あなたは部下の成長に悩んでいませんか?「この人は才能がないから仕方がない」と諦めていることはありませんか?
実は、成功を決めるのは才能やIQではありません。心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱する「やり抜く力(GRIT)」こそが、人生のあらゆる成功を左右する究極の能力なのです。
この記事では、GRITを構成する4つの実践的な要素を深掘りし、あなた自身と部下の成長を加速させる具体的な方法をお伝えします。読み終わる頃には、才能に頼らない確実な成長戦略が手に入るでしょう。
1. なぜ「やり抜く力」が最強の武器なのか
米国陸軍士官学校ウェストポイントで行われた驚くべき研究があります。入学時の成績や知能指数よりも、GRITのスコアが過酷な訓練の完遂率と強く関連していたのです。
つまり、どんなに優秀な成績を修めていても、やり抜く力がなければ挫折してしまう。逆に、やり抜く力さえあれば、才能の差を埋めることができるということです。
あなたの職場でも思い当たることはありませんか?学歴は申し分ないのに、困難に直面すると諦めてしまう部下。一方で、特別な才能はないものの、コツコツと努力を重ね、気がつけば大きな成果を上げている部下。
この差こそが、GRITの有無によるものなのです。
2. GRITを構成する第一要素:「興味」の正しい育て方
GRITの第一要素は「興味」です。ただし、これは「好きなことだけやればよい」という単純な話ではありません。
本当に重要なのは、興味を自ら深掘りしていく態度です。ドラマチックに興味が舞い降りるのを待つのではなく、小さな成功体験を重ねながら、徐々に興味を深めていくのです。
実践的な興味の育て方
部下に新しいプロジェクトを任せる際、こんな質問をしてみてください:
「このプロジェクトの中で、なぜこの作業が必要だと思う?」
「この作業が成功すると、お客様にどんな価値を提供できるだろう?」
漠然とした業務に「なぜ」を問いかけることで、表面的な作業から深い興味へと転換できます。私も過去に、単調なデータ分析業務に取り組む部下に対して、「このデータから見えてくる顧客の真のニーズは何だと思う?」と問いかけたところ、彼の取り組み姿勢が劇的に変わったことがあります。
興味は待つものではなく、積極的に育てるものだということを覚えておいてください。
3. 第二要素「練習」:単なる努力では足りない理由
GRITの第二要素は「練習」ですが、これは単なる時間の積み重ねではありません。「意図的な練習」こそが決定的に重要なのです。
競泳選手の例が印象的です。彼は毎朝4時に起き、49秒のレースのために地球1周分は泳いだといいます。しかし重要なのは、常に自分の能力を上回る目標を設定し、心底つらいと感じる練習を継続したことです。
意図的な練習の3つのポイント
あなたのチームでも、この「意図的な練習」を取り入れることができます:
1. 現在の能力より少し上のレベルを設定する
部下が普段処理している案件より、10-20%難易度の高い業務を任せる
2. フィードバックを即座に与える
週に1度ではなく、毎日短時間でも進捗と改善点を確認する
3. 快適ゾーンから意図的に出る
「これまでと同じやり方」を禁じて、新しいアプローチを模索させる
単純な反復練習では成長は止まります。常に挑戦的な目標設定こそが、真の成長を生むのです。
4. 第三要素「目的」:利他的な動機が最強のエンジン
GRITの第三要素「目的」は、特に管理職のあなたにとって重要です。自分の快楽のためだけではなく、他者のためという大きな目的が、持続的な情熱を生み出すからです。
心理学者ウィリアム・デイモンの研究によると、明確な利他的目的を持つ人ほど、困難に直面しても諦めないことが分かっています。
目的を明確化する実践法
チームメンバーと以下の質問について話し合ってみてください:
「あなたの仕事は、最終的に誰の役に立っているのか?」
「5年後、あなたの専門性で社会にどんな貢献をしていたいか?」
私がマネージャーとして成長した転機も、「自分のキャリアアップ」から「部下の成長を通じた組織全体への貢献」に目的が変わった瞬間でした。利他的な目的は、個人のやり抜く力を驚くほど強化します。
研究者が新しい発見で社会に貢献するという信念を持って何年も実験を続けるように、大きな目的意識こそが、日々の困難を乗り越える原動力となるのです。
5. 第四要素「希望」:失敗を成長の機会に変える思考法
最後の要素「希望」は、「必ず良い結果が待っている」という楽観的マインドセットです。これは根拠のない楽観主義ではなく、失敗を学びの機会と捉える「成長思考」に基づいています。
希望を育む具体的方法
部下が失敗やつまずきを経験した際、こんな声かけを試してください:
× 「次は失敗しないように気をつけて」
○ 「この失敗から何を学んで、どう活かせるだろうか?」
× 「能力が足りないかもしれない」
○ 「まだ経験が足りないだけだ、これからどんどん伸びる」
人間の能力は成長できるという信念こそが、最後までやり抜くことを可能にします。挫折しても、それを能力不足ではなく学習プロセスと捉えることで、再び立ち上がる力が生まれるのです。
6. 4つの要素を連携させる実践的アプローチ
これら4つの要素は、単独で機能するものではありません。相互に作用し合うことで、真のやり抜く力が発揮されるのです。
統合的なGRIT育成プログラム
以下のような流れで、チーム全体のGRITを育成できます:
週1回の振り返りミーティングで:
- 今週の業務で新しく発見した興味深いポイントは?(興味)
- 今週挑戦した「少し難しい」課題は何?その結果は?(練習)
- この業務が最終的にどんな価値創造につながる?(目的)
- 今週の失敗から何を学んだ?(希望)
このように4つの要素を意識的に組み合わせることで、個人とチーム全体のやり抜く力を体系的に強化できます。
興味から始まった小さな関心が、意図的な練習を通じて深い専門性となり、大きな目的意識に支えられて、困難な状況でも希望を持って継続できる。
これがGRITの真の力なのです。
結論:才能を超えた成功への道筋
「やり抜く力(GRIT)」は、決して生まれ持った才能ではありません。「興味」「練習」「目的」「希望」という4つの要素を意識的に育むことで、誰でも身につけることができる能力です。
40代の管理職であるあなたには、自分自身のGRITを強化するとともに、部下やチーム全体のやり抜く力を引き出す重要な役割があります。才能の有無に一喜一憂するのではなく、これら4つの要素を軸とした成長戦略を実践してください。
きっと、あなた自身も、そしてあなたのチームも、想像以上の成果を生み出すことができるでしょう。今こそ、やり抜く力を武器にして、新たな成長ステージへと踏み出すときです。
#NR書評猫345 アンジェラ・ダックワース著[やり抜く力 GRIT(グリット)」


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