世界最高峰の運用手法を、サラリーマンが自分の老後資金に応用できる理由

将来のお金のことが、頭の片隅にずっと引っかかっていませんか。都内のマンションのローン、子どもの教育費、そして老後の生活資金……。昇進して年収は上がったものの、出費も増えて、なかなか資産が積み上がらないと感じている40代の方は多いはずです。

「投資はしたいけれど、チャートを毎日見る時間なんてない」「難しそうで何から始めればいいかわからない」――そんな本音を持つ忙しいビジネスパーソンに、一つの答えを示してくれる本があります。金融のプロフェッショナルである北村慶氏による『大人の投資入門』です。

本書が明かすのは、ハーバード大学や世界の一流年金基金が実践している投資の「王道」を、ふつうのサラリーマンが自分の老後資金に応用する具体的な方法です。今回はその核心となる「機関投資家の運用手法を個人が再現する」という考え方を、詳しくご紹介します。

Amazon.co.jp: 大人の投資入門―真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」 : 北村 慶: 本
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ハーバード大学の財団と、私たちの共通点

「ハーバード大学の財団運用と、自分の積立投資に共通点などあるのか?」と思われるかもしれません。

実は、根本的な発想は同じです。ハーバード大学の財団は、数兆円規模の資産を長期的に守りながら増やすため、複数の資産クラスに分散して投資を行います。国内株式、外国株式、債券、不動産……値動きが異なる資産を組み合わせることで、どれかが下がっても別のものが支えるという「負けにくい陣形」を構築しているのです。

個人投資家がこれを真似できない理由はありません。北村氏が本書で強調するのは、この「分散投資の哲学」こそが、個人の老後資金を守り育てる最も合理的な方法だということです。難しい専門知識がなくても、この哲学を取り入れることは十分に可能です。

「分散投資」がなぜ強いのか

分散投資とは、簡単に言えば「一つのカゴに卵を全部入れない」ことです。日本株だけに全財産を突っ込んでいれば、日本経済が落ち込んだときに大きなダメージを受けます。しかし、日本株・外国株・債券に分けて持っていれば、一部が値下がりしても、他の資産が相殺してくれます。

現代ポートフォリオ理論と呼ばれる考え方があります。値動きが異なる資産を組み合わせると、全体のリスクを下げながら一定のリターンを期待できることが数学的に証明されています。
これはノーベル賞を受賞した理論であり、世界中の機関投資家が実践している、いわば教科書ともいえる手法です。

難しそうに聞こえますが、やることは単純です。日本株・外国株・国内債券・外国債券という四種類の資産クラスに資金を分けるだけで、この理論の恩恵を受けられます。特別な調査も、高度な計算も必要ありません。

特別な金融商品は不要――鍵はインデックスファンド

「プロと同じ運用なんて、特別な商品や大きな資金が必要なのでは?」と感じる方もいるでしょう。

そうではありません。北村氏が示す解答は、低コストのインデックスファンドを活用することです。
インデックスファンドとは、日経平均や米国のS&P500といった株価指数に連動して動くように設計された投資信託のことです。特別な調査や銘柄選びを必要とせず、市場全体の平均的な成長をそのまま受け取れる商品です。

たとえば、国内株式インデックスファンド・先進国株式インデックスファンド・国内債券インデックスファンド・外国債券インデックスファンドという4本を揃えるだけで、世界に分散した「プロ仕様の陣形」が完成します。しかも、これらは数百円から積立購入できるものが多く、まとまった資金がなくても始められます。

自分のポートフォリオに「陣形」を作る

具体的にどう組み合わせるか、イメージを持ってみましょう。

仮に毎月3万円を積み立てるとします。そのうち国内株式に25%、先進国株式に25%、国内債券に25%、外国債券に25%を配分する――これだけで、ハーバード大学の財団が実践しているのと同じ「グローバル分散」の発想が個人レベルで再現できます。

大切なのは、特定の国や企業が必ず成長すると賭けるのではなく、世界経済全体が長期的に成長するという大きなトレンドに乗ることです。どの国が伸びるかを当てる必要はなく、世界全体に広く投資することで、資本主義経済の恩恵を分散して受け取れます

IT系の仕事に例えるなら、冗長構成のシステムと似ています。一つのサーバーが落ちても、別のサーバーがカバーしてシステム全体を維持するのと同じ発想です。一つの資産が落ちても、別の資産がカバーして資産全体を守る――そういう仕組みを自分のお金に作り込むわけです。

「難しそう」という壁を超えて

投資の世界に踏み込もうとすると、チャートの読み方や財務分析、個別銘柄の選び方といった高度な知識が必要に見えて、腰が引けてしまうことがあります。多くの方が最初にそう感じているはずです。

ところが北村氏の言葉は明快です。個人が機関投資家の手法を再現するのに、専門的なスキルは不要だというのです。必要なのは適切な資産クラスへの分散と、長期的に持ち続ける意志だけ。これは日々チャートを眺める必要も、企業決算を読み解く必要もないということです。

複雑に見えた投資が、インデックスファンドを数本揃えて適切な比率で持ち続けるというシンプルな作業に変わります。忙しい管理職でも実践できる手法が、ここにあります。

昇進した今こそ、資産形成の設計図を描く

40代で管理職になった今が、実は資産形成の「設計図」を描くベストタイミングです。

なぜなら、この先20年以上という「超長期」の投資期間が確保できるからです。時間は個人投資家にとって最大の武器であり、この点においてはプロのファンドマネージャーよりも個人のほうが有利な立場にあります。プロは四半期ごとに成績を評価されるため、短期的な結果を出さざるを得ません。しかし個人は「20年後の老後資金」というゴールだけを見据えて、焦らず市場に居続けることができます。

教育費の準備、住宅ローンの返済、老後の生活資金――複数の目標が重なる40代だからこそ、「世界経済の成長に乗って、時間をかけて確実に増やす」という王道の手法が力を発揮します。今日から始めれば、60代を迎える頃にはその複利の力を実感できるはずです。

北村慶著『大人の投資入門』は、こうしたプロの発想を個人に届けるための、論理的かつ実践的な一冊です。「自分の老後資金は自分で作る」という覚悟を持つ方に、ぜひ手に取っていただきたい本です。

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NR書評猫1213 北村慶 大人の投資入門

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