絶滅したと考えられていた世界最大の両生類「スライゴオオサンショウウオ」が実は日本で生きていたという驚きの発見がありました。東京・池袋のサンシャイン水族館と広島市の安佐動物公園で飼育されていたこの貴重な生物が、2025年3月から開催中の特別展「真夜中のいきもの展」で一般公開されています。中国では絶滅したと思われていた希少種が日本で生き続けていたという奇跡の物語と、この貴重な生物に会える特別な機会についてご紹介します。
世界最大の両生類「スライゴオオサンショウウオ」とは
スライゴオオサンショウウオは中国南部の限られた地域から記録されている固有種で、世界最大の両生類として知られています。これまで「チュウゴクオオサンショウウオ」と見なされていましたが、最新の研究により異なる種に再分類されました。
このスライゴオオサンショウウオには以下のような特徴があります:
- 全長が1メートルを超えることもある世界最大級の両生類
- 食用として大量に捕獲されるなどして自然界では激減
- IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは極めて絶滅のおそれが高い種に分類
日本には、特別天然記念物に指定されている「オオサンショウウオ」という固有種がいますが、その最大サイズは一般的に50〜70センチメートル程度です。スライゴオオサンショウウオはそれよりもさらに大きく成長する特徴を持っています。
驚きの発見!絶滅したと思われていた種が日本に生存
京都大学の西川完途教授らの研究チームが、日本在来のオオサンショウウオと中国から持ち込まれた近縁種の交雑について研究する過程で、この発見がありました。研究チームは日本国内の野外個体や飼育個体73匹の遺伝情報を調査し、そのうち4匹が「スライゴオオサンショウウオ」であることを突き止めたのです。
発見された4匹のうち、現在も生存している2匹は:
- サンシャイン水族館(東京都豊島区)で飼育されている個体
- 広島市安佐動物公園で飼育されている個体
残りの2匹については、1匹はすでに死亡し、もう1匹は岡山県内の個人宅にいたものの現在は行方不明とのことです。
この発見は非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、原産地の中国ではスライゴオオサンショウウオはすでに絶滅したと考えられているからです。つまり、日本の水族館と動物園で飼育されている個体が、この種の貴重な生き残りである可能性が高いのです。
サンシャイン水族館のスライゴオオサンショウウオの暮らし
サンシャイン水族館で飼育されているスライゴオオサンショウウオのオスは、1989年に輸入され、1999年から25年以上にわたり水族館で飼育されてきました。現在の大きさは約1.2メートルにも達しています。
サンシャイン水族館の飼育スタッフである先山広輝さん(42歳)によると、この個体の特徴は:
- 昼間は隠れて静かにしていることが多い
- 夜になると活動を開始し、大きな口で獲物を捕らえる
- 飼育員よりも「先輩」であり、水族館に来てから26年目となる
先山さんは「入社当初は餌やりも担当していたので、貴重な種だとわかり驚きとともに信じられないというのが正直な気持ちです。さまざまな研究や調査を進める話も出てきているので、積極的に協力していきたい」と話しています。また、「生息地以外での生物保護は、水族館の役割の一つ。展示がこの生物を知るきっかけになれば」と期待を寄せています。
「真夜中のいきもの展」で希少種に出会えるチャンス
2025年3月14日から11月24日まで、サンシャイン水族館では特別展「真夜中のいきもの展」を開催中です。この特別展では、普段はバックヤードで飼育されているスライゴオオサンショウウオを見ることができる貴重な機会となっています。
会場の特徴:
- 暗闇を好む生き物が活動する様子が見られるよう薄暗い空間に
- 「夜行性」「洞窟」「発光」の属性ごとにエリア分け
- 真夜中の世界に迷い込んだような探検気分を味わえる
スライゴオオサンショウウオ以外にも、以下のような夜行性の生き物たちに出会えます:
- 超音波を発して暗闇を飛行する「エジプトルーセットオオコウモリ」
- 音を出さずに飛び、獲物を正確に捕らえる「アカアシモリフクロウ」
- 子供に人気の「ヘラクレスオオカブト」
特別展の開催概要:
- 期間:2025年3月14日(金)~11月24日(月・祝)
- 休館日:6月19日(木)
- 料金:通常入場券 600円、「オリジナル蓄光ステッカー」付き入場券 800円
春休みやゴールデンウィーク、夏休みなど、家族でのお出かけにもぴったりの内容となっています。
絶滅危惧種の保全と研究の最前線
スライゴオオサンショウウオの発見は、絶滅危惧種の保全における水族館や動物園の重要性を示しています。現在飼育されている2匹はいずれもオスであるため自然繁殖はできませんが、研究チームは保全に向けた取り組みを進めています。
京都大学の研究チームの取り組み:
- メスの細胞組織を冷凍保存している
- 組織からメスのクローン個体を生み出す研究
- 生きているオスの生殖細胞を用いた人工繁殖の可能性
西川教授は「厄介者とされる外来種が世界的な種多様性の保全に貢献することがある」と話しています。また、「ほかの水族館や動物園、日本以外でも飼育されている可能性があるので、残ってる個体がいないか探していきたい」とも述べています。
一方、日本固有種のオオサンショウウオも外来種との交雑による遺伝子汚染が進行しており、2024年には政府が外来種について飼育や放出を禁じる「特定外来生物」に指定する政令を閣議決定しました。こうした状況からも、絶滅危惧種の保全と外来種対策の両立が重要な課題となっています。
まとめ:貴重な生物との出会いを大切に
絶滅したと思われていたスライゴオオサンショウウオが日本で生き続けていたという発見は、生物多様性の保全における希望の光となりました。サンシャイン水族館の特別展「真夜中のいきもの展」は、普段見ることのできない貴重な生物に出会える絶好の機会です。
この特別展を通じて、絶滅危惧種の現状や保全の重要性について考えるきっかけにもなるでしょう。夜行性の生き物たちの神秘的な世界を体験しながら、生物多様性の素晴らしさに触れてみてはいかがでしょうか。
世界最大の両生類との貴重な出会いを求めて、ぜひサンシャイン水族館へ足を運んでみてください。生き物たちの織りなす暗闇の神秘が、あなたを待っています。
参考情報
サンシャイン水族館 https://sunshinecity.jp/aquarium/
京都大学プレスリリース https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-02-08
NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240225/k10014369561000.html

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