子どもの頃、レゴで遊んだ経験はありませんか?無限の可能性を秘めたカラフルなブロックを組み合わせて何かを生み出す喜び。実は、このレゴ遊びの感覚が、私たちの創造的思考のヒントになるかもしれません。「自分の脳のクセ」を知ることで、ものづくりや創造的な作業が格段に楽になるという考え方が注目されています。今回は、レゴを例にした「脳のクセ」について掘り下げ、あなたの創造性を最大化する方法をご紹介します。
レゴ遊びから見えてきた「脳のクセ」の正体
子どものためにレゴを買ったはずが、いつの間にか自分が夢中になっている…。こんな経験をしたことはありませんか?レゴの魅力は年齢を問わず、多くの人を惹きつけます。
最近、レゴを触る時間が増えた小川貴之さんは、レゴで遊ぶうちに自分の思考パターンについて興味深い気づきを得ました。彼によれば、自分のクリエイティブな思考法は「レゴ型」だと言います。これは部品を並べながら、組み合わせながら、形を作っていくタイプの思考パターンです。
面白いことに、綿密に計画して作ったものより、手元にあるパーツを試行錯誤しながら組み合わせた作品の方が、結果的に良い出来栄えになることが多いと言います。この気づきは、レゴだけでなく、仕事や創造的活動全般に通じるものがあるのではないでしょうか。
「レゴ型」と「キャンバス型」でわかる脳の使い方の違い
小川さんによると、ものづくりにおける人間の脳のクセは大きく2つのタイプに分けられます:
レゴ型の特徴
- 白紙の状態だと手が止まりやすい
- 素材やパーツがあると手が動き出す
- 作りながら考える思考スタイル
- ある程度グチャグチャした状態の方が脳が活性化する
- 組み合わせ力や編集力が強み
キャンバス型の特徴
- 白紙に向かうことを怖がらない
- 頭の中に完成形のイメージがある
- 考えてから作り始める
- 1ページ目から順番に作り上げていく
- 世界観やストーリー性が強み
この「レゴ型」と「キャンバス型」という分類は、創造的な活動における私たちの思考パターンを理解する上で非常に役立ちます。どちらが優れているということではなく、それぞれに長所があるのです。
あなたはどっち?簡単チェックリストで脳のクセを見分ける
自分がどちらのタイプなのか気になりますよね。以下のチェックリストで、あなたの脳のクセをざっくり診断してみましょう。
レゴ型の人あるある
- PowerPointは、まずテキストだけを置きまくる
- 絵は修正しながら描き進める
- 机の上は散らかっていた方が落ち着く
- 人の案を聞いたり、ディスカッションで自分の考えが整理される
- 複数案を同時に進めた方がやりやすい
キャンバス型の人あるある
- 資料は1ページ目から順番に作りたい
- 絵はいきなりアウトラインから描く
- 机の上は片付いていた方が集中できる
- 自分の頭の中でまずイメージを固めたい
- 途中で見せるのが苦手、最後まで仕上げたい
どうでしょうか?どちらかに当てはまる特徴が多いでしょうか。もしかしたら、状況によって両方の特性を持ち合わせている方もいるかもしれません。
レゴ型の人に効果的な「ホリゾンタル」な進め方
レゴ型の思考を持つ人には、「ホリゾンタル(水平)につくる」という進め方が相性抜群です。これは何でしょうか?
ホリゾンタルにつくるとは:
- まず関係ありそうな要素をざっくり置いてみる
- 完成度を求めず、ラフなアイデアやコメントも残す
- 論理展開は全無視して、箇条書き的にパーツをつくっていく
- 作りながら、要点や外してはいけないところを見つけていく
この方法は、レゴで遊ぶときの感覚にとても近いんです。バケツの中からブロックを取り出して、とりあえず並べてみる。そして「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう?」と試行錯誤しながら進めていくイメージです。
キャンバス型の人に向いている「バーティカル」な進め方
一方、キャンバス型の思考を持つ人には「バーティカル(垂直)につくる」進め方が合っています:
バーティカルにつくるとは:
- 静かな場所で、時間をかけて一人で集中する
- まずは世界観や構成を頭の中で固める
- 最初から最後まで一貫性を保ってつくりきる
ルネサンス期の天才芸術家ミケランジェロは、「全て大理石の塊の中には予め像が内包されているのだ。彫刻家の仕事はそれを発見する事」と言いました。これはまさにキャンバス型の思考を表しています。頭の中にある完成形を、一歩一歩確実に形にしていくのです。
脳のクセに合ったツールと環境の選び方
あなたの脳のクセに合わせて、適切なツールや環境を選ぶことも重要です。
レゴ型の人におすすめのツール
- NotionやGoogleドキュメント:箇条書きで思いついたことをどんどん書き出せる
- スマホのメモやLINEの自分グループ:思いついたアイデアをすぐに投げ込める場所
- ChatGPT:思いついたアイデアの整理や発展を手伝ってくれる
- Figma:全体を俯瞰しながら作業できる
- 壁に貼れるホワイトボード:情報を視覚的に並べて考えられる
これらのツールは「俯瞰できる」「並べられる」「足したり引いたりできる」という特徴を持っており、レゴ型の思考を助けてくれます。
キャンバス型の人に適した環境
- 静かで集中できる個人スペース
- 整理整頓された作業環境
- 中断されにくい時間帯の確保
- 一貫性を保てるプロジェクト管理ツール
「かけ算」の力:両方の思考タイプを活かすチーム作り
最も重要なのは、どちらが優れているという話ではなく、「かけ算」の力です。レゴ型とキャンバス型、それぞれの強みを活かし合うことで、創造性は最大化します。
Appleの例を見てみましょう。伝説的デザイナーのジョナサン・アイブは典型的な「キャンバス型」の人でした。彼は明確なビジョンと一貫した美意識を持っていました。しかし、Appleの真の強さは、彼の「キャンバス型のビジョン」を実現するための「レゴ型」のエンジニアやデザイナーたちとのコラボレーションにありました。
ビジネスの現場では:
- 世界観を描ける人(キャンバス型)
- 構造として情報を組める人(レゴ型)
- 社会へ実装ができる人
この3者が揃ったとき、ものづくりは一気に楽になり、スピードも質も上がります。
脳のクセを知れば、ものづくりは楽しくなる
「つくることが苦手」「何かを生み出すのが怖い」と感じている方へ。それは才能やセンスの問題ではなく、単に「進め方が自分の脳のクセと合っていないだけ」かもしれません。
自分の脳のクセを知り、それに合った進め方を選ぶことで、創造的な活動はぐっと楽になります。また、ひとりで完璧を目指そうとせず、異なる思考タイプの人とコラボレーションすることで、より良い結果が生まれるのではないでしょうか。
レゴ教育を取り入れている聖学院中学校・高等学校では、レゴを活用した探究学習を行っています。彼らはLEGO SERIOUS PLAYのファシリテータ有資格者を複数名抱え、生徒たちの創造性を育んでいます。これはまさに「脳のクセ」を活かした教育の一例と言えるでしょう。
全国の大学生によるレゴ作品展示会も2025年3月に開催予定です。東京大学や京都大学など7つの大学のレゴ部が参加し、創造性を競う場となります。このようなイベントは、様々な「脳のクセ」を持つ人々が集まり、互いの強みを活かし合う場として興味深いですね。
あなたも自分の脳のクセを知り、それに合った創造の方法を見つけてみませんか?つくることは、怖いものではありません。レゴを触るように、あるいは白紙のキャンバスに描くように、もっと自由に、もっと楽しく取り組めるはずです。

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