お金は私たちの人生において避けて通れない存在です。しかし、同じお金でも、稼ぎ方と使い方によって「薬」にも「毒」にもなります。お金そのものには善悪はなく、それを扱う私たち人間の姿勢や価値観が試されているのです。今回は、お金の二面性と、私たちがどのようにお金と向き合うべきかについて考えてみましょう。
お金の二面性~薬にも毒にもなる両刃の剣
「どんなにたくさんお金があっても、それだけでは、人は幸せになれません。お金は、猛毒にも薬にもなる、両刃の剣なのです」と美輪明宏さんは語っています。この言葉は、お金がもつ二面性を端的に表しています。
お金は、使い方によって人生を豊かにする「薬」にも、人間関係を壊し心を蝕む「毒」にもなり得るのです。古くから「薬が毒に成り、毒が薬になる」ということわざがあるように、何かが良いか悪いかは、その用い方次第なのです。
ビジネスの世界でも、お金は血液のような存在です。企業活動において、キャッシュフローが止まれば、どんな優れた事業でも行き詰まってしまいます。しかし、私たちは血液のために生きているわけではないように、お金のためだけに働くのでは本末転倒なのです。
正しい稼ぎ方~信用を積み重ねる道
お金の稼ぎ方には、大きく分けて二つの方向性があります。一つは顧客に価値を提供し、感謝されながら得るお金。もう一つは、人を騙したり、不当な方法で得るお金です。
前者は「薬」となるお金です。顧客に感動を与え、問題を解決し、喜ばれることで得たお金は、提供者にも受け取る側にも良い影響を与えます。このお金は信用の積み重ねによって生まれ、さらに信用を高める好循環を生み出します。
一方、詐欺や人を騙して得たお金は「毒」となります。短期的には利益を得られても、長期的には必ず信頼を失います。「ブルータス、お前もか!」という言葉があるように、友人や家族を裏切る詐欺は金銭的損失以上の傷を負わせます。
「信用は一瞬にして失うことはできても、なかなか得ることは難しいもの」です。ビジネスにおいても、小さな約束を守るところから信用は積み重なっていきます。そして、その信用こそが長期的な成功の基盤となるのです。
お金の使い方~幸せを生む投資か見栄の浪費か
お金の使い方も、「薬」にも「毒」にもなります。研究によれば、最も幸せを感じるお金の使い方は「自分自身が誰かとの今を楽しむためにお金を使うこと」だといいます。つまり、他者のためにお金を使うことが自分自身の幸福感を高めるのです。
ハーバード大学の心理学者たちも「自分のためでなく、他人のためにお金を使おう」とアドバイスしています。これは人間が社会的な動物であり、つながりによって幸福度が高まるためです。
一方で、見栄のためにお金を使うことは「毒」となります。周囲から見栄を張るためにお金を使い続けると、「自分の人生をより豊かにしてくれるものでしょうか?」という本質的な問いを見失います。見栄っ張りの心理には「周囲から見た自分をかなり気にする」「価値のある人間と認められたい」などの特徴があります。
ある女性は見栄を張り続けた結果、夫に内緒で高級外車を購入し、最終的に3000万円の借金を抱えてしまいました。見栄による浪費は、経済的な破綻だけでなく、人間関係の崩壊にもつながるのです。
お金は目的か手段か~本質を見失わないために
「お金は『目的』ではなく『手段』だと捉えています。この『目的ではなく』というのが重要なポイントで、お金を得ることを目的化している人が多いと感じるのです。もっと言うと、お金を目的化すると人は不幸になると思っています。」これは株式会社圓窓代表取締役・澤円さんの言葉です。
お金という手段を目的化してしまうと、本当に大切なものを見失ってしまいます。お金は「選択肢を広げてくれる」便利な道具ですが、それ自体が幸せをもたらすわけではありません。
経営の神様と呼ばれるドラッカーも「利益は企業や事業の目的ではなく、条件である」と述べています。企業においても、利益は目的ではなく、社会貢献という目的を達成するための条件なのです。
同様に、個人にとってもお金は幸せな人生を送るための手段であり、それ自体が目的になってはいけません。「カネ、カネ、カネ」と騒ぎ回っても集まらず、「カネは二の次、三の次。とにかく私はこれをやりたいんだ。社会に伝えたいんだ」と真摯になると、お金がついてくるという逆説も存在します。
お金があなたを試す~本当の価値観が明らかになるとき
お金は単なる物質ではなく、私たちの価値観を映し出す鏡でもあります。どのようにお金を稼ぎ、どのように使うかによって、その人の本質が見えてきます。
詐欺師はお金のために信頼を犠牲にし、見栄っ張りはお金で他者の承認を買おうとします。一方、真のプロフェッショナルは、価値提供の結果としてお金を得て、それを有意義に活用します。
「どくだみ」という植物は俗称で、毒を抑えるという意味の「毒矯み」から来ているといいます。同様に、お金も使い方次第で「毒」を「薬」に変えることができるのです。
お金の循環が生み出す幸せ~感謝と価値提供のサイクル
お金の最も理想的な状態は、感謝と価値提供の循環の中で流れていくことです。顧客に感動を与え、問題を解決することで感謝とともに得たお金。そのお金を家族や大切な人のために使い、また社会に貢献することで、新たな感謝が生まれます。
この「幸循環消費」を積み重ねることで、お金は「薬」として機能し、私たちの人生を豊かにします。お金の金額の大小ではなく、その先の満足感が幸福感につながるのです。
お金との健全な関係を築くために
お金との健全な関係を築くために、以下の点を意識してみましょう。
- お金を目的化せず、手段として捉える
- 顧客に価値を提供し、感謝されるお金を稼ぐ
- 見栄のためではなく、本当に価値のあるものにお金を使う
- 他者のため、社会のためにお金を使う機会を作る
- お金に対する執着から自由になる
お金は「その人の信用」であるという考え方もあります。信用を築くことができれば、たとえ今お金がなくても、将来お金を得る可能性は広がります。そして、その信用こそが、お金という物質を超えた本当の資産なのです。
薬として働くお金、毒として働くお金
結局のところ、お金は稼ぎ方と使い方次第で「薬」にも「毒」にもなります。顧客に感動を与え、価値を提供して得たお金は「薬」となり、私たちの人生と社会を豊かにします。一方、人を騙して得たお金や、見栄のために使うお金は「毒」となり、私たちから大切なものを奪っていきます。
お金という手段を目的化させないこと。そして、お金を通じて自分自身の価値観が試されていることを忘れないこと。これが、お金と健全に付き合い、真に豊かな人生を送るための鍵なのではないでしょうか。
お金は単なる紙切れや数字ではなく、私たちの価値観や生き方を映し出す鏡です。その鏡に映る自分の姿に誇りを持てるよう、日々の選択を重ねていきたいものです。
参考サイト
お金は薬にもなり毒にもなる/人は善にも悪にもなる|Jim SUEHIRO
https://note.com/sueh168jime/n/nc807fe14049b
あなたにとって「仕事」と「お金」とはなんですか?|株式会社圓窓代表取締役・澤円
https://www.walkerplus.com/article/1127523/
お金の使い方で幸福度も変化? 100年時代を彩る「幸循環消費」とは
https://hakuhodo-rdc.com/100years_lab/posts/100report230607/

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