「休むと負け」だと思っていた私が、幕間を使い始めて変わったこと―象はポケットに入れるな!

「休んでいる暇はない。」「立ち止まったら追い抜かれる。」「忙しいのが当たり前だ。」

そう思いながら、朝から晩まで走り続けていませんか。会議から会議へ、メールの返信から次の資料作成へ、仕事が終わったら家族の夕食、子どもの宿題、明日の準備……。

でも少し考えてみてください。そうやって休まず走り続けた結果、本当に成果が上がっているでしょうか。部下との関係は良くなっているでしょうか。家族と笑えている時間が増えているでしょうか。

もし「頑張っているのに、何かが変わらない」と感じているとしたら、それはあなたの努力が足りないのではありません。「幕間(インターミッション)を取ることを、自分に許せていない」からかもしれないのです。

ジョーンズ・ロフリン著『象はポケットに入れるな!―「人生時間」を3つに分ける成功術』は、この「幕間」の意味を根本から再定義してくれる一冊です。休息を「怠惰」や「空白」としてではなく、「必須の戦略的プロセス」として捉え直すこと。それが、持続可能で最高レベルの成果をもたらすという逆説の真理を、本書はサーカスの物語を通してやさしく、しかし力強く伝えています。

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世界最高峰のサーカスには、必ず幕間がある

本書の物語の中で、リングマスターのヴィクターは主人公マークにこう問いかけます。「どんなに素晴らしいサーカスにも、幕間があることを知っているか?」

考えてみれば、確かにその通りです。世界一流のサーカス団であっても、演目は休みなく続きません。高度な演技を繰り出すパフォーマーたちには、次の演目に向けて体を整え、衣装を直し、精神を集中し直す時間が必要です。そしてその時間があるからこそ、次の幕でも観客を魅了する演技ができるのです。

これは人間の仕事においても、まったく同じことが言えます。絶え間ない連続的な活動は、脳のエネルギー源となる認知資源を少しずつ枯渇させます。集中力が落ち、判断が鈍り、感情のコントロールが難しくなる。それが積み重なると、パフォーマンスは目に見えて低下していきます。

それにもかかわらず、多くの管理職は「休むこと=サボること」という思い込みを抱えています。特に昇進したばかりの頃は、「見られている」「評価されている」という緊張感から、休憩を取ることへの罪悪感すら生まれてしまいます。

しかし本書が示すのは、まったく逆の真実です。 幕間のないサーカスは、やがて誰も感動しない舞台になってしまう。意図的に立ち止まることこそが、次の最高の演技を生み出すための条件なのです。

幕間は「休憩」ではなく「評価と再設計」の時間

ここで大切な誤解を解いておきましょう。本書が言う「幕間」は、単なる休憩とは少し違います。ただぼーっとする時間や、疲れを取るための睡眠とも意味が異なります。

本書における幕間とは、「これまでの演目を客観的に振り返り、次の演目が本来の目的に合致しているかを確認し、リソースを再配分するための、極めて戦略的な評価の場」として定義されています。

つまり、幕間の時間にやることは三つです。一つ目は「今までの演目の振り返り」。先ほどの仕事やコミュニケーションは、本当に重要なことに使えていたか。エネルギーを注ぐべき方向は正しかったか。二つ目は「次の演目の確認」。次に取り組もうとしていることは、自分の目的と本当に合っているか。三つ目は「リソースの再配分」。体力、気力、時間をどこにどう使うべきかを整理し直すことです。

この三つを意識的に行うための時間が「幕間」です。これは怠惰でも空白でもなく、パフォーマンスの質を次のステージに引き上げるための、能動的な作業なのです。

「立ち止まれない病」が招く、静かな崩壊

実は私自身、以前は「立ち止まることへの恐怖」を抱えていた一人でした。

昇進したばかりの頃、部下の数が増え、関わる案件も急に多くなりました。毎日を必死に走り続けることで、「頑張っている自分」を証明しようとしていたのだと思います。

そんな状態が半年ほど続いた頃、部下の一人がこんな言葉を残して面談を終えました。「最近、藤田さんに相談しても、いつも答えが早すぎて、なんか雑に扱われている気がして……。」

