リサイクル素材の第二の人生:様々な素材がどのように生まれ変わるのか

技術


使い終わった製品や容器がリサイクルされると、驚くほど多様な形で私たちの生活に戻ってきます。環境問題への関心が高まる中、リサイクルはただの廃棄物処理ではなく、限りある資源を循環させる重要な取り組みとなっています。本レポートでは、プラスチックや金属などの素材がリサイクルによってどのような製品に生まれ変わるのかを詳しく解説します。

プラスチックリサイクルの種類と新たな製品

プラスチックのリサイクルは主に3つの方法で行われ、それぞれ異なる形で私たちの生活に戻ってきます。

マテリアルリサイクル:新しいプラスチック製品への変身

マテリアルリサイクルとは、使い終わったプラスチックを集め、溶かしたりして新しいプラスチック製品の原料として活用する方法です。例えば、使い終わったペットボトルは資源ごみとして収集・分別され、リサイクル工場で細かく砕かれて「フレーク」という原料になります。このフレークから、事務用品や衣類などが新しく作られています。

マテリアルリサイクルは、さらに「レベルマテリアルリサイクル」と「ダウンマテリアルリサイクル」の2種類に分けられます。

レベルマテリアルリサイクル:原料に戻す前と同様の製品に再生する方法です。例えば、使用済みペットボトルから新しいペットボトルを作る「ボトルtoボトル」のリサイクルが挙げられます。このようなリサイクル方法は、資源の循環を最も効率的に実現できます。

ダウンマテリアルリサイクル:品質が満たない場合に、違う製品に再生する方法です。具体的には以下のような製品に生まれ変わります:

  • 使用済みペットボトル → 作業着やユニフォームなどの衣料品
  • 使用済みペットボトルのキャップ → ボールペンやクリアファイルなどの文房具
  • トレーやレジ袋などの包装廃材 → ごみ袋や水切りネットなど

東洋紡株式会社は2024年10月に、リサイクル原料使用比率100%の工業用フィルム「レナシャイン®」を新開発しました。これは使用済みの工程用ポリエステルフィルムを回収し、再資源化する"Film to Film"の資源循環型リサイクルスキームによる製品です。

ケミカルリサイクル:化学の力で原料に戻す

ケミカルリサイクルは、使用済みプラスチックに化学的な処理を行い、組成変換した後に原料として再利用する方法です。主に以下の5つの方法があります:

  1. 油化:石油から作られるプラスチックを熱で分解して油に戻す方法です。ただし、コストの観点から現在ではあまり活用されていません。
  2. ガス化:プラスチックを熱で一酸化炭素や水素などのガスに分解して化学原料にする方法です。ガス化によって回収した合成ガスは、炭酸飲料のガスやドライアイス、アンモニアの原料や燃料電池自動車の充電などに再利用できます。
  3. 原料・モノマー化:化学反応を利用してプラスチックの分子を最小単位(モノマー)にまで分解し、原料として使える状態へ戻す技術です。現在ではモノマー化技術の進歩により、使用済みプラスチックから新品同様のペットボトルを作ることが可能になっています。
  4. 高炉原料化:プラスチックを製鉄所の石炭やコークスの代わりに使用する方法です。
  5. コークス炉化学原料化:プラスチックを蒸し焼きにしてコークスと同様の製品を作る方法です。

サーマルリサイクル:エネルギーとしての再生

サーマルリサイクル(エネルギー回収)は、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルできないプラスチックを燃やし、熱エネルギーとして利用する方法です。

石油から作られたプラスチックは高い熱量を持っているため、ごみ焼却時の熱で発電したり、温水プールや暖房などに利用されています。また、固形燃料化されたり、セメントを作るときの燃焼補助剤(原・燃料)としても使われます。

金属リサイクルのプロセスと再生製品

金属は品質劣化がほとんどなく何度でも再利用できるため、リサイクルに適した素材です。

金属リサイクルの基本プロセス

金属のリサイクルは、以下のような段階を経て進められます:

  1. 回収:工場や建設現場、家庭からの廃棄物、自動車解体現場などから金属を回収します。
  2. 分別:回収された金属は、不純物を取り除きながら種類ごとに分別されます。
  3. 加工:金属の形状や用途に応じて、プレス加工(薄い材料を圧縮)、シャーリング加工(長い金属を短く切断)、シュレッダー加工(金属を細かく破砕)などが施されます。
  4. 再資源化:加工処理された金属は、溶解、精錬などの工程を経て、新たな金属製品の原材料となります。再資源化された金属は、品質面でも新しい金属と遜色がほとんどありません。

金属種類別のリサイクル製品

鉄のリサイクル
鉄くずは、発生源によって「自家発生スクラップ」(鉄鋼メーカー内での製鋼や加工工程から生じる鉄くず)と「市中スクラップ」(市場に出回った製品などから発生する鉄くず)に分類されます。リサイクルされた鉄は、自動車部品や建材、家電製品などに再利用されます。

アルミニウムのリサイクル
アルミ缶などから回収されたアルミニウムは、新しいアルミ缶に生まれ変わります。アルミニウムのリサイクルは、原料から新しく製造するのに比べて95%ものエネルギーを節約できると言われています。

銅のリサイクル
電線や配管などの銅製品からリサイクルされた銅は、新たな電線や電子部品などに生まれ変わります。銅は高い導電性を持つため、電気製品の重要な材料となります。

