不動産投資の話を聞くと、専門用語が次々に出てきて頭が痛くなりませんか。利回り、積算価格、路線価…。業者の説明を聞いても、本当に信用していいのか不安になります。でも、この数字の壁を越えられない限り、あなたは永遠に業者の言いなりです。不動産投資アドバイザーの賀藤浩徳氏による『これを知らずに個人が不動産投資をしてはいけない!』は、そんなあなたに数字で判断する力を授けてくれる一冊です。コンパクトながら、不動産投資に必要な基礎知識が網羅され、初心者でも自分で物件の適正価格を計算できるようになります。
不動産業者の「適正価格」を信じてはいけない理由
不動産業者が物件を紹介する際、必ず価格を提示します。しかし、その価格は本当に適正なのでしょうか。実は、不動産価格には複数の評価方法があり、業者がどの手法を使うかで価格は大きく変わります。
本書では、不動産価格を決める三つの手法が紹介されています。原価法による積算価格、取引事例比較法による比準価格、そして収益還元法による収益価格です。これら三つの価格は、同じ物件でも数百万円から数千万円の差が生じることがあります。
業者が価格を提示してきたとき、その根拠を聞けば、分かりやすく論理的に説明できる業者なら良心的で、比較的レベルの高い業者と判断できます。ただし、相手任せに聞くのではなく、事前に自分である程度価格のイメージと価格の根拠を持ち、業者に突っ込める材料を持って聞くことが重要です。
著者は「これらを自分で計算できるようにしておくべき」と述べ、数字に強くなることが投資で得をする鍵だと説いています。不動産の価値を正しく知る者だけが得をし、知らない者が損をする構図になっているからです。
公示価格と路線価から読み解く物件の本当の価値
専門用語に怯える必要はありません。公示価格と路線価の関係を知るだけで、物件の大まかな適正価格が見えてきます。
路線価は公示価格の約70パーセントから80パーセントに設定されています。つまり、路線価が分かれば、逆算して公示価格の目安が分かります。そして、公示価格が分かれば、その物件が高すぎるのか、適正なのか、お買い得なのかが判断できるのです。
本書では、ある物件の購入を検討する際に、公示価格や周辺の取引事例から独自に適正価格を算出し、それをもとに業者と交渉する方法が紹介されています。こうした知識があれば、業者の言いなりになることなく、対等な立場で交渉できます。
実際、本書を読んだ後では「利回り何パーセントだから買おう」ではなく、「利回りは高いが空室率や将来の修繕費を考慮すると実質利回りは何パーセントまで下がる」という具合に、一歩踏み込んだ数字の読み取りができるようになります。
人口減少問題という時限爆弾を見逃すな
不動産投資で最も恐ろしいのは、将来の需要減少です。特に日本では人口減少が確実に進んでおり、この問題を無視して投資すれば、数年後に空室だらけの負動産を抱えることになります。
本書の第2章では、人口減少や消滅可能性都市の話題が取り上げられ、今後の人口動態が不動産投資に与える深刻な影響が説明されています。需要減少による空室リスクの恐ろしさが具体的データで示されており、読者に警鐘を鳴らしています。
著者は「20年後には人口何パーセント減の地域では賃貸需要も激減する」とシミュレーションして見せ、将来を見据えた判断を促しています。こうした長期的な視点こそが、堅実な不動産投資には欠かせません。
目の前の利回りだけを見て飛びつくのではなく、10年後、20年後にその物件がどうなっているかを想像する力が必要です。本書はそのための基礎知識を提供してくれます。
利回りの罠―表面利回りに騙されないために
不動産投資の広告では「表面利回り10パーセント」などと魅力的な数字が並びます。しかし、この表面利回りは、経費を一切考慮していない数字です。
実際には、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、空室損失など、様々な経費がかかります。これらを差し引いた実質利回りは、表面利回りよりも大幅に低くなります。
本書では、物件価格の決まり方、賃貸需要に影響を与える人口動態、景気や金利と不動産市況の関係、税制上のメリットなど、投資判断に必要な知識を網羅して解説しているため、読後には不動産投資の全体像が掴めます。
例えば、本書を読めば「公示価格」「路線価」「積算価格」「利回り」といった専門用語の意味が理解でき、自分なりに物件の適正価格を試算することも可能になるでしょう。こうした知識があれば、業者の甘い言葉に惑わされることなく、冷静な判断ができます。
減価償却とレバレッジ効果を理解する
不動産投資には税制上のメリットもあります。特に減価償却による節税効果は大きく、一般事業でも原価償却が認められますが、不動産賃貸の場合は、原価償却費の売上高(賃貸収入)に占める割合が高いため、その費用を損金に算入できるので、大きく節税ができます。
また、レバレッジ効果も重要です。物件に収益力があれば、全額自己資金購入よりも借入を行なって自己資金を少なくした方が、自己資金当たりの収益性(投資利回り)を高くすることができます。
ただし、これらのメリットを享受するためには、正しい知識が必要です。本書では、こうした基礎知識を丁寧に解説しており、初心者でも理解できるように工夫されています。
景気と金利の関係が不動産市況を左右する
不動産市場は、景気や金利の影響を大きく受けます。金利が上昇すれば、ローン返済額が増え、キャッシュフローが悪化します。景気が悪化すれば、賃貸需要が減り、空室率が上昇します。
本書では、こうした不動産市況のサイクルについても解説されており、第5章では「不動産のマーケットサイクルを押さえて損失を最小限に」というテーマが取り上げられています。
市場の波を理解し、適切なタイミングで投資することが、成功への鍵です。本書を読めば、こうした市場の動きを読む力も養えます。
数字に強くなることが投資家としての第一歩
不動産投資で成功するためには、数字に強くなることが不可欠です。業者の説明を鵜呑みにせず、自分で計算し、根拠を持って判断する力が必要です。
読者は「誰かに言われたから」ではなく自分の頭で計算し根拠を持って判断できる投資家を目指せるのです。こうした基礎知識の習得によって、あなたは不動産投資の世界で生き残ることができます。
本書はコンパクトながら、不動産投資に不可欠な基礎知識が一通り盛り込まれており、初心者の教科書として機能します。全89ページとコンパクトながら、不動産投資初心者・初級者に必要な基礎知識とノウハウが凝縮されています。
失敗しないための知識武装
不動産投資は、知識があるかないかで結果が大きく変わります。知識がなければ、業者の言いなりになり、高値で物件を掴まされ、将来的に大きな損失を被る可能性があります。
一方、知識があれば、適正価格で物件を購入し、リスクを管理しながら、着実に資産を増やすことができます。本書は、そのための知識を提供してくれる貴重な一冊です。
著者の賀藤浩徳氏は、不動産投資アドバイザーとして豊富な経験を持ち、その知見を惜しみなく本書に注ぎ込んでいます。2015年に刊行され、発売直後にはAmazon不動産投資部門で新着1位を獲得するなど話題となりました。
不動産投資を始める前に、まず本書を読んで、数字で判断する力を身につけましょう。それが、失敗しないための第一歩です。

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