不動産投資で着実に利益を上げたいと考えているあなた。しかし、都心の物件価格は高騰し、利回りの良い物件はなかなか見つからないという現実に直面していませんか。大友哲哉氏の『20ステップで再建築NGが再建築OKに甦る手順書』は、そんな投資家に新たな視点を提供してくれます。本書は、多くの投資家が敬遠する再建築不可物件を合法的に再建築可能な優良物件へと蘇らせ、大きな利益を得る具体的な手順を解説した実践書です。
業界が見過ごす物件に眠る価値
多くの不動産業者が再建築不可物件を扱わない理由があります。建築基準法上の道路に十分接しておらず、現状では建て替えが認められないため市場評価が著しく低いのです。売買価格が安いため仲介手数料も少なく、不動産仲介会社にとっては儲からない物件として敬遠されます。
しかし大友氏は、まさにこの点にビジネスチャンスを見出しています。業界で仕事にならないとされる物件だからこそ、低価格で取引される傾向があります。著者が提示する戦略は、安値で眠る再建築NG物件に手を加えて甦らせ、高値で売却するという再生ビジネスです。
本書で紹介されるフレームワークを活用すれば、再建築不可物件を法的に再建築可能に格上げし、新築戸建てを建てて転売することで1000万円規模の利益を上げることも目指せるとされています。他の投資家が見過ごす物件で利益を狙う逆張りの発想が、本書の核となっています。
再建築NGをOKに変える3つの方法
本書の最大の価値は、再建築不可物件を合法的に再建築可能に変える具体的な方法を示している点です。著者は主に3つの方法を解説しています。
1つ目は「セットバック」です。敷地の一部を後退させて道路幅員を確保する方法で、例えば前面道路が幅4m未満の場合、自分の敷地を道路中心から2m下がる位置まで後退提供し、道路扱いにすることで接道義務を満たします。後退部分の固定資産税は非課税になるメリットもあります。
2つ目は「43条但し書き許可」を取得する方法です。行政に対して建築基準法第43条第2項に基づく許可申請を行い、車両通行が困難でも緊急避難可能と認めてもらうことで再建築の許可を得ます。建築士に事前相談図面を作成してもらい役所へ申請することで、数ヶ月で許可が下りるケースがあります。
3つ目は「隣地の一部を買収」する方法です。隣接地から細長い帯状の土地を譲り受け、自分の敷地の道路接道部分を2m以上に広げることで建築条件をクリアします。例えば間口が1.9mしかない場合、隣地から幅0.1m分の土地を買い取って接道幅を2.0mに拡張するといった具体例が示されています。
物件を探すための実践的アプローチ
本書の特徴は、物件探しの段階から具体的な手順を示している点です。再建築NG物件は一般の不動産ポータルサイトに登録されていないケースも多く、通常の方法では見つけにくいのが実情です。
著者は埋もれた案件を掘り起こす工夫として、該当物件を多く扱っていそうな不動産業者へ片っ端から照会する方法を紹介しています。具体的には、地域の不動産業者を100社リストアップし、メールやFAXで再建築不可物件の情報があれば紹介してほしいと一斉にDMを送る手順が指南されています。
さらに他の手段として、役所の資料から直接アプローチする方法も解説されています。各自治体には建築基準法上の道路種別を示した指定道路図という地図があり、これを閲覧することで接道義務を満たさない物件の場所と所有者名を把握できます。この地図などを活用して再建築NG物件と思われる戸建の住所と所有者氏名を100件リストアップするという実地的ステップも提示されています。
そしてリスト化した所有者に対して、手紙やハガキで直接DMを郵送し、物件を買い取りたいという意思を伝えるアプローチも推奨されています。このように、市場に出ていないオフマーケット物件を所有者から直接取得するルートを開拓する点が本書の特徴です。
体系化された20ステップの全体像
本書はプロセスを20のステップに細分化し、初心者には難しい再建築不可物件の再生手順を分かりやすく体系化しています。物件情報の探し方から法的許可取得、隣地交渉、新築プラン策定、そして売却まで、何を・いつ・どう行うかが順序立てて示されているため、読者はロードマップに沿って行動できます。
序盤では再建築不可物件に関する法律・制度の基礎を復習し、戦略全体を理解する土台を作ります。道路の種類や接道義務の詳細など、建築基準法の考え方を学ぶステップから始まります。
