人工着色料の原料と製造技術:現状と安全性

食品


人工着色料(合成着色料)は、食品や化粧品に色を付ける目的で広く使用されてきましたが、その原料や安全性について理解を深めることが重要です。本記事では、人工着色料の原料、製造方法、種類、安全性、そして最新の規制動向について詳しく解説します。

人工着色料の起源と原料の変遷

人工着色料は「タール色素」とも呼ばれていますが、これは歴史的な理由があります。かつては石炭の副産物であるコールタールから得られるベンゼンやフェノールといった芳香族化合物が原料として使用されていました。しかし現在では、原料が変わっています。

現代の主な原料:

  • 石油を原料とした化成品
  • 石油から分別蒸留で得られたナフサをさらに分留して取り出したベンゼン・トルエン・キシレンなど

多くの人が「石油から作られているから危険」という印象を持ちがちですが、実際の製造過程では化学変化により全く新しい物質に変わるため、最終製品には石油成分は検出されないとされています。

合成着色料の製造プロセス

人工着色料がどのように製造されるのか、代表的な例として「ベンゼン」から色素が作られる過程を見てみましょう:

  1. ベンゼンと混酸(濃硝酸+濃硫酸)を合成してニトロベンゼンを作る
  2. ニトロベンゼンを濃塩酸と反応させ、アニリン塩酸塩を得る
  3. アニリン塩酸塩を遊離反応させてアニリンを得る
  4. アニリンと他の物質を合成して色素の前駆体もしくは色素を作る

製造された色素は、純度99.0%以上の高純度製品となり、元の石油成分は検出限界以下になります。これらの着色料は製造の際に副生成物が生じる可能性があるため、日本では厚生労働省の機関や指定検査機関で厳格な検査が行われています。

日本で認められている合成着色料

日本では食品衛生法により、食用に使用できる合成着色料は厳格に規制されています。現在、日本で使用が認められている合成着色料は以下の12種類です:

  • 食用赤色2号(アマランス)
  • 食用赤色3号(エリスロシン)
  • 食用赤色40号(アルラレッドAC)
  • 食用赤色102号(ニューコクシン)
  • 食用赤色104号(フロキシン)
  • 食用赤色105号(ローズベンガル)
  • 食用赤色106号(アシッドレッド)
  • 食用黄色4号(タートラジン)
  • 食用黄色5号(サンセットイエローFCF)
  • 食用緑色3号(ファーストグリーンFCF)
  • 食用青色1号(ブリリアントブルーFCF)
  • 食用青色2号(インジゴカルミン)

これらに加えて、水に溶けにくくするために加工した「アルミニウムレーキ」と呼ばれる8品目も認可されています。

合成着色料の特徴と使用目的

合成着色料が広く使用されてきた理由は、その優れた特性にあります:

  • 色延びがよく、少量で効果的に着色できる
  • 光や熱に対する安定性に優れている
  • 色調が一定で、均一な着色が可能
  • コスト効率が良い

実際の食品では、より自然な色調を作り出すために複数の色素を混合して使用することが一般的です。例えば、緑色は黄色と青色を混合し、オレンジ色は赤色と黄色を混合して作ります。

人工着色料の安全性と健康への影響

合成着色料の安全性については様々な議論があります:

安全性評価の仕組み

WHO(世界保健機関)は合成着色料ごとに1日摂取許容量(ADI)を設定しており、この量を超えない限り、一生涯毎日摂取しても人体に悪影響を及ぼさないと科学的に証明されているとされています。

健康への懸念

一方で、以下のような懸念も指摘されています:

  • 発がん性・アレルギー性の可能性
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連性
  • 肥満や糖尿病との関連性を示す研究

2008年には英国食品基準庁が一部の合成着色料について自主規制を勧告し、EUでは警告表示が義務付けられるようになりました。

世界的な規制動向と天然着色料への移行

米国での最新動向

2025年4月22日、米厚生省と食品医薬局(FDA)は、石油由来の合成着色料を段階的に禁止する方針を発表しました。具体的には:

  • 数カ月以内に2種類の合成食品着色料(シトラスレッド2号とオレンジB)の認可取り消し手続きを開始
  • 来年末までに残りの6種類の合成着色料を食品供給から排除
  • 食品会社に対し、赤色3号の使用中止時期を前倒しするよう要請

ケネディ厚生長官は「われわれが健康でなければ米国を再び偉大にすることはできない」と強調し、子どもの健康改善への重要な一歩だと位置づけています。

天然着色料への移行の課題

天然由来着色料への代替ニーズが急増していますが、以下のような課題があります:

  • 天然物から抽出される色素の含有量が少なく、効率が低い
  • 抽出後に廃棄物が大量に発生する
  • 天候不順による供給安定性や色目のばらつき
  • 安定性の低さ

これらの課題を解決するため、次世代バイオ合成プラットフォームの開発や、天然色素の安定化技術の研究が進められています。FDAも新たな天然着色料(ガルディエリアブルーエキス、クチナシブルー、バタフライピーフラワーエキスなど)の認可を加速させる方針です。

結論:人工着色料の未来

合成着色料は長年にわたり食品や化粧品の着色に使用されてきましたが、健康への懸念から世界的に規制が強化される傾向にあります。特に米国での最新の規制強化は大きな転換点となるでしょう。

日本では従来から合成着色料に対する忌避感が強く、セブンイレブンのような大手企業が弁当や惣菜類から合成着色料・保存料を使わない方針を展開するなど、天然着色料への移行が進んでいます。

将来的には、天然由来成分と最新のバイオテクノロジーを組み合わせた新しい着色料の開発が進み、従来の石油由来合成着色料に代わる可能性が高いでしょう。消費者としては、製品の原材料表示を確認し、自分の健康にとって最適な選択をすることが重要です。

参考サイト:

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