アメリカで広く使用されている食品添加物「赤色40号」をめぐる状況が激変しています。2025年4月、トランプ政権は石油由来の合成着色料を米国の食品供給網から段階的に排除する計画を発表しました。子どもの食品に多く含まれる赤色40号の安全性とは?日本との規制の違いは?米国内での議論や最新動向について、詳しく解説します。
アメリカで注目される赤色40号とは何か
赤色40号(FD&C Red No.40)は、アルラレッドACやFood Red 17とも呼ばれる合成着色料です。主に食品に鮮やかな赤色を与えるために使用され、キャンディーやジュース、シリアル、スナック菓子など多くの食品に含まれています。
米国食品医薬品局(FDA)の規制によれば、赤色40号は「一般的に食品(栄養補助食品を含む)の着色に安全に使用可能」とされてきました。この着色料は主に石油から化学的に製造される合成着色料(食用タール系色素)の一種で、アメリカでは他の8種類の合成着色料と共に使用が認められてきました。
2016年の研究によると、ノースカロライナ州のある食料品店で子ども向けに販売されている食品の約30%に赤色40号が含まれていることが判明しています。それだけ広く使われている添加物なのです。
激変する赤色40号の規制状況
最新のニュース:トランプ政権による合成着色料全廃計画
2025年4月21日、米保健福祉省は、トランプ政権が全米の食品供給網から人工着色料を排除する措置を講じる計画だと発表しました。その後の4月22日の発表では、FDAが業界と協力し、来年末までに残りの6種類の合成着色料(FD&C緑色3号、FD&C赤色40号、FD&C黄色5号、FD&C黄色6号、FD&C青色1号、FD&C青色2号)を食品供給から排除する方針が明らかになりました。
この動きは、今年1月にFDAが「赤色3号」の使用禁止を発表したことに続くものです。赤色3号は30年以上前から動物実験でがんとの関連が指摘されていましたが、ようやく2025年1月に禁止が決定されました。
カリフォルニア州の先行規制
カリフォルニア州では、合成着色料と「注意欠如・多動症(ADHD)」など行動の障害との相関関係を示唆した州環境保護局の報告書を受け、赤色40号を含む6種類の合成着色料(青色1号、青色2号、緑色3号、赤色40号、黄色5号、黄色6号)の公立学校での使用を禁止する措置を発表しています。
赤色40号の健康リスクとは何か
赤色40号の健康への影響については、いくつかの懸念が指摘されています。
発がん性の懸念
赤色40号には発がん物質が含まれるという指摘があります。「マウスの免疫系腫瘍の増大促進と赤色40号との関係を指摘した研究があるほか、赤色40号には発がん物質として知られるベンゼンが含まれるという指摘もある」との報告もあります。
子どもの行動への影響
赤色40号は子どもの行動や注意力に問題を引き起こす可能性があるとして、カリフォルニア州では公立学校での使用が禁止されました。
欧州連合(EU)でも、赤色40号を含む製品に対して「子どもの注意力に影響を与える可能性がある」との警告表示を義務付けています。この警告は、赤色40号のほか、黄色5号と黄色6号にも適用されています。
日本とアメリカの規制比較
日本では赤色40号の使用が認められています。世界各国における許可色素状況の一覧表によると、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどで赤色40号の使用が許可されています。
一方で、EUでは赤色40号について厳しい規制が設けられており、警告表示が義務付けられています。
日本では食用赤色40号として許可されていますが、医薬化粧用規格としては使用不可となっており、「日本で使用不可」と記載されています。
赤色40号の代替品とその課題
赤色40号は、以前に禁止された赤色2号の代替品として広く使用されるようになりました。しかし、「赤色2号に似た色ではあったものの、値段が2号よりも高く、食品によってはくすんだ色になってしまい、完璧な代替品とはならなかった」と指摘されています。
現在、食品業界では天然由来の着色料へのシフトが進んでいます。FDAの新たな方針によれば、「数週間以内に新規天然着色料(ガルディエリアブルーエキス、クチナシブルー、バタフライピーフラワーエキスなど)を認可するとともに、他の添加物の審査と承認も加速」する予定です。
また、一部の食品メーカーでは「ビートジュース(赤カブの汁)や紫芋、ラディッシュ、赤キャベツ由来の色素を使用する動き」も見られます。
企業の対応と消費者の選択
赤色40号をめぐる規制強化の動きを受けて、食品企業はどのように対応しているのでしょうか。
かつて赤色2号が禁止された際、チョコレート菓子メーカーのマース社は、「看板商品でもあるエムアンドエムズ(M&M’s)から、赤色にコーティングされたチョコレートを外すことを決定」しました。同社は自社の商品に赤色2号は使用していなかったものの、「赤色全般が多くの消費者に不安を与えることを危惧してのこと」だったと言われています。
今回の赤色40号を含む合成着色料の段階的廃止についても、各企業は代替品の検討や製品の配合変更を迫られることになるでしょう。
消費者としては、食品ラベルをよく確認し、合成着色料の有無を確認することが重要です。特に子どもの食品については、より注意深く選択することが望ましいでしょう。
今後の展望と課題
FDAが発表した合成着色料の段階的廃止計画によれば、「食品業界が天然の代替品に移行するための国家基準とタイムラインを確立」することになっています。また、「国立衛生研究所(NIH)と提携し、食品添加物が子供の健康と発達にどのような影響を与えるかについて包括的な研究を実施」する予定です。
しかし、業界団体からは「州ごとの継ぎはぎ規制ではなく、全米で一貫した基準を求めている」との声も上がっています。製菓業界団体は「食品安全規制についてはFDAの主導で決定すべき」と主張しています。
今後、赤色40号を含む合成着色料の規制については、科学的な研究のさらなる進展と、それに基づく規制の見直しが続くことが予想されます。
まとめ:赤色40号問題から学ぶ食の安全性
赤色40号をめぐるアメリカでの規制強化の動きは、食品添加物の安全性に対する意識の高まりを示しています。トランプ政権による石油由来の合成着色料全廃計画は、食品業界に大きな転換を迫るものとなるでしょう。
日本においても食品添加物の安全性については常に議論がありますが、各国の規制状況や最新の研究成果を参考にしながら、より安全な食品選択をすることが重要です。特に子どもの食品については、不必要な合成着色料を避ける選択も考慮する価値があるでしょう。
食品の色鮮やかさと安全性のバランスをどう取るか。これは消費者、企業、規制当局が共に考えていくべき課題です。
参考情報
Women’s Health: https://www.womenshealthmag.com/jp/wellness/a63795731/food-dye-additives-united-states-vs-europe-20250303/
CNN.co.jp: https://www.cnn.co.jp/usa/35228317.html
Business Insider Japan: https://www.businessinsider.jp/article/299877/


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