中盤のステップでは、先述した公開市場と非公開情報の両面から物件情報を得る具体的手順が詳細に指南されています。役所の指定道路図で候補物件リストアップ、所有者にダイレクトアプローチといった段階的な指示があるので、複雑なプロジェクトも迷わず進められるでしょう。
多方面から情報収集し候補物件を得た後は、実際に有望な物件に現地調査・役所調査を行い、法的な再建築可否の見込みを立てます。そして指値交渉による買付け、契約と進み、取得後は先述の方法によって接道義務など法的障壁をクリアする作業に入ります。
著者は各ステップで想定されるハードルについて具体的な助言を与えており、読者は順を追って実践イメージを掴めます。例えば隣地所有者との交渉のコツや、役所への許可申請のポイントなどが示されています。
最後には建築プランの簡易な検討と出口戦略にも触れられています。建て替え後にどんな建物を建てるか、どの程度の規模なら収益が見込めるか、再建築OKにした後にすぐ新築して売却すればどの程度の利益になるのかまで計算し、投資採算を見極めることが重要であると説かれています。
費用とリスクの現実的な見積もり
夢物語ではなく現実的な投資判断ができることが本書の強みです。各方法の必要な手続きや費用感、メリット・デメリットについて実務的な視点で解説されています。
セットバックの場合、測量・境界確定に30万円から60万円、ブロック塀や門扉の移設に20万円から50万円、舗装に10万円から30万円程度かかります。期間は3ヶ月から6ヶ月程度で、成功率は比較的高いとされています。
43条但し書き許可の場合、費用は比較的低額で数十万円規模で済みますが、成功率は役所の判断次第となります。隣地買収の場合は70万円から150万円程度の費用がかかり、期間は3ヶ月から6ヶ月程度、成功率は交渉次第とされています。
本書では終始、合法性の確保とリスクコントロールの重要性が強調されています。違法建築物を生み出さないことはもちろん、各種手続きがクリアできなかった場合の代替策や、許可取得前提で購入するリスクについても触れられています。再建築可能にできなかった場合の出口戦略、例えばリフォームして賃貸物件として回すといった選択肢にも言及があります。
上級者向けだが得るものは大きい
本書は全54ページの比較的短い電子書籍ですが、著者の長年の現場経験に裏打ちされたノウハウが凝縮されています。少なくとも宅地建物取引士や不動産実務検定1級レベルの基礎知識を持つ方を対象としており、専門知識を前提とした内容となっています。
Amazon上の評価を見ると、内容自体は役に立つノウハウが書かれているものの、分量や図解の少なさから物足りないと感じる声もありました。専門知識を前提としていることから、思ったより初心者向けではないと感じた人もいるようです。
しかし一方で、本書が提案する視点のユニークさを評価する意見もあります。再建築不可という一見ネガティブな物件に焦点を当て、それを再生して利益を得る発想は他の一般的な不動産投資本にはあまり見られないため、新鮮で面白い、業界の盲点を突いているという前向きな感想も散見されます。
総合すると、上級者向けだが得るものは大きいと捉える読者と、概要は理解できたが物足りないとする読者に評価が分かれている印象です。扱うテーマがニッチで読者を選びますが、興味を持った投資家には刺さる内容となっています。
投資戦略の新たな選択肢として
再建築不可物件をめぐるリスクとメリットを正確に理解した上で、その物件に新たな価値を吹き込むノウハウを伝える本書は、不動産投資上級者に向けた再建築不可物件再生の手順書となっています。
著者は再建築不可物件の活用を再生ビジネス入門の一環と位置付けています。つまり手間と専門知識はかかるものの、うまくいけば高利回り・高キャピタルゲインを狙える積極的戦略です。
安価な再建築NG物件に手を加えて高値転売するという戦略は、実現すれば非常に高い投資リターンをもたらします。本書ではその夢物語を現実に近づけるための具体策を網羅し、リスクとコストの見極め方も丁寧に解説しています。
合法的に建て替えるノウハウが手に入るという宣伝文句の通り、読み終えれば読者は再建築不可物件に対する見方が変わり、適切な知識と手順を踏めば十分ビジネスチャンスになり得ることが理解できるでしょう。単なる理論ではなく実務ベースで構成されているため、計画立案から実行までのロードマップを得ることができます。
不動産投資の選択肢を広げたい、他の投資家が見過ごす物件で差別化を図りたい、そんな意欲的な投資家にとって、本書は新たな扉を開く一冊となるはずです。

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