コンポストは家庭から出る生ごみを資源として再利用できる環境にやさしい取り組みとして注目されています。しかし、始める前にその良い点と課題点をしっかり理解しておくことが大切です。この記事では、コンポストの基本からメリット・デメリット、さらに成功させるためのポイントまでを詳しく解説します。これからコンポストを始めたい方はもちろん、すでに取り組んでいる方も必見の内容です。
コンポストとは?基本の仕組みを理解しよう
コンポスト(compost)とは、生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の力で分解・発酵させて作る堆肥のことです。また、その堆肥を作る容器自体もコンポスト(コンポスター)と呼ばれます。
微生物には「好気性」(酸素を好む)と「嫌気性」(酸素を必要としない)の2種類があり、コンポストの種類によって異なる微生物の力を利用しています。歴史的にも古代中国やエジプトの時代から、また日本でも江戸時代から有機物の循環システムとして活用されてきました。
コンポストの種類
コンポストには主に以下の種類があります:
- 家庭や地域社会ベースのコンポスト(分散型堆肥化):プラスチックのカゴ、土鍋、段ボール、樽などを使用した家庭で簡単にできるもの
- 集中型堆肥化:自治体が主体となり、専用施設で生ごみを回収して堆肥化するもの
家庭用のコンポストはさらに以下のように分類できます:
- 設置型(庭に埋め込むタイプ)
- 段ボール型
- バック型
- 密閉型
- 回転式
- ミミズを使ったもの(ミミズコンポスト)
コンポストの7つのメリット
メリット①生ごみが減る
コンポストを導入することで、家庭から出る生ごみの量を大幅に減らすことができます。生ごみは家庭ゴミの約3割を占めると言われており、これをコンポストに回すことでごみの排出量が減少します。
1人が1日に出すごみの量は約1キログラムで、これらを処理するコストは日本全体で年間約1兆8627億円にもなります。1人あたり14,600円の税金が使われる計算になるため、より多くの人がコンポストを利用すれば大幅なコスト削減につながります。
メリット②環境負荷を減らせる
生ごみは水分を多く含むため、焼却処分には多くのエネルギーが必要で、その結果、より多くの二酸化炭素が排出されます。コンポストで生ごみを処理することで、焼却処分に伴う環境負荷を減らすことができます。
国連環境計画によると、コンポストが世界でより広まることで、2050年までに21億トンの温室効果ガス削減が期待されています。
メリット③土の質を向上させる
コンポストで作られた堆肥は、微生物の作用によって栄養豊富な有機物となります。これを土に加えることで、土壌の質が向上し、植物の成長を促進します。
化学肥料に代わる自然でサステナブルな肥料として、植物を育てる際の土壌に必要な栄養素を豊富に与えてくれます。
メリット④経済的な節約になる
コンポストを導入することで、ごみ袋の購入頻度が減り、経済的な節約にもつながります。また、自治体によってはコンポスターの設置に助成金を出している場合もあります。
メリット⑤安全な野菜栽培ができる
生ごみから作った自家製堆肥で育てた野菜は、私たちが普段食べる食材から作られているため、農薬を使用せずに安全に栽培することができます。小さな子どもがいる家庭では、安全な食材への関心も高まります。
メリット⑥食への意識が高まる
コンポストを実践することで、食品ロスへの意識が高まり、可食部を残さないよう工夫するなど、食への意識改革にもつながります。
メリット⑦循環型社会への貢献
コンポストは、生ごみを「資源」として捉え直し、循環型社会の形成に貢献します。これにより、持続可能な未来の構築に一役買うことができます。
コンポストの5つのデメリット
デメリット①堆肥になるまで手間や時間がかかる
コンポストで生ごみを堆肥化するには、コンポストの容器や装置、設置場所などにより数時間から4カ月程度の時間がかかります。特に自作コンポストの場合、市販のものに比べて堆肥になるまでの時間が長くなる傾向があります(数ヶ月~半年程度)。
またその間も、毎日あるいは週に1回程度かき混ぜるなどの手入れが必要です。
デメリット②虫や悪臭が発生する場合がある
