あなたは今、部下からの様々な要望、上司からの無茶な指示、そして限られた予算とリソースの中で、何をやるべきか分からない状態に陥っていませんか?
「新規事業も手がけたい」「既存サービスも改善したい」「人材育成もしたい」「コスト削減もしたい」……気がつけば、すべてが中途半端になって、結果として何も成果が出ない。そんな経験はありませんか?
もしあなたがこのような状況に心当たりがあるなら、今回ご紹介する小山昇氏の「実践ランチェスター戦略」における「選択と集中」「捨てる勇気」の考え方が、必ずあなたの仕事を変えてくれるでしょう。
43年連続黒字を実現した経営者が教える、限られたリソースで最大の成果を生み出す方法をお伝えします。
なぜ「あれもこれも」では勝てないのか?中間管理職が知るべき現実
IT業界で働く中間管理職のあなたなら、きっと経験があるはずです。新しいプロジェクトが立ち上がるたびに「うちの部署でもやりましょう」と手を挙げる。競合他社が新サービスを出せば「うちも負けじと」と企画を立てる。
しかし、小山昇氏は著書の中で「何でもあるは、何もないと同じ」と明確に断言しています。これは、リソースが分散することの危険性を端的に表した言葉です。
なぜ「あれもこれも」では勝てないのでしょうか?理由は単純です。
中小企業や限られた予算の部署が、大企業と同じように「幅広く展開」しようとすれば、必然的に一つひとつの取り組みが薄くなります。結果として、どの分野でも競合に負けてしまい、「器用貧乏」な状態に陥ってしまうのです。
特にIT業界では技術の変化が激しく、新しいトレンドが次々と生まれます。AIだ、DXだ、クラウドだと、すべてに対応しようとすれば、専門性が薄れ、顧客からは「何が得意な会社なのか分からない」と認識されてしまいます。
「捨てる勇気」が生み出す圧倒的な競争力
小山昇氏が強調するのは、「勝つための第一歩は捨てること」という考え方です。これは、単なる整理整頓の話ではありません。戦略的に「やらないこと」を決めることで、限られたリソースを本当に重要な領域に集中投下する、経営の本質的な判断なのです。
では、具体的に何を「捨てる」べきなのでしょうか?
捨てるべき3つの領域
1. 成果の出ない既存業務
毎月の定例会議、形骸化した報告書、誰も読まない資料作成など、慣習で続けているだけの業務は思い切って見直しましょう。
2. 競合優位性のない市場
大企業がメインで戦っている市場で、同じ土俵で勝負を挑んでも勝ち目はありません。「各駅停車しか止まらない駅」のような、競合が見向きもしないニッチな領域を見つけることが重要です。
3. 利益率の低いサービス
売上は上がっても利益が薄い業務は、リソースの無駄遣いです。小山氏は「売上よりも利益を重視する」ことの重要性を繰り返し述べています。
捨てることで生まれた余剰リソースを、最も効果的な一点に集中させる。これが、弱者が強者に勝つための基本戦略なのです。
一点集中で市場シェア26.1%を目指す具体的方法
「捨てる」ことができたら、次は「集中」です。ランチェスター戦略では、市場シェア26.1%以上を獲得することで、その市場での圧倒的な優位性を築くことを目標とします。
では、IT部門の中間管理職として、どのように一点集中を実現すればよいのでしょうか?
集中すべき3つの軸
1. 技術領域の絞り込み
すべての技術トレンドを追うのではなく、自社の強みを活かせる特定の技術領域に特化します。例えば、「クラウド移行専門」「セキュリティ特化」「業務システム開発のスペシャリスト」など、明確な専門性を打ち出すのです。
2. 顧客層の細分化
「すべての企業をターゲットに」ではなく、特定の業界や企業規模に絞り込みます。小山氏が推奨する「自社の販売データを分析」を行い、最も成果の出やすい顧客層を特定しましょう。
3. 営業エリアの限定
物理的な制約がある場合は、「車で30分以内」など、効率的にフォローできる範囲に営業エリアを限定することも有効です。これにより、顧客への訪問回数が増え、より深いコミュニケーションが可能になります。
成功事例:あるIT企業の一点集中戦略
小山氏の指導先企業の事例では、「しゃべりすぎる営業から、聴く営業に変える」ことで、売上以上に粗利益が大幅に改善した例があります。
この企業は、従来「何でもできます」とアピールしていた営業スタイルを見直し、まず顧客の課題を深く聞き取ることに集中しました。その結果、顧客の本当のニーズに応える提案ができるようになり、価格競争に巻き込まれることなく、高利益率の案件を獲得できるようになったのです。
中間管理職が今すぐ実践できる「選択と集中」の具体的ステップ
理論は理解できても、実際に「何から始めればよいのか」迷う方も多いでしょう。ここでは、明日から実践できる具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:現在の業務を見える化する
まず、あなたの部署で行っている業務をすべて書き出してください。プロジェクト、定例業務、会議、報告作業など、時間を使っているすべての活動を洗い出します。
次に、それぞれの業務について以下の3つの観点で評価します:
- 利益への貢献度(高・中・低)
- 競合優位性(高・中・低)
- 将来性(高・中・低)
ステップ2:「捨てるもの」を決める
評価の結果、すべてが「低」の業務は思い切って削減または廃止の対象とします。小山氏の言う「現在の業務で不要なことを決定する」段階です。
ここで重要なのは、感情的な判断ではなく、データに基づいた「科学的アプローチ」で判断することです。「昔からやっているから」「みんながやっているから」という理由は、捨てる判断を先延ばしにする言い訳でしかありません。
ステップ3:集中領域を明確化する
捨てることで生まれた時間とリソースを、評価で「高」が複数ついた業務に集中投下します。ただし、ここでも欲張ってはいけません。最大でも2~3つの領域に絞り込むことが重要です。
ステップ4:成果指標を設定し、継続的に改善する
集中した領域での成果を測定するための指標を設定します。売上だけでなく、利益率、顧客満足度、市場シェアなど、複数の角度から評価できる仕組みを作りましょう。
小山氏は「計画の実行は『対話』で確認する」と述べています。定期的に部下との対話を通じて、戦略の進捗と課題を共有し、必要に応じて軌道修正を行うことが成功の鍵となります。
まとめ:選択と集中で変わる、あなたの仕事と部署の未来
小山昇氏の「選択と集中」「捨てる勇気」の考え方は、限られたリソースで最大の成果を生み出すための、極めて実践的な戦略です。
特に中間管理職のあなたにとって、この考え方は単なる業務効率化を超えた、組織変革のリーダーシップを発揮するための重要なツールとなるでしょう。
「あれもこれも」から「これだけは」への転換。それは、あなた自身の評価向上はもちろん、部下のモチベーション向上、そして会社全体の競争力強化につながります。
今こそ、「捨てる勇気」を持って、本当に重要なことに集中する経営者マインドを身につけてください。その第一歩が、あなたと組織の未来を大きく変えることになるのです。

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