「この提案、絶対にうまくいくと思うんですが…」そう会議で発言したものの、上司や部下からの鋭い質問に答えられず、結局提案が通らなかった経験はありませんか?
40代の中間管理職として、豊富な経験から生まれる「直感」は確かに価値があります。しかし、その直感をうまく言語化できず、周囲を説得できないことで、せっかくの良いアイデアが日の目を見ないまま終わってしまうことも少なくありません。
本記事では、『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング』から学ぶ、あなたの直感を「検証可能な論理」に変換し、説得力のあるプレゼンテーションを行うための具体的な方法をご紹介します。これらの手法を身につけることで、部下からの信頼を獲得し、上司への提案も通りやすくなるでしょう。

なぜ「直感」だけでは通用しないのか?
多くの経験豊富なビジネスパーソンが抱える共通の悩みがあります。それは「なんとなく正しいと思うことが、うまく説明できない」ということです。
長年の経験から「この方向性は間違いない」と確信していても、いざ会議で説明しようとすると「根拠は何ですか?」「なぜそう言えるのですか?」といった質問に答えられません。
直感が通らない3つの理由
- 個人的な経験に基づいているため、他者に共有しにくい
- 感情的な判断が混じり、客観性に欠ける
- 検証可能な根拠が不足している
しかし、この直感を「論理的な議論」に変換する方法があります。それが『グロービスMBAクリティカル・シンキング』で紹介されているツールキットです。
「So What? / Why? True?」で直感を論理に変換する
本書で最も重要なのが「So What?(だから何?)」と「Why? True?(なぜそう言える?それは本当か?)」という2つの問いかけです。
この手法は、あなたの頭の中にある漠然とした考えを、他者が理解し、検証できる形に整理するためのものです。
実践例:新規事業提案の場合
従来の直感的な提案:「新しい市場に参入すべきだと思います。なんとなく将来性を感じるんです」
論理的な提案への変換:
- So What?: 「新市場Xへの参入により、2年以内に全体利益を15%向上させることができます」
- Why? True?: 「なぜなら、市場調査により○○のニーズが確認され、当社製品がそのニーズを満たすことが実証されているからです」
このように変換することで、あなたの直感は検証可能な論理的議論へと昇華されます。
ピラミッド・ストラクチャーで説得力を高める
グロービス流のもう一つの重要なツールが「ピラミッド・ストラクチャー」です。これは、あなたの主張を論理的に構造化し、相手に分かりやすく伝えるためのフレームワークです。
ピラミッド・ストラクチャーの4ステップ
- イシュー(論点)の特定: 何について議論するのかを明確にする
- 論理の枠組み作成: 主張を支える要素を整理する
- 主要メッセージの抽出: 「So What?」で核心を明確にする
- 根拠の検証: 「Why? True?」で正しさを確認する
この構造を使うことで、会議での発言や提案書の説得力が格段に向上します。「結論から先に言う」「根拠を整理して示す」という基本的なコミュニケーションスキルが自然と身につくのです。
「仮説と検証」で不確実な状況に対応する
改訂3版で新たに追加された「仮説と検証」のフレームワークは、不完全な情報しかない状況での意思決定に威力を発揮します。
中間管理職として、完璧な情報が揃うまで待てない場面は多々あります。そんな時に役立つのがこの手法です。
仮説と検証の実践プロセス
- 仮説設定: 限られた情報から最も確からしい答えを設定
- 検証方法の決定: その仮説が正しいかを確認する最も効率的な方法を考える
- 実証実験: 小規模なテストや調査を実施
- 結果評価: データに基づいて仮説を修正または確定
例えば、新しい業務システム導入を検討する際、「システムXは業務効率を20%向上させる」という仮説を立て、一部署での試験導入により検証するといった具合です。
MECEで抜け漏れのない分析を行う
「MECE(モレなく、ダブりなく)」の原則も、論理的思考には欠かせません。この手法により、問題を構成要素に正確に分解し、見落としや重複のない分析が可能になります。
MECE分析の実践例:売上低下の原因分析
従来の曖昧な分析:「売上が下がっているのは、市場が悪いからだと思います」
MECE分析:
- 外部要因: 市場規模縮小、競合他社の攻勢、経済情勢
- 内部要因: 製品力低下、営業力不足、価格設定の問題
- その他: 季節要因、一時的要因
このように整理することで、対策も具体的かつ網羅的に立てることができます。
3つの基本姿勢で思考の質を高める
論理的思考を身につけるために、日常的に意識すべき3つの基本姿勢があります。
基本姿勢1:「目的は何か」を常に意識する
会議や議論の際、「そもそも何のためにこの話をしているのか」を明確にする習慣をつけましょう。目的が曖昧だと、議論が脱線し、時間を無駄にしてしまいます。
基本姿勢2:思考のクセがあることを前提に考える
自分や他者には必ずバイアスがあることを認識し、「本当にそうなのか?」と自問する癖をつけます。これにより、思い込みによる判断ミスを防げます。
基本姿勢3:「問い続ける」ことを習慣にする
表面的な答えに満足せず、「なぜ?」「本当に?」と深掘りすることで、根本原因や真の解決策にたどり着けます。
実践で身につける継続的な改善
これらのツールは、一度読んだだけでは身につきません。日常業務の中で継続的に実践することが重要です。
おすすめの実践方法
- 毎日の振り返り: 「今日の判断に論理的根拠はあったか?」を自問
- 会議での意識: 発言前に「So What? / Why? True?」を心の中で確認
- 資料作成時: ピラミッド・ストラクチャーを意識した構成を心がける
最初は時間がかかっても、継続することで思考の「型」が身につき、自然と論理的な判断ができるようになります。
論理的思考で信頼されるリーダーになる
『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング』が教える最も重要な価値は、あなたの直感を「検証可能な論理」に変換する具体的な方法論です。
これらの手法を身につけることで、部下からは「この人の話は分かりやすい」と信頼され、上司からは「この人の提案には説得力がある」と評価されるようになるでしょう。
論理的思考は特別な才能ではありません。正しい方法を学び、継続的に実践することで、誰でも身につけることができるスキルです。
あなたの豊富な経験と直感に、論理的思考という武器を加えることで、さらに影響力のあるリーダーへと成長していきましょう。まずは明日の会議から、「So What? / Why? True?」を意識して発言してみてください。



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