カレー店倒産が過去最多を記録!個人店を追い詰めるチェーン戦略の真実


あなたの近所の美味しいカレー店が突然閉店した経験はありませんか?実は今、カレー業界では深刻な淘汰が進んでいます。2024年度のカレー店倒産が過去最多を記録し、多くの個人店が経営の危機に瀕しているのです。この記事では、カレー店を取り巻く厳しい現実と、その背景にある構造的な問題について詳しく解説します。

カレー店倒産の衝撃的な現実

過去最多を更新した倒産件数

2024年度のカレー店倒産件数は13件となり、2年連続で過去最多を更新しました。この数字は前年度の12件を上回り、カレー業界が直面する深刻な状況を物語っています。帝国データバンクによると、2025年度も既に2件の倒産が発生しており、個人営業など小規模店の廃業や閉店を含めると、実際にはさらに多くのカレー店が市場から撤退したとみられます。

他業態との比較で見る現状

カレー店の倒産13件という数字は、ラーメン店の倒産72件と比べると少なく見えるかもしれません。しかし、カレー専門店の総数を考慮すると、その影響は決して軽視できません。特に注目すべきは、2024年に飲食店全体で倒産件数が過去最多を記録したことです。中華料理店や西洋料理店、飲み屋など、飲食店のあらゆる業態で倒産が最多となっており、カレー店だけの問題ではないことが分かります。

物価高騰がカレー店経営を直撃

コメ価格急騰の深刻な影響

カレー店の経営を最も苦しめているのが、コメ価格の急騰です。これまで安定的に安価で入手できたコメの価格が、5年前から1.4倍に上昇しました。カレーライスを家庭で調理する際の「カレーライス物価」は、2024年度に1食あたり365円となり、過去10年で最高を更新しています。

原材料費全般の上昇圧力

コメだけでなく、カレーの主要な原材料全般が価格上昇に見舞われています。カレー具材の「肉・野菜」では、円安による輸入牛肉の高騰や天候不順の影響による野菜の高騰で、5年前比1.3倍に上昇しました。さらに、カレーに使用するスパイス価格も中長期的に高止まりの傾向が続いており、中小カレー店の経営に大きな打撃を与えています。

光熱費・人件費の二重苦

食材費の上昇に加えて、光熱費や人件費といった店舗運営コストも上昇しています。特に資金力に乏しい中小カレー店は、これらの複合的なコスト増により厳しい状況に直面しています。物価上昇による消費者の外食離れも相まって、売上減少とコスト増加の板挟みとなっているのが現状です。

チェーン店の戦略的攻勢

大手チェーンの新業態参入

カレー業界では、大手チェーンによる新業態参入が個人店を圧迫する要因となっています。特に注目されるのが、牛丼チェーン各社のカレー事業への進出です。牛丼チェーンでは店舗数がほぼ横ばいとなり、出店の余地がなくなりつつあるため、新しい業態への進出が必要となっています。

吉野家は2024年11月に「カレー専門店 もう~とりこ」を開業し、牛丼に使用する牛肉と玉ねぎを活用したビーフカレーを展開しています。同社は中期経営計画で、吉野家の第3の柱を「ラーメン」にするとしており、多角化戦略を積極的に推進しています。

チェーン店の圧倒的な優位性

カレー業界の代表格であるCoCo壱番屋は、国内に1,253店舗を展開し、2位の日乃屋カレー79店舗の約15倍の規模を誇ります。この圧倒的な規模の違いが、個人店との競争において決定的な差を生み出しています。

CoCo壱番屋の成功要因は以下の通りです:

  • 調達力: スパイス商社のハウス食品との長期的な取引関係により、安定した原材料調達を実現
  • 生産能力: セントラルキッチンによる大量生産で、1,200店舗まで対応可能な生産体制を構築
  • 開発力: 約40種類の豊富なトッピングメニューで他社の追随を許さない差別化を実現

