人生の最期に「ああ、楽しかった」と言えますか?佐々涼子『夜明けを待つ』が教える、限りある命を輝かせる

あなたは人生の最期に、どんな言葉を残したいですか?

忙しい毎日に追われる中で、私たちはつい「生きる意味」について深く考える機会を先延ばしにしがちです。しかし、ノンフィクション作家として長年「生と死」と向き合ってきた佐々涼子氏が、自身の余命宣告を受けながら綴った『夜明けを待つ』は、そんな私たちに人生の真の価値とは何かを問いかけます。

この記事では、佐々氏の集大成ともいえる本書を通じて、限りある命の中でいかに充実した人生を送るか、そして最期に「ああ、楽しかった」と言える生き方について考えていきます。

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1. 佐々涼子という作家が辿り着いた境地

佐々涼子氏は『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で開高健ノンフィクション賞を受賞するなど、一貫して「生と死」をテーマとした作品を世に送り出してきました。

2022年11月、彼女は悪性脳腫瘍と診断され、平均余命14ヶ月という厳しい現実に直面します。しかし、この状況下で執筆された『夜明けを待つ』の「あとがき」は、読者に深い感動を与えているのです。

長年、他者の死を客観的に見つめてきた著者が、今度は自らがその当事者となる。この究極の体験が、彼女の言葉に比類ない真実味と切実さをもたらしています。

2. 10年間の探求が結実した「集大成」の意味

『夜明けを待つ』は、佐々氏が過去10年間に執筆したエッセイ33作とルポルタージュ9作から厳選された作品集です。しかし、これは単なる過去作品の寄せ集めではありません。

10年という歳月を「死」と徹底的に向き合い、その果てに「死の実相」ではなく「生きていくことの意味」を見出したという著者のメッセージが、作品の根底に流れています。

特に印象的なのは、著者が「親は死してまで、子に大切なことを教えてくれる」という視点を持っていることです。死を単なる終焉としてではなく、生の意味を深く理解するための契機として捉える、深い哲学がここにあります。

3. 「体はぜんぶ知っている」が示す生命への信頼

本書に収録されたエッセイ「体はぜんぶ知っている」では、著者の深い洞察が示されています。

自身の卵巣嚢腫の経験から、「私は死に方を知らないが、きっと体は知っている」という表現で、人間が意識的にコントロールできない生命の根源的な側面と、身体に宿る普遍的な知恵への信頼を表現しています。

これは現代のIT社会に生きる私たちにとって、特に重要な視点かもしれません。デジタル化が進む中で、私たちは身体感覚や生命の根源的な力を忘れがちです。しかし佐々氏は「命は変容し形を変えて失われることはない」とも記しており、より広範な生命観を示唆しています。

4. 「ああ、楽しかった」と言える人生とは

本書で最も心に響くのは、著者が人生の終わりに際して「ああ、楽しかった」と言える人生を送りたいと願うメッセージです。

この言葉は、横浜のこどもホスピス「うみとそらのおうち」での体験から生まれました。寿命の短い子どもたちが「もっとやりたい」とわがままを言わず、「あー、楽しかった」とだけ言って別れるという話に深く感銘を受けた著者は、自身の最期もそうありたいと願っています。

この境地は、私たち大人が見失いがちな人生の本質的な価値を思い出させてくれます。成果や成功を追い求めるあまり、今この瞬間の幸せを見過ごしてはいないでしょうか。

5. 死を前にした著者が伝える「希望の書」

多くの読者が本書を「生きていく上で、とても力になる『希望の書』」と高く評価しています。それは、著者が自身の死を目前にしてもなお、人生を肯定し続ける強靭な精神に感動するからです。

佐々氏の文章は「簡潔かつ率直で飾りがなく」「誰が読んでもわかりやすく、水を飲むようにすっと染み込む」と評されており、その息づかいや人となりが文に表れています。

「幸せは自分の心が決める」という著者の言葉は、物質的な豊かさや社会的な成功だけでなく、内面的な充足感や受容の心が真の幸せに繋がることを教えてくれます。

6. 現代を生きる私たちへの普遍的メッセージ

本書は著者の個人的な闘病記録を超え、現代社会に生きるすべての人への普遍的な問いかけとなっています。

日常の尊さ、失うことの痛み、そして残された時間をどう生きるかという根本的なテーマが浮き彫りにされています。特にIT業界で働く私たちにとって、プロジェクトの成功や昇進といった外的な目標に追われる中で、本当に大切なものは何かを見つめ直す機会を与えてくれます。

死という避けられない現実を前にした人間の内面、葛藤、そして受容の過程を、極めて個人的な視点から、しかし普遍的な共感を呼ぶ形で提示した本書は、私たち自身の生と死に対する価値観を揺さぶる契機となるでしょう。

人生の最期に振り返って微笑める生き方を

佐々涼子『夜明けを待つ』は、著者が自身の命をかけて伝える、人生で最も大切なメッセージが込められた一冊です。

10年間にわたって「生と死」と向き合い続けた著者の集大成として、この作品は私たちに限りある時間の中でいかに充実した人生を送るかを教えてくれます。忙しい日々に追われる中でも、今この瞬間の価値を見出し、最期に「ああ、楽しかった」と言える生き方を模索していく。

それこそが、現代を生きる私たちにとって最も重要なテーマなのかもしれません。

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NR書評猫374 佐々涼子著[夜明けを待つ」

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