理論より実践?高学歴・大企業出身者の起業で陥りがちな落とし穴

大企業出身の経営者や高学歴起業家の失敗例が目立つのはなぜなのか?多くの成功を収めてきたビジネスパーソンが起業の場で苦戦するというパラドックス。本記事では「頭でっかち」の商売が陥る罠と、本当に成功する起業家の共通点を解説します。「難しいカタカナ英語」を連発する経営者の問題点から、地に足のついた経営のあり方まで、40代のビジネスパーソンにとって役立つ洞察を提供します。

高学歴・大企業出身者が起業で失敗しやすい本当の理由

高学歴や大企業での成功体験を持つ人が起業で躓くケースは珍しくありません。米ビジネススクール出身者の分析によると「低学歴の人の方がリスクをとって起業をし、高学歴な人ほど一流企業でのキャリア形成を望む傾向がある」という仮説が立てられています。

なぜこのような現象が起きるのでしょうか?

リスク評価の偏り

高学歴者はリスクを過大評価する傾向があります。「東大生が行き始めたらその業界は衰退が始まる」と言われるほど、安定志向が強いともいわれています。終身雇用制度や大企業の安定性に慣れていると、起業のリスクを実際より大きく見積もってしまいがちです。

「頭の良い高学歴な人は、リスクを過大に評価する傾向が強くなります。起業のリスクは過大評価され、起業のリターンは過小評価されているのです」

大企業経験がもたらすバイアス

大手企業出身の経営者が失敗する大きな原因の一つは、大企業での成功体験自体にあります。

「大手企業内での成功は、多くのリソースを得たうえで成功しているのであって、本人の力だけで成功しているわけではない。他方、ベンチャー経営では、大手企業と同じようなリソースはどこにもない」

大企業では豊富な人材、資金、ブランド力を背景に仕事をしていたため、それらがない環境での経営に対応できないのです。

「会社のブランドで仕事をしてきた人は失敗します。起業をすれば、全く無名の会社。今まで通りに売れるなんて考えること自体、全くのナンセンス。なにせ、そこにはものすごい「落差」が存在しているからです」

「頭でっかち」経営の落とし穴

高学歴や大企業出身者の中には、「頭だけで商売を考える」傾向のある人がいます。その特徴と問題点を見ていきましょう。

理論や計画は優れても実行力に欠ける

「大手企業出身者は、事業計画などの絵を描くことがうまい。年中、企画書を出していろいろな事業へ挑戦しようとする」しかし、「プレゼン能力と、独立して事業を成功へ導く能力とは別物」なのです。

これは学生起業家にも同様の傾向があります。「学生起業家が失敗する理由について、1つ目は、市場調査をせずに自分のアイデアだけで突き進んでしまうこと。2つ目は、学歴や学生のステータスを過信しすぎていること」と指摘されています。

感覚のズレ

大企業と起業では、ビジネスの規模感が全く異なります。

「1桁感覚が違うことに気づくこと。これが大事です。大手企業にいたときの予算と同じ感覚で発注していたら、資本金を入れた銀行口座の残高なんて、あっという間にゼロになります」

この金銭感覚のリセットができないと、あっという間に資金が枯渇してしまうのです。

カタカナ英語とビジネス用語の乱用問題

難しいカタカナ英語や専門用語の多用は、ビジネスにおける信頼性を損なう可能性があります。

なぜ専門用語を多用するのか?

「ジャーゴンは自分自身が所属するコミュニティへの帰属意識やメンバーシップの顕示といった効果がある」とされています。つまり、「専門的なコミュニティの一員であることを示す言語ツール」として使われているのです。

興味深いのは「ステータスの高い人より低い人の方がジャーゴンを使う頻度が高い」という研究結果です。専門用語の多用は、実は自信のなさの裏返しかもしれません。

日本語で言い換えられるカタカナ英語の代表例として以下のような言葉が挙げられています:

  • アジェンダ(計画、予定)
  • オーソライズ(公認・承認すること)
  • エビデンス(証拠、根拠)
  • バジェット(予算)

本質的なコミュニケーション能力

「実は子供向けの図鑑を書くメンバーは各分野で日本屈指の学者である」「著名なアメリカの投資家ウォーレン・バフェットは、株主総会では『ビジネスに興味がない二人の姉妹でも理解できる』ようなコミュニケーションを心がけている」

真の専門家は、難しい概念を簡潔に伝える能力を持っています。「ジャーゴンや高度な専門用語に頼らずに難しいことを分かりやすく簡潔に説明できる人が本当にステータスと専門性が高い」のです。

成功する起業家に共通する特性

では、実際に成功する起業家にはどのような特性があるのでしょうか。

実務経験の重要性

成功する起業家は、多くの場合、実務経験を積んでから起業しています。

「みんなで実力がないまま始めるより、経験を積んだ方が成功できると思います。経験を積んで、またそこで仲間を見つけてから起業するのがいいと私は実感しています」

特に中小企業での経験は、経営の実態を理解するのに役立ちます。

「10人の会社で働いていたら、あなたの役割分担は1/10です。中小零細企業では、1人ひとりの果たす役割は大きいです。経営をリアルに広範囲に経験できる」

地に足のついたアプローチ

成功する起業家は、地道な努力を重視しています。

「起業を考えている人は、何か1つでもいいから結果を出してから起業するのがいいと思います。有名になる会社の社長は起業する前からサービスを作っていることが多いです」

「起業したいという気持ちをうちに秘めておくのはいいですが、やりたいことがありきでやった方がいい」という視点も重要です。目的意識が明確であることが成功の鍵となります。

バランスの取れた起業アプローチ

高学歴や大企業出身者が起業で成功するためには、どのようなバランスが必要でしょうか。

長所を活かす

高学歴や大企業出身者には、分析力や戦略立案能力といった強みがあります。これらを活かしつつ、実務面でのギャップを埋める努力が重要です。

「起業したいなら、大企業や中小企業にこだわらず、できるだけ密度の濃い経験をさせてもらえる会社で働いておくことをおすすめします」

現実的なリスク評価

リスクを過大評価せず、適切に評価することも重要です。

「やり方を間違えなければ、起業のリスクは多くの人が想定するほど大きくはありません。多くの人が想像するほど大したことではないのです」

結論:理論と実践のバランスが成功の鍵

高学歴や大企業出身者が起業で成功するためには、理論だけでなく実践的な経験と視点のバランスが必要です。「頭だけで商売を考える」のではなく、現場感覚を大切にし、地に足のついたアプローチを取ることが重要です。

難解な専門用語に頼るよりも、シンプルで明確なコミュニケーションを心がけ、自身の強みを最大限に活かしながらも、新しい環境での制約や課題に柔軟に対応する姿勢が求められます。

最終的に、「地に足着いた感じでやっていくのが1番」というシンプルな真理が、起業成功の本質なのかもしれません。

参考サイト

米ビジネススクールファイナンス専攻卒が考察する、日本で起業家を増やす方法
https://note.com/don_juan/n/nbfd55f3fab1a

起業に有利なのは大企業より中小企業出身者 成功しやすい人とは
https://allabout.co.jp/gm/gc/447831/

大手企業出身の経営者が失敗するわけ
https://note.com/nsaccountstaff/n/n89d5ca22d3b4

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