「好きなことで起業」は幻想だった〜『シン・二番煎じビジネス』が教える地道に稼ぐ生存思考

「いつか独立したい」「副業で稼ぎたい」――そう思いながら、何年も行動できていませんか?

IT企業で管理職を務めていると、部下のマネジメントや上司への提案、家庭とのバランスで日々精一杯になりがちです。そのうえ「起業したいなら、まず自分の好きなことを見つけろ」「情熱を持って取り組める事業じゃないと続かない」という言葉を耳にするたびに、ため息が出てしまう……。そんな経験はないでしょうか。

ところが村上学氏の著書『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』――本記事では『シン・二番煎じビジネス』と呼びます――は、そうした「好きなことで起業」という常識をバッサリと否定しています。本書が提示するのは、プライドや自己実現の欲求をいったん棚に上げ、地道に利益を上げることだけに集中する「生存戦略としての起業」という、極めてリアルな視点です。

今回はそのポイントを、管理職として副業・独立を考えているあなたに向けてお伝えします。

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1. 「好きなことで生きていく」の落とし穴

「好きなことを仕事にしよう」という言葉は、なんとも心地よく響きます。しかし本書は、この言葉の危険性を冷静に指摘しています。

好きなことを起業テーマに選んだ人の多くは、自分がやりたいと感じる事業――たとえば自分好みのアパレルブランドの立ち上げや、趣味と連動したカフェの開業――に取り組みます。ところが市場はあなたの「好き」には無関心です。需要があるかどうかを検証しないまま資金を投入し、在庫の山を抱えて撤退を余儀なくされる。これが多くの「情熱起業家」が辿る道です。

本書は容赦なく突きつけます。
好きという気持ちは判断を曇らせる――情熱があればあるほど、撤退判断が遅れてしまうのです。

2. 起業は自己実現の舞台ではない

本書が繰り返し説いているのは、起業の目的は自己表現や承認欲求の満足ではなく、「利益を上げること」という一点に尽きるということです。

インパクトのある新商品を生み出す才覚は、ごく一部の人間にしか備わっていません。そして、そういった才覚を持たない大多数の人間が取るべき戦略は、自分に合ったビジネスモデルを見つけ、着実に利益を上げ続けることだと著者は断言します。

これはあなたの管理職としての仕事にも通じることではないでしょうか。部下の指導も、上司への提案も、「自分を輝かせること」が目的ではありません。チームとして成果を出すこと――その地道な積み重ねが、真のリーダーシップです。起業も同じ発想で捉え直すことができます。

3. 地味な経営者こそがロールモデル

本書が推奨する行動のひとつが、地元の商工会議所に足を運び、地味な事業を営む経営者に話を聞くことです。

メディアが取り上げるのは、一部の天才による華やかな成功ストーリーばかりです。しかし現実には、目立たないながらも着実に地域の需要を満たし、10年・20年と稼ぎ続けている個人事業主や中小企業経営者が数多く存在します。彼らに共通するのは、特別な才能でも革新的なアイデアでもありません。地道に需要を満たし続ける継続力です。

IT業界のマネジメントで培ったあなたの実務感覚――プロジェクト管理、課題の優先付け、メンバーとの対話――は、こうした地味な経営者たちの仕事の進め方と、じつは非常に近いところにあります。

4. 泥臭いステップを踏む勇気

本書が提示する起業へのアクションプランは、はっきり言って地味です。

まず商工会議所に行く。次に、地味な経営者に話を聞く。そして、その成功事例を徹底的に分析して真似をする。このたった3ステップです。「華やかさのかけらもない」と感じる人もいるでしょう。しかしここにこそ、本書の圧倒的なリアリティがあります。

プライドを捨て、教えを請う。自己顕示欲を手放し、実利を優先する。これができる人間だけが、最初の安定した現金を手に入れることができると著者は説きます。

管理職として部下に頭を下げ、上司の意図を汲み取り、顧客の無理な要求とも向き合ってきたあなたには、この「泥臭さへの耐性」がすでに備わっているはずです。それは大きな武器になります。

5. 自己実現は「稼いでから」でいい

本書が否定しているのは、自己実現そのものではありません。自己実現を起業の「前提条件」に置くことを否定しているのです。その順番の違いが、成否を分けます。

まず稼ぐ、やりたいことは後から――このシンプルな原則が、本書の核心です。

まず地道に稼ぐ仕組みを作る。安定した収益基盤ができたあとで、初めて「自分がやりたいこと」に投資する余裕が生まれます。逆の順番でやろうとするから、多くの人が資金を使い果たして退場するのです。

これはあなたのキャリア設計にも応用できる考え方です。まず管理職として実績を積み、信頼を得る。その後で、やりたい仕事やプロジェクトを手繰り寄せていく。「稼ぐ力」と「やりたいこと」は、並行ではなく順番に追うべきものなのかもしれません。

6. 家庭で活かす「実利優先」の発想

この「実利優先」の思考は、家庭のコミュニケーションにも応用できます。

家族との会話で「自分の気持ちをわかってほしい」「自分の考えを認めてほしい」と承認欲求が先に立つと、話がかみ合わなくなりがちです。しかし「家族にとって何が実利か」という視点に切り替えると、会話の質が変わります。妻が本当に求めているのは共感か、それとも具体的な解決策か。子どもが今必要としているのは何か。そう問い直すだけで、コミュニケーションの方向性が定まります。

起業論から家庭論へ、と飛躍しているように見えるかもしれません。しかし「感情より実利を優先する」「相手が本当に求めているものを見極める」という発想は、ビジネスにも家族関係にも共通する普遍的な知恵です。

あなたの「生存戦略」を考える時

村上学氏の著書は、起業を美化しません。華やかな夢を語る代わりに、「まず稼げ、そして続けろ」という極めてシンプルなメッセージを届けてくれます。

自己実現の欲求を起業の出発点にしてしまうことの危険性、そして地道な模倣と継続こそが確実な収益基盤を作るという現実――本書を読んで、あなたの「起業観」がどう変わるか、ぜひ確かめてみてください。

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NR書評猫1207 シン・二番煎じビジネス

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