「デザインのソフトは覚えたけれど、なぜそのデザインが良いのか分からない」「見本通りに作ることはできるけれど、自分で考えて作れない」
そんな悩みを抱えていませんか?
多くのデザイン初心者が直面するのは、完成されたデザインを見て「きれい」「かっこいい」と感じることはできても、その背後にある制作意図や論理を理解できないという課題です。
永井弘人氏の『[新版]デザイナーになる! 伝えるレイアウト・色・文字の大切な基本と生かし方』は、まさにこの課題を解決してくれる一冊。本書の最大の特長は、豊富な作例と共に「なぜそのデザインになったのか」という制作意図を丁寧に解説している点にあります。
この記事では、デザインの「なぜ」が分かるようになりたいあなたに向けて、本書がどのように理論と実践の橋渡しをしてくれるのかを詳しく解説していきます。
1. デザイン学習の最大の難しさとは?
デザインを学ぶ多くの人が躓くポイントは、技術的な操作方法と実際のデザイン思考の間にある大きな溝です。
Photoshopやillustratorの使い方は覚えられる。レイアウトの基本ルールも頭では理解できる。しかし、いざ自分でデザインを作ろうとすると、「なぜその色を選ぶのか」「なぜその配置にするのか」が分からず、手が止まってしまう。
これは決してあなたの才能や努力不足ではありません。多くのデザイン教材が、完成品の美しさは教えても、そこに至るまでの思考プロセスを教えてくれないからです。
永井弘人氏は20年のデザイナー経験を持つベテランですが、彼もまたこの課題に気づいていました。そして本書では、デザインを「神秘的な創造行為」から「学習可能な論理的スキル」へと転換させる、画期的なアプローチを提示しています。
2. 「制作意図」の解説が変える学習体験
本書の革新的な点は、単に良い例と悪い例を並べるのではなく、なぜそのデザインが選ばれたのかという制作意図を詳細に解説していることです。
従来のデザイン教材では、「これが良い例です」「これは悪い例です」という提示に留まることが多くありました。しかし、それだけでは学習者は「何となく良い」という感覚しか得られず、自分でデザインする時に応用できません。
本書の第3章では、実際のデザイン事例を使って以下のような解説が展開されます:
目的:「安定感を印象づけたい」
- 手法1:シンメトリー(左右対称)のレイアウトを採用
- 手法2:視覚的重心を下に設定
- 効果:見る人が「安定している」と感じる心理的反応を誘発
このように、特定の印象(安定感)→具体的な手法(シンメトリー)→心理的効果(安定していると感じる)という因果関係を明確に示すことで、デザインの「なぜ」が理解できるようになります。
3. 感情と技術を結ぶ実践的アプローチ
本書が他の教材と大きく異なるのは、技術的な手法と、それが生み出す感情的反応を明確に結びつけている点です。
例えば、「にぎやか感を印象づける」というテーマでは:
- 色彩の選択:暖色系の明るい色を多用する理由
- レイアウト:要素を動的に配置する効果
- フォント:ポップで親しみやすい書体が与える印象
これらの技術的選択が、なぜ「にぎやか」という感情を呼び起こすのかが、心理学的な観点も交えて説明されています。
この解説方法の最大のメリットは、読者が「なるほど、だからこのテクニックを使うのか」と納得できることです。単なる暗記ではなく、理解に基づいた学習ができるため、応用力が格段に向上します。
4. 理論から実践への確実なステップ
多くのデザイン学習者が抱える課題は、「理論は分かったけれど、実際にどう使えばいいか分からない」というものです。
本書は、この理論と実践の間にある溝を、以下の3段階のアプローチで埋めていきます:
第1段階:基本原則の理解
- レイアウト、色、文字の基本ルールを学ぶ
- なぜそのルールが存在するのかの背景を理解
第2段階:制作意図の解読
- 実際の作例を見ながら、制作者の思考を追体験
- 「この効果を出すためには、この手法を選ぶ」という判断基準を身につける
第3段階:応用力の獲得
- 学んだ原則を自分のデザインに活用
- 目的に応じて適切な手法を選択できるようになる
このステップを踏むことで、単なる模倣から脱却し、自分で考えてデザインできる力が身につきます。
5. 初心者に寄り添う丁寧な構成
本書のもう一つの特長は、初心者の心理状態を深く理解した構成になっていることです。
デザインを学び始めたばかりの人は、しばしば「自分には才能がない」「センスがない」という不安を抱えています。著者の永井氏は、このような心理的障壁を取り除くことから始めています。
本書が採用している「脱神秘化」のアプローチ:
- デザインは特別な才能ではなく、学習可能なスキルであることを証明
- 複雑に見えるデザインも、基本原則の組み合わせであることを示す
- 「なぜ」が分かれば、誰でも同じような効果を生み出せることを実証
この姿勢により、読者は「自分にもできそう」という自信を持って学習を進められます。恐れや不安ではなく、好奇心と探究心を持ってデザインに取り組めるようになるのです。
6. プロの現場で通用する実践的な視点
本書で学べるのは、単なる基礎知識だけではありません。著者の永井氏が20年のプロ経験で培った、現場で本当に重要な視点も含まれています。
プロが重視する「目的思考」の学習:
- クライアントの要望を的確に理解する方法
- デザインの目的を明確に設定する重要性
- 完成したデザインを論理的に説明するスキル
これらは、将来プロのデザイナーを目指す人にとって不可欠な能力です。本書の作例解説を通じて、「なぜこのデザインにしたのか」を説明できる力も自然と身につきます。
実際に、20年の経験を持つベテランデザイナーが本書を読んで「原点に帰る意味で重要」と評価している事実は、本書の内容がプロの現場でも通用する普遍的な価値を持っていることを証明しています。
まとめ:デザインの「なぜ」が分かる喜びを
永井弘人氏の『デザイナーになる!』は、デザイン学習における最大の難しさ「理論と実践の橋渡し」を見事に解決してくれる一冊です。
豊富な作例と制作意図の丁寧な解説により、あなたは以下のことができるようになります:
- 優れたデザインを見て、その背後にある論理を理解できる
- 自分でデザインする時に、目的に応じた手法を選択できる
- 完成したデザインについて、論理的に説明できる
デザインが「何となく良い」から「なぜ良いのかが分かる」に変わる瞬間は、きっとあなたの学習体験を大きく変えてくれるでしょう。
デザインの「なぜ」を理解する喜びを、ぜひこの一冊で体験してみてください。

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