同じ会社で10年以上働き、管理職として日々奮闘しているあなた。ふと気づけば、選択肢が減っていると感じることはありませんか?転職するにも家族がいて簡単には動けない、新しいことに挑戦したくても時間がない、このまま定年まで走り続けるしかないのか。そんな閉塞感を抱えながら毎日を過ごしている方に、ぜひ読んでいただきたい一冊があります。
長倉顕太氏の『移動する人はうまくいく』は、単なる旅行のすすめではありません。本書が提示するのは、変化の激しい現代を生き抜くための根本的な戦略です。特に本書のポイント3で語られる「選択肢を戦略的に増やす」という考え方は、40代の中間管理職が直面するキャリアの岐路において、極めて重要な指針となります。今回は、この「選択肢」という視点から本書の魅力をお伝えします。
選択肢が減ることの恐ろしさ
40代になると、多くの人が気づきます。20代や30代のころと比べて、自分の選択肢が驚くほど少なくなっていることに。住宅ローン、子供の教育費、親の介護。様々な責任が重なり、身動きが取れなくなっていく感覚を味わった方も多いのではないでしょうか。
長倉氏は本書で、人生の豊かさとは所有するモノの量や社会的地位ではなく、自分が取りうる選択肢の多さによって決まると断言します。選択肢が減ることは、単に不自由になるだけではありません。予測不可能な変化が起きたとき、対応する手段を失うことを意味します。
IT業界で働くあなたなら、技術の変化がいかに速いかを身をもって感じているはずです。AIやクラウド技術の進化により、5年前の常識が今では通用しなくなっています。そんな時代に、選択肢が一つしかない状態は極めて危険なのです。
「5年後の選択肢」で仕事を選ぶという発想
本書が提示する最も実践的なフレームワークが、仕事選びの新しい基準です。二つの仕事の選択に迫られたとき、あなたは何を基準に選びますか?従来は給与や安定性を基準に選ぶのが一般的でした。
しかし長倉氏は「5年後に、より多くの選択肢を与えてくれるのはどちらの仕事か?」と自問することを提案します。たとえ目先の給与が低くても、成長産業に属する仕事や、世界中どこからでも働けるリモートワークの仕事は、未来の可能性を劇的に広げるため、より賢明な選択となる可能性があるのです。
この考え方は、社内での異動や新しいプロジェクトへの参加を検討する際にも応用できます。楽な部署か、それとも新技術に挑戦できる部署か。前者は今は快適かもしれませんが、5年後のあなたのスキルセットは限定的なままです。後者を選べば、苦労はあっても市場価値の高い人材へと成長できるでしょう。
管理職だからこそ必要な「選択肢思考」
40代の管理職として、部下のキャリアについて相談を受けることも多いでしょう。そんなとき、この「選択肢を増やす」という視点は、的確なアドバイスを与える助けとなります。
マイナビの調査によれば、変化が激しく未来が見えづらい社会において、多様な価値観が尊重される中で、個人が処理しきれないほどの選択肢が用意され、選択すること自体に悩む人が増えているといいます。部下たちもまた、キャリアの選択に迷っているのです。
そこで重要なのが、何かを選び何かを捨てるという二者択一ではなく、複数の選択肢を上手く調和させていく考え方です。本業と副業、専門性とマネジメントスキル、このような複数の要素を組み合わせることで、より強靭なキャリアを築けます。
長倉氏が説く「常に自らの未来の選択肢を増やすように行動する」という指針は、変化の激しい現代を生き抜くための柔軟かつ強靭なライフストラテジーです。これは特に若い世代だけでなく、非伝統的なキャリアを歩むすべての人々にとって、重要な意思決定の基準となり得ます。
会社員という働き方が選択肢を奪う理由
本書では、従来の会社員という働き方が「誰と、どこで、いつ働くか」という根本的な選択肢を個人から奪うものとして、避けるべき状態の一つとされています。これは極端な主張に聞こえるかもしれませんが、その本質を理解することが重要です。
朝9時に出社し、決められたメンバーと、決められた場所で働く。この環境に何年も身を置くと、他の働き方が想像できなくなります。リモートワークが広がった今でも、多くの企業では旧来の働き方が続いています。
しかし、IT業界で管理職を務めるあなたには、この状況を変える力があります。部下にフレックスタイム制を活用させる、リモートワークの機会を増やす、副業を認める。小さな変化でも、部下たちの選択肢を増やすことにつながります。そして、それはチーム全体の創造性や生産性の向上にもつながるのです。
今日からできる「選択肢を増やす」アクション
では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。長倉氏は物理的な移動の重要性を説いていますが、それは必ずしも大規模な引越しや海外移住を意味しません。
まずは週末に知らない街を訪れてみる、いつもと違うカフェで仕事をしてみる、オンラインの勉強会に参加してみる。こうした小さな移動が、新しい視点をもたらし、思考を活性化させます。
さらに重要なのは、スキルの多様化です。管理職として培ったマネジメントスキルに加え、最新のIT技術やデータ分析、あるいはマーケティングなど、隣接する分野の知識を身につけることで、あなたの市場価値は飛躍的に高まります。40代でキャリアチェンジを行う際にも、マネジメントスキルは非常に強みになるのです。
人脈の多様化も選択肢を増やす有効な手段です。社内だけでなく、異業種交流会や勉強会に参加し、様々なバックグラウンドを持つ人々とつながることで、新しい機会が生まれます。困ったときに相談できる相手が増えることは、それ自体が大きな選択肢となります。
未来の不確実性に備える最良の戦略
長倉氏が提案する「選択肢の最大化」という戦略は、予測不可能な現代社会を生き抜くための、極めて現代的な指針です。特定のキャリアやライフプランといった単一の目標を追求するのではなく、常に選択肢を増やし続けるという生き方は、未来の不確実性に対する究極の備えと言えます。
多くの選択肢を持つことは、予期せぬ変化や危機に直面した際に破綻するのではなく、むしろそれを糧として成長するような人生の構造を築くことを意味します。パンデミックや経済危機、技術革新による仕事の消滅。こうした予測不可能な事態が起きたとき、選択肢が多い人は柔軟に対応できるのです。
40代という年齢は、キャリアの折り返し地点です。定年まであと20年以上あります。この20年で世界がどう変わるか、誰にも予測できません。だからこそ、今この瞬間から選択肢を増やす行動を始めることが、未来のあなた自身を守ることになるのです。
『移動する人はうまくいく』が提示する「選択肢を戦略的に増やす」という考え方は、閉塞感を感じている40代の管理職にこそ必要な視点です。本書を手に取り、あなた自身の選択肢を見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。人生はまだまだこれからです。選択肢を増やす行動を今日から始めましょう。

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