その言葉は正直、刺さりました。自分では「迅速に対応している」つもりでしたが、実際は「じっくり考える余裕すらなく、表面的な返答しかできていない」状態だったのです。頭の中に幕間がなかったから、一つひとつの演目に深みが生まれなかったのです。

それから私は、意図的に「幕間を入れる」実験を始めました。その変化については、後ほどお伝えします。

幕間をスケジュールに「組み込む」という発想

「幕間が大切なのはわかった。でも、時間なんてない。」そう感じた方も多いかもしれません。

しかし本書が教えるのは、幕間は「余った時間に取るもの」ではなく、「意図的にスケジュールに組み込むもの」だということです。一流のサーカスは、幕間の時間もプログラムの一部として計画しています。偶然生まれた時間ではなく、最初から設計されたものなのです。

これをビジネスの場面に置き換えると、こういうことになります。会議と会議の間に15分のバッファを意図的に入れる。週に一度、金曜日の午後30分を「今週の振り返り」の時間として確保する。毎朝出社前の10分を、今日の演目の優先順位を確認するための静かな時間にする。

「幕間を入れると、その分仕事が遅れる」という発想は逆です。 幕間があることで判断の質が上がり、的外れな仕事が減り、結果として全体のスピードと質が向上するのです。

実際に私が試みた最も小さな幕間は、昼休みの最初の5分間、スマートフォンもパソコンも触らずに、ただ今日の午前中を振り返るというものでした。「あの返答はちゃんと伝わったか」「午後一番にやるべきことは何か」。この5分があるだけで、午後の仕事の入り方がまったく変わりました。

幕間が変えた、部下との関係

先ほどの失敗談の続きをお話しします。「答えが早すぎて雑に扱われている気がする」と言われた後、私が試みたのは、面談の前後に必ず5分の幕間を入れることでした。

面談前の5分は、その部下が最近どんな状況にいるかを頭に浮かべ、今日は何を聞きたいのかを考える時間にしました。面談後の5分は、「言えたこと・言えなかったこと」「次にフォローすべきこと」を簡単にメモに残す時間にしました。

変化は、思ったより早く現れました。1ヶ月後の面談で、同じ部下がこう言ったのです。「最近、話を聞いてもらえていると感じます。前より信頼できる気がする。」

私が変えたのは、面談の中身ではありませんでした。面談の前後に、小さな幕間を設けたことだけです。しかしその小さな変化が、「雑に扱われている」という部下の感覚を180度変えたのです。

幕間は、次の演技の質を変えます。 それは数字の成果だけでなく、人との関係という、最も見えにくくて最も大切なものにも確かに影響するのです。

「休むこと」に罪悪感を持つあなたへ

本書が最終的に伝えたいのは、こういうことではないかと思います。一流のパフォーマーが最高の演技を見せ続けられるのは、誰よりも頑張るからではありません。最高の演技に向けて、誰よりも準備をするからです。

その準備の中核にあるのが「幕間」です。立ち止まり、振り返り、方向を確認し、エネルギーを補充する。この循環があってこそ、次の幕での最高のパフォーマンスが生まれます。

休むことを「怠惰」と感じてきたあなたに、ぜひこの発想を試してほしいと思います。今日の仕事が終わったら、5分だけ立ち止まってみてください。「今日の演目は、本当に重要なことだったか。」「明日のリングに向けて、今の自分に何が必要か。」ただそれだけを考える時間を取るだけで、あなたの明日は今日とは少し違う一日になるはずです。

走り続けることが美徳だとされてきた時代は、少しずつ変わりつつあります。本当の意味で成果を出し続けるリングマスターは、幕間の使い方を知っている人です。本書はその智慧を、穏やかで温かい物語の中にそっと教えてくれます。

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