アメリカを形作った二つの自己啓発思想~「自助努力」と「引き寄せ」の源流を辿る

昇進したばかりで部下とのコミュニケーションに悩んでいませんか。家族との会話がかみ合わず、自分の人生をより良くしたいと思っているのに、どうすればいいのかわからない。そんなあなたに、アメリカの自己啓発思想の歴史を紐解くことで、現代を生きるヒントが見えてくるかもしれません。尾崎俊介氏の『アメリカは自己啓発本でできている』は、単なる自己啓発本の解説書ではなく、アメリカ社会とアメリカ人の心理状態の変遷を読み解こうとする意欲的な試みです。この本を通じて、あなた自身の生き方を見つめ直すきっかけを得られるでしょう。

Amazon.co.jp: アメリカは自己啓発本でできている eBook : 尾崎俊介: Kindleストア
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第二次大戦後のベビーブーマー世代が生んだ自己啓発ブーム

第二次大戦後のベビーブーマー世代の自己啓発思想のトレンドを見ていくと、興味深い変化が浮かび上がります。ベビーブーマーは、従来の立身出世や金儲け、競争を重んじる価値観、ひいては親世代の成功した大人像の枠にはまることを拒否しました。

そして自らが中年に差し掛かるころには、自己の成長に抗い、苦しく痩せた肉体を求めるようになります。痩身系自己啓発思想が生まれ、そこにジョギングやワーキングアウトを扱ったスポーツ系自己啓発本が盛んに出版されるようになったのです。

この世代の変化は、単なる流行ではなく、アメリカ社会全体の価値観の転換を示していました。仕事での成功だけでなく、自分自身の内面や健康にも目を向けるようになったのです。部下とのコミュニケーションに悩むあなたも、もしかしたら世代間の価値観の違いに直面しているのかもしれません。

自己啓発思想の二大潮流「自助努力系」と「引き寄せ系」

著者は、自己啓発本を「出世指南書」であると定義づけ、その誕生から現代に至るまでの変遷を辿ります。アメリカの自己啓発思想の二大潮流を「自助努力系」と「引き寄せ系」と し、これらはエマニュエル・スウェーデンボルグを源流とするニューソートを起点にそれぞれ生成したものではないかとする推論が、本書を貫いています。

十八世紀、自己啓発本の端緒として まず現れたのが自助努力系でした。伝統的なキリスト教の権威が失墜していく中で、勤勉に働き、貯めて存在感を奪ったのがニューソートです。人の運命は神が決定し、天国は死後に訪れるとしたカルヴァン主義に対して、誠実に仕事に励み人の役に立てば、生きている間に周囲を天国に変えられるとこの新思想は示しました。

当時のアメリカ社会に強い影響を与えたこの自助努力による現世での成功を手に入れたのその代表例が、椀子工から建国の父と呼ばれるまでの地位を築いたベンジャミン・フランクリンです。彼が自らの来歴や出世の秘訣を書いた『自伝』を皮切りに、成功者の自伝や古今の偉人の出世譚が自己啓発本として支持されるようになり、今日に至るまで多くの読者を獲得し続ける一大ジャンルとなりました。

この自助努力の精神は、現代のビジネスパーソンにも通じるものがあります。あなたが抱えている悩みも、地道な努力の積み重ねで解決できるかもしれません。

引き寄せの法則の根本にある思いの力

引き寄せ系自己啓発本は十九世紀の資本主義経済の発展に伴って人気を拡大し、現代でもベストセラーの常連です。自己啓発本はこの二つの流れに大別されるのですが、想定読者や時代性、社会状勢などによって、ここからさらに数多の変種が生みだされてきました。

セールスマンとなり金持ちになる 方法を指南する金儲け系、年長者が若者に人生訓を授ける父から息子への手紙系、暑に日々の暮らしを豊かにするための短い格言が添えられた日めくり系などが言及 されていますが、中でも興味深いのは第二次大戦後のベビーブーマー世代の自己啓発思想のトレンドです。

ベビーブーマーは、従来の立身出世や金儲け、競争を重んじる価値観、ひいては親世代の成功した大人像の枠にはまることを拒否しました。そして自らが中年に差し掛かるころには、自己の成長に抗い、苦しく痩せた肉体を求めるようになります。痩身系自己啓発思想が生まれ、そこにジョギングやワーキングアウトを扱ったスポーツ系自己啓発本が盛んに出版されるようになったのはこうした背景があるのではないか、という著者の考察は出色です。

人間の思いに宿る世界を変える力

引き寄せの法則の根本にあるのは、人間の思いには大きな力があり、人は自分自身を変えることで世界を変えることができるという理念です。これもまた、ニューソートの発想した姿なのだと著者は述べています。

引き寄せ系自己啓発本は十九世紀の資本主義経済の発展に伴って人気を拡大し、現代でもベストセラーの常連です。自己啓発本はこの二つの流れに大別されるのですが、想定読者や時代性、社会状勢などによって、ここからさらに数多の変種が生みだされてきました。

セールスマンとなり金持ちになる 方法を指南する金儲け系、年長者が若者に人生訓を授ける父から息子への手紙系、暑に日々の暮らしを豊かにするための短い格言が添えられた日めくり系などが言及されていますが、中でも興味深いのは第二次大戦後のベビーブーマー世代の自己啓発思想のトレンドです。

あなたも、自分の思いが現実を作り出すという考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。部下への接し方、家族との向き合い方を変えることで、周囲の反応も変わってくるはずです。

ニューソートが現代に与える影響

十八世紀、自己啓発本の端緒として まず現れたのが自助努力系でした。伝統的なキリスト教の権威が失墜していく中で、勤勉に働き、貯めて存在感を奪ったのがニューソートです。

人の運命は神が決定し、天国は死後に訪れるとしたカルヴァン主義に対して、誠実に仕事に励み人の役に立てば、生きている間に周囲を天国に変えられるとこの新思想は示しました。当時のアメリカ社会に強い影響を与えたこの自助努力による現世での成功を手に入れたのその代表例が、椀子工から建国の父と呼ばれるまでの地位を築いたベンジャミン・フランクリンです。

彼が自らの来歴や出世の秘訣を書いた『自伝』を皮切りに、成功者の自伝や古今の偉人の出世譚が自己啓発本として支持されるようになり、今日に至るまで多くの読者を獲得し続ける一大ジャンルとなりました。

この流れを理解することで、現代のビジネス書や自己啓発本の本質が見えてきます。あなたが手に取っているビジネス書も、実はこの長い歴史の中に位置づけられるのです。

アメリカ社会を映す鏡としての自己啓発本

分析的な眼差しで自己啓発本のトレンドの移り変わりを見つめ、軽妙な筆致でアメリカ社会とアメリカ人の心理状態の変遷を明らかにする本書は、大いに知的好奇心を満たしてくれます。

本書の「はじめに」で述べられているが、こうした書物に「うさん臭い」「くだらない」という目を向けてきた人にこそ、多くの発見をもたらす一冊となるに違いありません。自己啓発本を読むことは、単に成功のテクニックを学ぶだけでなく、アメリカという国の成り立ちと、その社会を生きる人々の価値観を理解することにつながるのです。

あなたが今直面している課題も、この歴史的な文脈の中で捉え直すことで、新しい解決策が見えてくるかもしれません。自己啓発思想の変遷を知ることは、自分自身の生き方を見つめ直す貴重な機会となるはずです。

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NR書評猫879 尾崎俊介 アメリカは自己啓発本でできている

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