適切に管理されていないコンポストでは、虫や悪臭が発生する可能性があります。特に、土の量に対して生ごみや水分が多すぎると悪臭の原因となります。
ミミズコンポストの場合、うまくいっていれば土のような臭いがするだけでほぼ無臭ですが、失敗すると悪臭が発生してしまいます。
デメリット③微生物が分解できない材料は使用できない
コンポストは微生物が材料を分解することで堆肥ができるため、微生物が分解できない材料は入れても堆肥にはなりません。
例えば、タケノコの皮やクリの皮など、分解しにくい食品もあります。また、貝殻、魚や肉の骨、果物の種、玉ねぎの外皮、卵の殻、塩分の多いものなども分解されにくいです。
デメリット④環境管理が重要
コンポストでは、水分量や温度などの環境管理が非常に重要です。水分が多すぎても少なすぎても微生物の活動が低下し、堆肥化がうまく進みません。
コンポストの中の基材は、ぎゅっと握って水分が滴るくらいの湿り気(水分量40%~60%)が理想的です。また、ミミズが活発に動ける温度は10℃~28℃で、適温は24℃程度です。
デメリット⑤堆肥の品質問題
生ごみを再利用した堆肥は塩分濃度が高く、発酵が不十分であることがあります。そのような堆肥は植物を枯らし、土壌汚染を招く可能性があります。
また、家庭菜園をしていない場合は、作った堆肥の活用方法に困ることもあります。
失敗しないコンポスト活用のポイント
コンポストを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です:
水分管理をしっかりする
コンポスト内の水分量は40%~60%が理想的です。水分が多すぎるとべちゃべちゃになり嫌気発酵が進んで悪臭の原因になります。基材をぎゅっと握ってモロっと崩れるぐらいの状態を目指しましょう。
水分が多い場合は、新聞紙や段ボール、乾燥した葉などを追加して調整します。
定期的なかき混ぜが重要
コンポストの中身を定期的にかき混ぜることで、酸素を取り入れ、好気性微生物の活動を促進できます。これにより、悪臭の発生を防ぎ、堆肥化のスピードも上がります。
適切な材料を入れる
コンポストに入れる生ごみは、微生物が分解しやすいものを選びましょう。野菜や果物の残りかす、魚や肉類、穀物類(生米を除く)などが適しています。
一方で、微生物が分解しにくいものや、腐敗した生ごみはコンポストに入れないようにします。
虫対策をする
コンポストの蓋やカバーをきちんと閉じる、容器に割れや穴がないか確認する、生ごみをしっかり基材(土)に埋めるなどの対策で、虫の発生を防ぐことができます。
コンポストの種類と選び方
コンポストには様々な種類がありますが、以下の点を考慮して自分に合ったものを選びましょう:
- 設置場所:庭があるか、マンション住まいかなど
- 手間:どれだけ手間をかけられるか
- 予算:自作するか市販品を購入するか
- 使用目的:堆肥の使い道があるか
室内で使用する場合は、臭いの心配がない小型コンポスト商品が適しています。庭がある場合は、屋外に混ぜて放置するだけの放置型コンポスト商品も選択肢になります。
自作する場合は、段ボールコンポストが比較的簡単に始められます。段ボール箱を容器として用いる生ごみ堆肥は、家庭でできる生ごみ資源化法として多くの市民団体や自治体が推奨しています。
コンポストで持続可能な未来へ
コンポストは単なるごみ処理の方法ではなく、持続可能な社会を築くための重要な取り組みです。家庭から出る生ごみを「資源」として捉え直し、循環型社会の形成に貢献することができます。
確かに手間や時間はかかりますが、環境への貢献や経済的メリット、そして自家製の安全な野菜を育てる喜びなど、多くのメリットがあります。
コンポストのメリットとデメリットを理解した上で、自分のライフスタイルに合った方法を見つけて、持続可能な未来への一歩を踏み出してみませんか?
参考サイト
・エシカメ「コンポストとは?始め方や自作の方法、メリット・デメリット」
https://ethicame.com/shop/information/compost
・UNEP「コンポストで食品ロスを減らそう」
・農機ナビ「生ごみを堆肥化させるコンポストの作り方と使い方」
https://www.noukinavi.com/blog/?p=5945


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