価格競争の激化

チェーン店は大量仕入れによるスケールメリットを活かし、価格競争で優位に立っています。個人店では原材料高騰の吸収が困難な中、チェーン店は効率的な仕入れルートと店舗運営の標準化により、価格上昇を抑制できています。この価格差が、消費者の価格感度が高まる現在の市場環境において、個人店の競争力を大きく削いでいます。

個人店が直面する構造的課題

資金繰りの悪化

多くの個人カレー店が、コロナ禍で行われた新型コロナ緊急融資の返済開始のピークに直面しています。2024年にその返済に追われて倒産した可能性が高く、コロナ禍という未曽有の出来事による融資で結果的に延命させられていた個人店が、せきを切ったように倒産していると見ることができます。

競争環境の変化

個人店には独自のスパイス配合や調理技法、店主のストーリーやコンセプトが体験として価値になるという強みがあります。しかし、原材料高騰による価格転嫁の困難さ、人手不足や属人性による運営の不安定さなど、多くの課題を抱えています。

消費者の選択基準の二極化

現在の消費者は、「1,000円を超えると外食を控える」という価格感度の高さを示しており、選ばれる理由が二極化しています:

  • チェーン店: 価格の安心感、速さ、均一な味
  • 個人店: 特別な体験、非日常性、話題性

日常使いにはチェーン店、特別な一皿には個人店という棲み分けが、今後さらに明確になると考えられます。

生き残りをかけた戦略

価値創造による差別化

個人店が生き残るためには、価格競争から脱却し、付加価値を高める戦略が不可欠です。具体的には以下のような取り組みが有効です:

  • 独自のスパイス配合や調理技法による味の差別化
  • 店主のストーリーやコンセプトを活かした体験価値の提供
  • SNSでバズるビジュアルやユニークな世界観の演出
  • 地域密着型サービスによる顧客との深い関係構築

経営効率化の推進

原材料高騰に対応するため、経営の効率化が急務となっています。効果的な対策として以下が挙げられます:

  • メニュー構成の見直しと利益率の高い商品への集中
  • 仕入れルートの多様化による原価削減
  • デジタルツールの活用による業務効率化
  • 食材ロスの削減による利益改善

インバウンド需要の取り込み

「日本のカレー」を目当てに来店するインバウンド客が増加しており、この需要を積極的に取り込む戦略も重要です。外国人観光客向けのメニューや接客体制の整備により、新たな収益源を確保できる可能性があります。

業界の今後の展望

市場の二極化進行

カレー業界では今後、「価格」か「価値」の二極化がさらに進むと予想されます。チェーン店は安定した供給力とブランド力で価格競争に強みを発揮し、個人店はスパイスや体験価値で差別化し「行く理由」を作る必要があります。

構造的改革の必要性

業界全体として、原材料の安定調達に向けた協力体制の構築、新しい調理技術の導入による効率化、デジタル化による運営コストの削減など、構造的な改革が急務となっています。行政も中小飲食店向けの支援策を強化し、地域の食文化を守る観点からの政策的配慮が求められています。

まとめ

カレー店の倒産増加は、単なる一時的な現象ではなく、業界全体の構造的な変化を示しています。物価高騰、チェーン店の攻勢、消費者行動の変化など、複合的な要因が個人店を追い詰めている現状があります。しかし、この危機は同時に、真に価値のあるカレー店が生き残り、発展する機会でもあります。

個人店の経営者は、価格競争に巻き込まれることなく、独自の価値提案により顧客の心を掴む戦略を構築することが生き残りの鍵となります。一方で、業界全体としても、中小店舗を支援する仕組みづくりや、持続可能な経営モデルの確立が急務となっています。

街角に漂うスパイスの香りと、一杯のカレーに込められた店主の想いを次世代に引き継ぐため、今こそ業界全体で知恵を結集し、この困難な状況を乗り越えていく必要があるのです。

参考情報

注意

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