現代社会を生きる私たちは、仕事、家庭、将来への不安など、様々なストレスに囲まれています。特に40代は家庭と仕事の両方で重責を担う年代であり、精神的に辛い状況に直面することも少なくありません。本記事では、辛い時や苦しい時の乗り越え方について、心理学的な知見を基に実践的なアドバイスをご紹介します。
辛い時はまず自分の感情を認める
辛い時や苦しい時、まず大切なのは自分の感情を否定せずに受け入れることです。「辛くない」「大丈夫」と自分の感情にふたをしてしまうと、気づかないうちに何に対しても無関心、無感動になってしまう恐れがあります。
まずは「今、自分は辛い状態にある」と素直に認めることが、状況改善の第一歩です。辛い時はとにかく休むことも大切です。早く寝る、休日はゴロゴロして過ごすなど、無理せず、消耗した心身にエネルギーを蓄える時間をたっぷりとることが重要です。
自分の感情パターンを知る
辛くなるときには、自分特有の思考パターンや行動の癖があることが多いものです。失敗したり辛くなったりするときに共通している行動パターンや思考の癖を理解しておくと、それらが出そうになった時に「あ!いけない!」と思いとどまり、失敗や辛さを回避できるようになります。
例えば、仕事でのプレッシャーを感じた時に「自分はダメだ」と思考が暗くなる傾向がある場合、そのパターンに気づくことで対処法を考えることができます。
見方を変えることで状況を乗り越える
辛い状況にある時、同じ出来事でも捉え方を変えることで感じ方が大きく変わることがあります。認知行動療法では、出来事→認知(考え)→気分という3段階の流れで、考え方により気分が変化すると説明しています。
認知再構成の実践
認知再構成とは、感情が動く出来事で浮かぶ「考え」を調整する技法です。まずは繰り返し「考えのくせ」を見て調整することが重要です。
例えば、プロジェクトで思うような成果が出なかった時、「自分の能力が足りない」と考えるのではなく、「次に活かせる経験ができた」と捉え直すことで、前向きな気持ちに切り替えることができます。
このような認知の転換は、物事を半分しか水が入っていないコップと見るか、半分も水が入っているコップと見るかという違いに似ています。見方を変えることで、同じ状況でも心の持ち方が大きく変わるのです。
一人で抱え込まずにサポートを求める
辛い時こそ、周囲のサポートを活用することが重要です。ソーシャル・サポートには、ストレスの緩和効果があることが研究で示されています。
ソーシャル・サポートの効果
ソーシャル・サポートとは、社会における人とのつながりの中でもたらされる、精神的あるいは物質的な支援です。このサポートを受けることで、ストレスが緩和される効果があります。
ソーシャル・サポートの効果には2種類あります。一つは、ストレスの強弱にかかわらず、サポートを受けることが心身の健康に直接好ましい影響を及ぼす「直接仮説」。もう一つは、サポートが緩衝材の役目を果たして、高いストレスの悪影響を緩和する「ストレス緩衝仮説」です。
信頼できる人に相談する
自分でできないことは素直に認めて助けを求めましょう。「自分の力でこの苦しみから抜け出せる」という思い込みは、できない自分を否定していることになり、できなかった時の辛さを増幅させてしまいます。
相談相手は、利害関係がなく客観的な視点を持つ人が良いでしょう。家族、友人、同僚などに話すことで、自分一人では気づかなかった視点を得られることがあります。
カウンセリングを利用するのも有効な選択肢です。カウンセリングには、話すことでスッキリする「カタルシス効果」や、自分の問題を整理しやすくなる効果、違った視点から考えることができる効果などがあります。
自分を思いやる:セルフ・コンパッションの実践
辛い時こそ、自分自身に優しく接することが大切です。セルフ・コンパッションとは、困難やストレスに直面した際に自分自身に優しく接することで、次の3つの要素から成り立っています:
- セルフ・カインドネス:自分の失敗や不完全さに対して、自分を批判するのではなく、優しく理解を示すこと
- コモン・ヒューマニティ:苦しみや失敗は人間の共通の経験であり、自分だけが経験しているわけではないと認識すること
- マインドフルネス:辛い思考や感情を、抑圧したり回避したりせずに、ありのままに受け止め、観察すること
セルフ・コンパッションは、ウェルビーイングを高め、ストレスがウェルビーイングに及ぼす否定的な影響を緩和することが研究で示されています。
レジリエンスを高める:回復力を鍛える
レジリエンスとは、ストレスや心の落ち込みから立ち直る力のことです。この力は誰もが持っているものですが、ストレスが重なったり睡眠不足や体調不良になったりすると弱まることがあります。
レジリエンスを高める3つの方法
- 自分の強みを見出し、活用する:自分の強みを知ることは、モチベーションの向上、明確な方向性、高い自信、生産性の向上、目標達成の確率の向上などに役立ちます。
- 過去の経験から学ぶ:過去に経験した心の傷や得られなかったものに対しての渇望が、無意識の中に抑圧され影響を与えている場合があります。過去の影響に気づき、「そういう出来事があっただけだ」と冷静に受け止めることが大切です。
- メンタルを鍛える:自分の考え方や捉え方を見直すことでメンタルを鍛え、ストレス耐性を強化できます。テンションの差を作らない、人のせいにしない、人に流されずに自分で決める、ありのままの自分を受け入れるなどを意識することが効果的です。
具体的な実践方法:日常に取り入れられる対処法
辛い時や苦しい時に実践できる具体的な方法をいくつかご紹介します:
1. 気分転換をする
適度な運動や趣味を楽しむこと、深呼吸や瞑想でリラックスすること、音楽やアロマテラピーを取り入れることなどが有効です。
2. つらい気持ちを外に出す
感情を内に溜め込まずに、信頼できる人に話す、日記に書き出すなどして表現することで、気持ちが整理されます。
3. 先のことに目を向ける
行き詰まった時には、乗り越えたあとに待ち受ける「いいこと」を考えるのも有効です。具体的にイメージすればするほど、前に進む原動力が沸いてきます。
4. 十分な睡眠をとる
人は寝ることで気持ちをリセットし、明日への活力を養います。悩み事は夜に考えると必要以上に深くなりがちなので、意識的に睡眠を取ることで困難に立ち向かいやすくなります。
まとめ:自分のペースで進むことの大切さ
苦しい時や辛い時は、無理に元気になろうとせず、自分の感情を素直に受け入れることから始めましょう。そして、考え方を変える努力をし、周囲のサポートを活用することで、徐々に状況を改善していくことができます。
苦しみが得意な人はどこにもいません。そこには「立ち向かう人」と「後ろ向きになる人」があるだけです。どんなに長い夜も必ず朝は来ます。焦らず、自分のペースで進んでいけば、必ず状況は好転していきます。
何より大切なのは、一人で抱え込まないこと。そして、自分自身に優しく接し、自分を責めすぎないことです。困難は誰にでもあり、それを乗り越えた先に成長があることを忘れないでください。
【参考サイト】
- うららか相談室 https://www.uraraka-soudan.com/column/294
- モチベーション・マネジメント協会 https://mm-a.jp/column/column_06/
- こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com/psychiatry/utuselfcare/saikousei.html

コメント