療の成功率を高めています
この治療法により、一般的な結核であれば高い確率で完治が期待できます。日本における結核患者の治療成功率は、年齢や状態によって異なりますが、59歳以下の患者では82.1%~89.9%という高い割合になっています。
治療を途中でやめると危険!多剤耐性結核とは
結核治療で最も注意しなければならないのは、「途中で治療をやめてしまうこと」です。症状が改善したからといって自己判断で服薬をやめると、とても危険な状態になる可能性があります。
治療を中断すると、結核菌が薬に対して抵抗力(耐性)を持つようになり、「多剤耐性結核」という治療が難しい状態になることがあります。多剤耐性結核は、最も重要な2つの薬(イソニアジドとリファンピシン)が効かなくなった状態で、治療がより困難になります。
日本では新たに発生する結核患者のうち多剤耐性の人は全体の0.6%程度ですが、世界的には10%以上にもなる国が少なくありません。多剤耐性結核の治療成功率は、通常の結核よりも低く、日本でも約62.0%となっています。
日本の結核事情は改善している
嬉しいニュースとして、日本の結核の状況は大幅に改善しています。2021年には結核罹患率(人口10万対)が10を下回り、日本は「低蔓延国」の基準を達成しました。2022年の罹患率はさらに下がって8.2となっています。
これは、国や結核予防会をはじめとする様々な組織の長年にわたる努力の成果です。かつて「亡国病」とも呼ばれた結核が、今では適切な治療で治る病気になりました。
結核治療を成功させるためのポイント
結核治療を成功させるために重要なポイントをまとめます:
- 診断されたらすぐに治療を開始する
- 処方された薬を指示通りに服用し続ける
- 症状が改善しても自己判断で治療を中断しない
- 定期的な検査で治療効果を確認する
- 治療完了後も定期的な検診を受ける(治療後2年ほどは定期的に胸部レントゲン検査を受ける必要があります)
まとめ:労咳(結核)は現代医学の進歩で治る病気に
かつて「不治の病」として恐れられた労咳(結核)ですが、現代の医学の進歩により、適切な治療を受ければほとんどの場合治る病気になりました。しかし、治療の途中で自己判断で薬の服用をやめることは危険であり、多剤耐性結核という更に治療が難しい状態を招く可能性があります。
結核と診断されたら、医師の指示に従い、治療を最後まで続けることが完治への最短ルートです。日本の結核対策は着実に成果を上げており、結核罹患率は低下し続けています。しかし油断は禁物です。症状が気になる方は早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
参考情報
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 – https://www.jatahq.org/
- 厚生労働省 結核情報 – https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00010.html
- 大塚製薬 結核の情報 – https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/tuberculosis/


コメント