「うちのチームは頑張っているのに、なぜか社内で評価されない…」
「画期的なシステムを開発したのに、他部署にその価値が伝わらない…」
部下を率いる中間管理職として、あなたはそんな歯がゆい思いをしたことはありませんか? 実績を正当に評価してもらえない、プロジェクトの重要性が伝わらない。その原因は、あなたのチームの能力不足でも、成果物の質が低いからでもないかもしれません。
実は、成功の順番を間違えているだけだとしたら…?
今回ご紹介する下矢一良氏の著書『ずるいPR術』は、私たちが常識だと信じてきた「実績を出す→広く知らせる」という順番を、根底から覆す衝撃的な一冊です。本書が提唱するのは、「PRが先、実績が後」という、まさに逆転の発想。
この記事では、本書の核心である「成功の戦略的倒置」という考え方をご紹介します。この記事を読めば、あなたも明日から、チームやプロジェクトを社内の「注目の的」に変え、必要な協力や予算を引き寄せる「ずるい」技術を身につけることができるでしょう。
実績ができるのを待つのはもう終わり!PRの役割を根底から覆す新常識
「PR(広報)」と聞くと、みなさんは何を思い浮かべますか?多くの人は、「完成した製品や達成した成果を、世の中に広く知らせる活動」と考えるのではないでしょうか。つまり、PRとは成功した「後」に行うもの。この考え方では、PRは時間やお金を「消費」するコストの一部と見なされがちです。
しかし、『ずるいPR術』が教えるアプローチは全く異なります。
本書が提唱するのは、PRを「成功を報告するための消費活動」ではなく、成功の前提となるリソースを獲得するための投資活動と捉え直すことです。これは、PRを単なるコストセンターから、利益を生み出すプロフィットセンターへと昇華させる思考の転換に他なりません。
つまり、実績がないからPRできない、と考えるのは大きな間違い。むしろ、実績がない段階だからこそPRが必要なのです。なぜなら、巧みなPRによって「あのチームは何かすごいことをやりそうだ」という認識(パーセプション)を先に創り出すことができれば、その認識が磁石のように、成功に必要な人、モノ、金といったリソースを引き寄せてくれるからです。
なぜ「すごい」という認識が先なのか?PRが優秀な人材と資金を引き寄せる仕組み
「実績もないのに、どうやって『すごい』と思わせるんだ?」と疑問に思うかもしれません。本書が示す具体例は非常に示唆に富んでいます。
例えば、まだ試作品しかない技術系のスタートアップを想像してみてください。
従来の考え方であれば、製品が完成し、販売実績が出てから、初めてメディアにアプローチするでしょう。しかし、それでは遅すぎます。競合に先を越されたり、開発資金が尽きてしまったりするかもしれません。
そこで「ずるい」スタートアップは、まだ実績がない段階で、積極的にPR活動に投資します。「業界の未来を塗り替える画期的な技術だ」というビジョンや、創業者の情熱を物語として発信するのです。その結果、技術系のメディアが「未来を担う注目企業」として取り上げてくれたら、どうなるでしょうか?
この「認識」が起爆剤となるのです。
その記事を見た投資家は「将来性がある」と判断して資金を提供してくれるかもしれません。優秀なエンジニアが「この会社で働きたい」と門を叩くかもしれません。つまり、最初に創り出した「すごい会社だ」という認識が、現実の製品を完成させ、事業を成功に導くための具体的なリソースを呼び込んだのです。これが、「PRが先、実績が後」という仕組みの正体です。
あなたのチームを「選ばれる存在」に変える具体的な思考法
この「成功の戦略的倒置」は、社内政治や部署間の連携が重要な、あなたのような中間管理職にこそ応用できる強力な武器となります。
例えば、あなたのチームが新しい業務効率化ツールを開発しているとしましょう。
× やってはいけないPR
ツールの開発がすべて完了してから、社内メールで「新ツールを導入しました。皆さん使ってください」と事後報告する。これでは、他部署の人間は「また新しいことを覚えなきゃいけないのか…」と、面倒に感じるだけかもしれません。
○ やるべき「ずるい」PR
開発の初期段階から、関係部署の会議や社内報などを活用して、積極的に情報発信を始めます。
「このツールが導入されれば、今〇〇さんが3時間かけている作業が、たった10分で終わる未来が来ます」
「開発チームのリーダーである△△君が、自身の過去の失敗体験から、どうしてもこの課題を解決したいと立ち上がったんです」
このように、単なる機能紹介ではなく、このプロジェクトがもたらす明るい未来や、背景にある情熱の物語を語るのです。そうすることで、完成前から「あのチームが作っているツールは、なんだかすごそうだぞ」「早く使ってみたい」というポジティブな認識を、社内に醸成することができます。
この「期待感」という名の認識が、追加予算の承認を後押ししたり、他部署からの思わぬ協力が得られたり、リリース後の利用率を飛躍的に高めたりするのです。
まとめ
今回ご紹介した『ずるいPR術』の核心は、PRを「結果報告」のツールではなく、「成功創造」のエンジンと捉え直す点にあります。
実績が出るのをただ待つのではなく、まず「すごい」「期待できる」という認識を意図的に創り出す。その認識を磁石として、成功に必要なリソースを引き寄せる。この戦略的な発想の転換は、あなたのチームやプロジェクトの未来を大きく変える力を持っています。
PRとは、成功のための磁石である。
あなたも今日から、社内での情報発信のやり方を少しだけ変えてみませんか?チームの頑張りを、そして未来の成功を、自らの手で引き寄せる「ずるいPR術」を、ぜひ試してみてください。

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