会議でのプレゼンがうまく伝わらない、部下とのコミュニケーションが思うようにいかない、そんな悩みを抱えながら毎日お疲れさまです 。実はその悩みの根本には、マーケティングの考え方が深く関わっているかもしれません 。P&G、ロート製薬、スマートニュースで数々の実績を上げてきた西口一希氏の最新作『マーケティング手法大全』は、単なるマーケティング本ではなく、ビジネスコミュニケーション全般に応用できる実践的な知恵が詰まった一冊です 。本書から、あなたの仕事での成果向上につながる具体的なヒントをお伝えします。
現代マーケターが直面する「手法の海」で迷わない羅針盤
現代のビジネス環境では「SNSマーケティング」「データドリブンマーケティング」といった「○○マーケティング」という言葉が100種以上も存在し、どれが本当に有効なのか見極めることが困難になっています 。西口氏はこの状況を「マーケティングの樹海」と表現し、実務で本当に使える知識を体系的に整理することの重要性を説いています 。
本書の最大の価値は、これら膨大な手法を12分野115種に体系的に分類し、全体像を把握するための地図を提示している点にあります 。マスメディアを通じた集団へのアプローチから、個客対応、インターネット活用、データ活用、BtoB、ブランディングまで、顧客との接点や事業形態に応じて網羅的に分類されています 。
これは単なる用語集ではありません。それぞれの手法がどのような位置づけにあるのかを明確にすることで、読者が戦略的に思考するための基盤を提供しています 。例えば、流行の動画広告を検討する際も、全体戦略の中でどのような役割で用いるべきかを客観的に判断できるようになります 。
8年間の知見を凝縮した実務重視のアプローチ
本書が他のマーケティング本と決定的に異なるのは、著者の実践経験に裏打ちされた内容であることです 。西口氏がWebメディア「Wisdom」で約8年間かけて蓄積・再整理した知見が基盤となっており、理論だけでなく実務で本当に使える手法を厳選している点が重要です 。
書籍の冒頭で著者が「この本のおかげで成果が上がりました」という感想をイメージして執筆したと述べているように、知識の羅列に留まらず、実際のビジネス成果に結びつくような知見を提供することを目的としています 。
ダイレクトマーケティングの分野では、アメリカン・エキスプレスやジャパネットたかたといった具体的な企業事例を豊富に挙げており、読者は抽象的な概念ではなく、各手法が実際のビジネスでどのように適用され、どのような成果を生み出したのかを具体的に理解できます 。
WHO→WHAT→HOWの順番で考える顧客起点の思想
本書を貫く最も重要な思想は「顧客起点」の考え方です 。これは単に顧客の気持ちを想像する「顧客視点」とは異なり、顧客の行動をデータとして測定し、統計的な事実を明らかにする客観的なアプローチです 。
Part1では、すべてのマーケティングの出発点として「WHO(誰に)」「WHAT(何を)」「HOW(どのように)」という3要素を解説しています 。これは、たとえAIマーケティングのような最新の手法であっても、その活用は最終的に「誰にどのような価値を届けるか」という顧客起点の問いに帰結することを示しています 。
この思想があることで、本書は単なる手法のカタログではなく、それぞれの手法を「なぜ、誰に、何を、どのように」使うべきかという目的から考えさせる体系的な思考法を提供しています 。職場でのプレゼンテーションや部下とのコミュニケーションにおいても、この「WHO→WHAT→HOW」の順番で考えることで、より効果的な伝達ができるようになります 。
日々の業務に活用できる12分野の実践的知識
本書は12の分野に分類された手法を、それぞれ事例とともに詳しく解説しています 。マスメディアマーケティングから個客対応、インターネット活用、モバイル、データ活用、店舗マーケティング、D2C、協業、BtoB、ブランディングまで、現代ビジネスで必要な知識が網羅されています 。
特に注目すべきは、Part3で著者が提唱してきた「顧客起点マーケティング」と「AIマーケティング」を「これからのマーケティングに欠かせない2種の新手法」として位置づけている点です 。N1分析という一人の顧客を徹底的に分析する手法は、部下一人ひとりの特性を理解し、適切なコミュニケーションを取るための考え方としても応用可能です 。
本書の構成は、著者の他の著作との連携も考慮されています 。『実践 顧客起点マーケティング』で特定の手法を深掘りし、『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』で原理原則を学んだ読者が、本書で具体的な手法の全体像を把握できる設計になっています 。
入門者からCMO志望まで対応する幅広い活用法
本書の対象読者は、マーケティングの全体像を整理したい初学者から、日々の業務で課題解決のために辞書的に活用したい実務者、さらにはCMOを目指すリーダー層まで幅広い層を想定しています 。
マーケティングの基礎知識も合わせて説明されているため、入門書としても読むことができます 。一方で、各手法がコンパクトにまとまっているため、チーム内の勉強会で1つの手法を取り上げて議論のきっかけにすることも可能です 。
IT中間管理職として部下とのコミュニケーションに悩んでいる場合、本書の顧客起点の考え方を部下理解に応用し、プレゼンテーション改善には「WHO→WHAT→HOW」の思考法を活用することで、職場での成果向上が期待できます 。
本書は、単なるマーケティング本を超えて、ビジネスコミュニケーション全般に応用できる実践的な知恵の宝庫です 。8年間かけて体系化された115種の手法は、あなたの仕事での成果向上と、部下や家族との関係改善に必ず役立つでしょう 。

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