貴金属のリサイクル
金や銀、プラチナなどの貴金属は、電子機器や宝飾品からリサイクルされ、再び同様の製品に利用されます。これらの希少金属のリサイクルは、資源の有効活用において特に重要です。

リサイクルの意義と環境への影響

リサイクルには多くのメリットがあり、環境保全に大きく貢献します。

リサイクルの環境的メリット

資源の有効活用
金属リサイクルは、天然資源の保護に大きく貢献します。リサイクルによって新たな金属の採掘を減らし、資源の枯渇を防ぎます。また、廃棄物量削減によって埋立地の負担が減るので、土壌や水質汚染のリスクも低減します。

エネルギー節約と温室効果ガス排出削減
金属のリサイクルは、新規製造と比較して大幅にエネルギー消費を削減できます。例えば、アルミニウムのリサイクルでは、新規製造と比べて約95%のエネルギーの節約になります。その結果、化石燃料の使用量が減少し、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減につながります。

廃棄物の削減
リサイクルにより、埋立地に送られる廃棄物の量を減らすことができます。これにより、新たな埋立地の建設を減らし、土地の有効利用が可能になります。

経済的・社会的メリット

コスト削減と経済効果
リサイクルによって得られる素材は、新しい素材より安価で、市場での競争力を持っています。企業はコスト削減につながり、結果的に消費者にもそのメリットが還元されます。

雇用創出と地域経済への貢献
リサイクル業者や収集業者は、多くの雇用を生み出し、地域経済の活性化に寄与しています。また、リサイクルを通じて、地域住民が環境問題に対する意識を高める機会も提供されます。

持続可能な社会に向けたリサイクルの役割

リサイクルは持続可能な社会構築において重要な役割を果たしています。

3Rの推進とリサイクルの位置づけ

環境問題に対する取り組みとして、「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」の3Rが基本となります。

リデュース:ごみをへらすこと。例えば、買い物の際にマイバッグを持参してポリ袋の使用量を減らすなどの取り組みです。

リユース:くりかえし使うこと。プラスチックは丈夫な素材なので、何度でも使うことができます。いらなくなったプラスチック容器を植物のプランターにするなど、工夫次第で再利用できます。

リサイクル:再生利用すること。使い終わった廃プラスチックは、町のルールを守って分別し、排出することが大切です。

SDGsとリサイクルの関連性

リサイクルは、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献しています。特に目標12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な消費と生産のための促進が重要視されており、リサイクルはこの目標を達成するための効果的な手段です。

リサイクルを通じた資源の有効活用は、環境保護だけでなく、経済的な利点ももたらします。リサイクルによって得られる素材は新たな資源の採掘よりも安価で入手でき、企業はコストを削減することができます。

個人ができるリサイクル活動

私たち一人ひとりが日常生活の中でリサイクルに貢献できる方法はたくさんあります。

日常的なリサイクル実践法

1. 牛乳パックや食品トレーのリサイクル
牛乳パックや食品トレーはスーパーの店頭回収に出すことで、トイレットペーパーやティッシュペーパー、新しい食品トレーなどに再生できます。

2. 分別ルールの徹底
「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」などのゴミ出しルールを守り、正しく分別することで、リサイクル率の向上につながります。分別して再利用できるものが増えれば、家庭から出るゴミの量も減り、焼却効率も良くなります。

3. リサイクル製品の選択
エコマーク商品やリサイクルトイレットペーパーなどを選んで購入することで、リサイクル製品の需要を高め、循環型社会の構築に貢献できます。

4. 不要品のリユース
着なくなった服や使わなくなったものはリサイクルショップやフリマを活用することで、まだ使えるものを必要としている人に届け、ゴミの削減につながります。

ペットボトルリサイクルの正しい方法

日本のペットボトル回収率は93%、リサイクル率は85.8%と、世界トップレベルの高い水準を誇っています。ペットボトルを正しくリサイクルするためには、次の手順が重要です:

  1. キャップとラベルを外す
  2. 中身をすすぎ、横方向につぶす
  3. リサイクルボックスや地域の資源回収所に出す

このような適切な分別により、ペットボトルは飲料用ペットボトル、食品トレー、衣類、バッグなどの様々な製品に生まれ変わります。

結論

リサイクルは単なる廃棄物処理ではなく、限りある資源を有効活用し、環境負荷を減らすための重要な取り組みです。プラスチックや金属などの素材は、リサイクルによって様々な形で私たちの生活に戻ってきます。

マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなどの技術の進歩により、使用済み製品から高品質な再生製品を作ることが可能になっています。また、金属リサイクルのプロセスも確立され、品質劣化のほとんどない再生金属が新たな製品に活用されています。

私たち一人ひとりがリサイクルに対する意識を持ち、日常生活の中で実践することで、持続可能な社会の構築に貢献することができます。リデュース、リユース、リサイクルの3Rを心がけ、エコマーク商品の選択や正しいゴミの分別など、できることから始めていきましょう。

リサイクルによって、廃棄物は単なるゴミではなく、価値ある資源として生まれ変わります。この資源循環の輪に私たち全員が参加することで、より持続可能な未来を築いていくことができるのです。

参考情報:
・公益財団法人プラスチック容器包装リサイクル推進協議会 https://www.pwmi.jp/
・株式会社環境の見方 https://kankyounomikata.co.jp/
・東洋紡株式会社 https://www.toyobo.co.jp/

注意

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