当たり前のことを当たり前に続ければ、当たり前に結果が出る。この単純で力強い言葉に、ビジネスと人生の成功の本質が隠されています。特別なことや奇抜なアイデアではなく、基本を徹底する姿勢こそが長期的な成功をもたらすのです。しかし、その「当たり前」を続けることが、実は最も難しい挑戦なのです。
「凡事徹底」が成功を生み出す理由
「凡事徹底(ぼんじてってい)」という言葉をご存知でしょうか。これは「なんでもないような当たり前のことを徹底的に行うこと」、または「当たり前のことを極めて他人の追随を許さないこと」を意味する四字熟語です。この考え方は、多くの成功者に共通する哲学でもあります。
トヨタの現場では「会社には仕事に行くのではなく、知恵を出しに行くのだ」「ムダな仕事をさせることは、その人の人生をムダにすること」「仕事とは、作業+改善である」といった言葉が語り継がれています。これらはすべて「当たり前のことを当たり前に」という考え方に基づいているのです。
長期にわたって業績を伸ばし続ける企業を見ると、派手なイノベーションや奇抜さではなく、基本の徹底が目立ちます。ある専門家によれば「私がコンサルティングを請け負う企業では、まずその会社で最も業績を上げている営業職や企画職など、いわゆるハイパフォーマーにインタビューする。彼らに共通しているのは"当たり前"を当たり前に10年、20年続けられる点だ」と述べています。
なぜ人は継続できないのか?その心理的メカニズム
では、なぜ「当たり前のこと」を続けるのが難しいのでしょうか。その理由は私たちの脳の仕組みにあります。
即時報酬と遠い報酬のジレンマ
人間の脳は、即時報酬を好みます。今すぐに快楽や報酬を得られる行動には自然とやる気が湧きます。これが新しいことを始める際に初期のモチベーションが高い理由です。しかし、継続的な努力の報酬は時間をかけて蓄積されるため、遠い未来の報酬に対してモチベーションを維持するのは困難なのです。
モチベーションの波
モチベーションは波のように上下します。最初は新しい目標に対して高いモチベーションを感じますが、時間とともに減少していきます。この波が続く中で、モチベーションが低いときにも行動を続けることが難しいのです。
習慣化のハードル
研究によると、新しい行動が習慣になるには平均66日かかるとされています。この期間を乗り越えることができれば、その行動は習慣となり、自然に行えるようになります。習慣化の期間は最短で18日、最長で254日と個人差がありますが、行動の負荷が低いほど習慣化の期間も短くなる傾向があります。
継続を成功させる実践的アプローチ
継続することの難しさを理解したうえで、どうすれば「当たり前のこと」を続けられるのでしょうか。以下に実践的なアプローチを紹介します。
1. 小さな目標から始める
「平凡なことを毎日平凡な気持ちで実行することが、すなわち非凡なのである」とアンドレ・ジッドは言いました。小さな目標を設定し、毎日続けることで成功への道が開かれます。イチローも「夢や目標を達成するには1つしか方法がない。小さなことを積み重ねること」と述べています。
小さな目標設定のポイントは:
- 具体的な数値や行動を設定する
- 挫折しても復帰しやすい難易度にする
- 毎日の生活に溶け込みやすいものを選ぶ
2. 自分に合った「当たり前のこと」を見つける
継続できる「当たり前のこと」は人によって異なります。ある人にとっては登山やマラソンが好きで続けられることでも、別の人にとっては苦痛でしかないこともあります。自分にとって無理なく続けられるものを見つけることが大切です。
フォッグ行動モデルによれば、行動が習慣化するためには「モチベーション」「アビリティ(能力)」「プロンプト(きっかけ)」の3つの要素が必要です。特に「アビリティ」は自分にとっての実行しやすさを意味しており、自分に合った行動を選ぶことが継続の鍵となります。
3. 環境を整える
YouTubeを見る習慣をやめて読書の習慣をつけたい場合、「寝室にスマホを持っていかない」というように環境を変えることで、行動が変わります。当たり前のことを当たり前にできる環境を意図的に作りましょう。
4. 継続を支える仕組みを作る
「何を自分の「普通」に置くかがモチベーションを継続できるかの分岐点」と元プロ野球選手の山本昌さんは言っています。継続するためには、その行動を「生活の一部」にすることが重要です。
効果的な仕組み作りの例:
- 同じ時間に同じ場所で行動する
- カレンダーやアプリで進捗を可視化する
- 誰かと一緒に取り組む「アカウンタビリティパートナー」を作る
- 行動した後に小さな報酬を設定する
40代のキャリアと「当たり前の継続」の力
特に40代のビジネスパーソンにとって、継続の力は重要です。デジタル化やAIの急速な進化により、スキルの陳腐化が早まっています。この時代に市場価値を維持・向上させるには、基本的なスキルを絶えず磨き続けることが必要です。
「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」と作家の井上靖は言いました。日々の小さな努力の積み重ねが、長期的なキャリアの安定と成長をもたらします。特に40代は経験と若さのバランスが取れた時期であり、継続的な自己投資が最も報われる時期でもあるのです。
「続けられる方法」で取り組むことの重要性
「続けることが大事なのではなく、続けられる方法でやるのが大事」という言葉があります。無理なく続けられる方法を見つけることが重要です。苦痛を感じながらでは継続は難しく、自分に合った続けやすい方法を見つけましょう。
また、1日くらいサボっても習慣化には影響しないという研究結果もあります。完璧を目指すよりも、前進することを重視しましょう。三日坊主になってしまっても、そこで諦めずに再開することが大切です。
まとめ:当たり前を極めることが非凡を生む
「当たり前のことを当たり前に続ければ、当たり前に結果が出る」というのは、シンプルながらも深い真理です。特別なことや奇抜なアイデアを追い求めるよりも、基本的なことを徹底することで、長期的な成功が得られます。
鍵山氏は「いままで誰にでもできる平凡なことを誰にもできないくらい徹底してやり続けました。そのおかげで平凡の中から生まれる大きな非凡を知ることができました」と言っています。当たり前のことを当たり前に続けることは、表面的には地味に見えるかもしれませんが、その積み重ねが非凡な結果を生み出すのです。
あなたも今日から、自分にとっての「当たり前のこと」を見つけ、それを少しずつでも継続していくことから始めてみませんか?一見平凡な日々の中に、成功の種は必ず存在しています。

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