あなたは部下に何度指示を出しても、なかなか主体的に動いてくれないと悩んでいませんか?「もっと積極的になってほしい」「自分から考えて行動してほしい」そんな思いを抱えているマネージャーの方も多いでしょう。
実は、その原因は部下の能力不足ではなく、マネジメント手法に問題があるかもしれません。従来の「指示・命令」型のマネジメントでは、部下の本当の力を引き出すことは困難です。
この記事では、橋本拓也氏の『部下をもったらいちばん最初に読む本』から、部下の内発的動機を引き出すリードマネジメントの秘訣をお伝えします。読み終わる頃には、部下が自ら考え、積極的に行動するチームを作る具体的な方法が分かるはずです。
なぜ従来のマネジメントでは部下が動かないのか?
多くのマネージャーが陥りがちなのが、外的コントロールに頼ったマネジメントです。これは「~すべきだ」「なぜやらないのか」といった外部からの圧力で部下を動かそうとする方法です。
しかし、人間は外部からの強制では根本的に変わりません。一時的には従うかもしれませんが、本当の意味でのやる気や創造性は発揮されないのです。
実際に、プレイヤーとして優秀だった人がマネージャーになったとき、自分と同じやり方を部下に求めてしまい、うまくいかないケースが多発しています。これは「自分を基準に考えてしまう」という典型的な失敗パターンなのです。
選択理論心理学が教える人間の本質
本書が基盤とする選択理論心理学では、「すべての行動は自らの選択である」という重要な原則があります。つまり、他者が直接的に誰かの行動を選択させることはできず、行動を選択できるのは本人だけなのです。
人間には生まれながらにして5つの基本的欲求があります。
- 生存の欲求
- 愛・所属の欲求
- 力の欲求
- 自由の欲求
- 楽しみの欲求
これらの欲求を満たす「上質世界」を求めて、人は行動します。マネージャーの役割は、部下の上質世界を理解し、仕事や会社がその上質世界の一部となるように働きかけることなのです。
内発的動機を引き出す具体的な手法
成長にフォーカスした期待の伝達
単に売上目標や業務指標を伝えるだけでは不十分です。「その目標達成を通じて、あなたがどのように成長することを期待しているか」を明確に伝えることが重要です。
数字やタスクありきではなく、あくまで成長が先にあり、それを実現するための手段として目標があることを部下に理解してもらいましょう。
自己評価を促すヒアリング
部下自身に「今、何を目指しているのか?」「それに対して今どんな状態か?」を問いかけます。このプロセスを通じて、部下が現状と目標とのギャップを明確に認識できれば、内発的に「このギャップを埋めたい」という動機が生まれます。
押し付けるのではなく、部下自身が気づき、選択するように導くのです。
マネージャー自身の開示
マネージャー自身がどんな目的で働いているのか、この仕事にどんな意味を感じているのかを開示することも効果的です。上司が自分の内面を見せることで、部下も自身の本音を話しやすくなり、共感と信頼関係が生まれます。
上質世界に入り込む7つの習慣
部下の上質世界に入り込み、信頼関係を築くために実践すべき7つの習慣があります。
傾聴する:部下の言葉に真摯に耳を傾け、共感する姿勢を示す
支援する:課題解決や目標達成に向けて具体的なサポートを提供する
励ます:ポジティブな言葉で部下を鼓舞し、モチベーションを高める
尊敬する:部下一人ひとりの個性と価値観を深く尊重する
信頼する:部下の能力を信じ、適切な範囲で権限を委ねる
受容する:異なる意見でも頭ごなしに否定せず、まず受け入れる
違いを交渉する:意見の相違があっても建設的な解決策を共に探る
これらを継続することで、部下にとってあなたが「この人のもとで働きたい」と思える存在になることができます。
委任を通じた成長支援
部下の内発的動機を育てるためには、適切な委任も欠かせません。ただし、単に仕事を押し付けるのではなく、以下の5つのポイントを明確に伝えることが重要です。
意味:その仕事が持つ意義や目的
量と基準:達成すべき具体的な量と品質基準
理由:なぜその特定の部下に委任するのかという理由
実現可能性:達成できる現実的な可能性とサポート体制
報連相:適切な報告・連絡・相談のタイミング
特に「あなたに委任する理由」を伝えることで、部下の自己肯定感と責任感が高まります。
まとめ:部下が自ら選択する環境を作る
内発的動機を引き出すマネジメントの本質は、部下が自ら選択したくなる環境を作ることです。外部からの圧力や指示ではなく、部下自身の欲求と価値観に寄り添い、成長の意味を共有することで、真の主体性が育まれます。
選択理論心理学に基づくリードマネジメントは、一朝一夕に身につくものではありません。しかし、継続的に実践することで、部下が生き生きと働き、チーム全体のパフォーマンスが向上する組織を作ることができるでしょう。
あなたも今日から、部下の内発的動機に目を向けたマネジメントを始めてみませんか。

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