日本のドローン市場は急速な成長を続けており、多様な産業での活用が拡大しています。本レポートでは、ドローン関連の仕事内容や年収、市場規模、そして将来性について最新の情報をまとめました。
ドローン市場の規模と成長予測
ドローン業界は今後も大きな成長が見込まれている有望市場です。具体的な数字で見ていきましょう。
日本国内の市場規模
2024年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は4,371億円と推計されており、前年度の3,854億円から13.4%増加しています。さらに2025年度には4,987億円まで拡大する見込みです。長期的には2030年度までの年間平均成長率15.2%で推移し、2030年度には1兆195億円に達すると予測されています。
ドローンビジネス市場は主に以下の3分野で構成されています:
- サービス市場:2,295億円(前年度比13.3%増)
- 機体市場:1,134億円(前年度比7.9%増)
- 周辺サービス市場:942億円(前年度比21.0%増)
特筆すべきは、ドローンショー市場が前年比で約2倍と急速に拡大していることです。
世界市場の動向
世界の商用ドローン市場に目を向けると、2024年に320億米ドルに達し、2033年までに1,892億米ドルまで成長すると予想されています。これは年平均成長率(CAGR)19.45%という非常に高い成長率を示しています。
ドローン関連の主な職種と仕事内容
ドローン業界では多様な職種が生まれており、それぞれ専門性を活かした仕事があります。
ドローンパイロット(操縦士)
ドローンパイロットは実際にドローンを飛行させる専門家です。業務内容は多岐にわたり、様々な産業で需要が高まっています:
- 空撮:映画、テレビ番組、CM、不動産物件紹介など
- 点検業務:インフラ、工場、橋梁、鉄塔などの点検
- 測量:建設現場や土木工事での地形測量
- 農業支援:農薬散布、作物の生育状況確認
- 物流・配送:商品や物資の運搬
- 災害対応:被災状況の確認や救助支援
- イベント:ドローンショーの演出
ドローンエンジニア
ドローンエンジニアはドローン本体やシステムの開発に携わる技術者です:
- 企画:ドローンの使用目的に応じた機能やシステム設計の企画
- ソフトウェア・ハードウェア設計:ドローンの制御プログラムや機体構造の設計
- 検証:開発したドローンやプログラムの動作検証とデータ収集
- 実装:実用化に向けた最終調整と製品化
産業用ドローンは特に用途に応じたカスタム開発が中心となり、特定の業務に特化した機能実装が求められます。
年収と求人状況
ドローンパイロットの年収
ドローンパイロット全体の年収は、一般的に250万円~600万円程度となっています。ただし業務内容や経験、技術力によって大きな差があり、なかには1,000万円を超える高収入を得ているパイロットも存在します。
分野別の平均年収としては:
- 空撮カメラマン:350~640万円
- 薬品散布操縦士:320~510万円
- 測量操縦士:330~520万円
- ドローンスクールの講師:280~450万円
となっています。
ドローンエンジニアの年収
ドローンエンジニアの平均年収は480万円前後とされています。技術力や経験に応じて高収入を得る可能性があります。
求人状況と需要
ドローンパイロットの求人状況は非常に良好であり、人材が不足している状況です:
- 令和5年度のドローンパイロットの有効求人倍率は「5.49」と高く、求人数に対して応募者が足りていない状況を示しています
- 令和4年度も有効求人倍率は「4.21」と高水準を維持していました
- 主要求人サイトでは、doda(デューダ)で2,800件、Indeed(インディード)で1,000件以上のドローン関連求人が掲載されています
この数字は「ドローン操縦士は仕事がない」という噂とは対照的に、実際には多くの求人があることを示しています。
ドローン資格制度と今後の展望
国家資格取得者数の推移
ドローンの国家資格である「無人航空機操縦士資格」の取得者数は着実に増加しています:
- 2024年5月31日時点:一等無人航空機操縦士が1,449件、二等無人航空機操縦士が11,554件
- 2024年5月時点:一等無人航空機操縦士が1,157人、二等無人航空機操縦士が9,088人
- 2024年1月31日時点:一等無人航空機操縦士が923件、二等無人航空機操縦士が6,860件
2024年1月から5月の間に、一等資格は約25.3%、二等資格は約32.4%増加しており、ドローン国家資格取得の需要が高まっています。
2025年以降の重要な変化
2025年は日本のドローン業界において重要な転換点となります:
- 2025年12月5日をもって、民間資格の飛行申請時のエビデンスとしての活用ができなくなります
- 2025年にはレベル4飛行(無人での飛行の商用化)が実現する可能性があり、これによりドローンの利用範囲が大幅に広がると期待されています
成長が期待される分野と課題
今後成長が期待される分野
以下の分野ではドローンの活用がさらに進むと予測されています:
- 物流・配送:レベル4飛行の実現により、人口過疎地域や災害時の物資配送などで活用が進む
- インフラ点検:送電網・鉄塔や基地局鉄塔などの点検でドローン活用が進展
- 農業:農薬散布が定着しつつあり、政府の補助金・支援策も後押し
- 運搬用途:20~30kg程度の重量物運搬に特化したドローンが開発され、土木・建築現場や農業での活用が広がる
- 狭小空間点検:大規模建造物の天井裏や下水道、ボイラーやダクトの内部など、狭い空間でのドローン活用
- エンターテイメント:ドローンショー市場が急成長しており、花火大会やスポーツイベントなどで全国的に普及
課題と障壁
ドローン業界の成長には以下のような課題も存在します:
- 法規制:航空法や各種条例による飛行制限が事業展開の障壁となっている場合がある
- 型式認証の取得:レベル4飛行には第一種型式認証の取得が必須だが、取得プロセスが複雑で時間がかかる
- 技術の標準化:産業間での技術やサービスの標準化がまだ十分に進んでいない
- 人材育成:急速な市場拡大に対して、熟練したパイロットやエンジニアの育成が追いついていない
結論
ドローン業界は今後も着実な成長が見込まれており、2030年には国内市場規模が1兆円を超えると予測されています。特に点検、農業、測量、物流などの分野での活用が進み、新たな雇用と事業機会を創出しています。
有効求人倍率の高さが示すように、現在はドローンパイロットの需要が供給を上回っており、資格取得者は高い需要を享受できる状況です。また2025年のレベル4飛行実現や法規制の整備により、さらなる市場拡大と新たなビジネスモデルの創出が期待されています。
ドローン業界に関心のある方は、国家資格の取得を検討しつつ、特定の産業分野における専門知識を身につけることで、将来性のあるキャリアを構築できるでしょう。
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