京都旅館の大変革!1泊2食付きプランが消える理由と外国人観光客の本音

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京都の旅館業界で静かな変革が起きています。かつては当たり前だった「1泊2食付き」のプランを取りやめる旅館が続出しているのです。その背景には、人手不足だけではない、外国人観光客の率直な本音が関係していました。訪日外国人が急増する京都で起きている新たな現象を詳しく見ていきましょう。

京都の旅館で広がる「食事提供」からの撤退

京都で料理の提供を縮小する宿が静かに増えています。素泊まりのみのプランを用意したり、朝食のみを提供したり、修学旅行生にのみ食事を用意したり、飲食店の予約代行をしたりと方法はさまざまですが、一般的な”1泊2食付き”プランからの撤退という点では共通しています。

オーバーツーリズムが問題になるほどインバウンドが活況の京都で、なぜ今、料理の提供を縮小する動きが広がっているのでしょうか。その背景には、外国人観光客のリアルな食の好みと期待のミスマッチがありました。

「想像していた日本食と全然違う」外国人観光客の正直な本音

東洋経済オンラインの記事によると、京都市内の4軒の旅館への取材で、外国人観光客の「想像していた日本食と違う」という本音が明らかになりました。

ある老舗料理旅館Aは、昨年の夏から夕食の提供をやめ、食事は朝食のみに切り替えました。この旅館ではインバウンド宿泊需要が非常に高く、客の9割以上が外国人観光客とのこと。しかし、食事つきプランの需要はほとんどなく、料理長の定年退職を機に料理提供の縮小に踏み切ったのです。

この背景にあるのは、外国人観光客の「日本食」に対する認識と現実のギャップでした。多くの外国人観光客はSNSや観光情報誌で見た「日本食」を楽しみに来日します。しかし、そこで紹介されているのは霜降り肉が輝くすき焼きや、熱気あふれるラーメンなどの高カロリーな料理。一方、旅館で提供される豆腐や煮物など素朴な味わいの日本食とは大きく異なっているのです。

外国人観光客の期待と現実のギャップがもたらす問題

外国人観光客は最初、「日本の文化を体験したい」という思いから2食付きのプランを予約して訪れることが多いようです。しかし、実際に食べてみると思い描いていた味との違いに気づき、「明日からは出さないでくれ」とキャンセルするケースが続出していました。

取材によると、ある旅館で実際に食べ残された朝食では、豆腐は1片だけ欠けていたり、歯形の付いたしいたけやふき、にんじんなどが手つかずのまま残されていたといいます。旅館の経営者は「ほとんどすべての食事を残し、ファストフード店の朝食メニューやコンビニのサンドイッチなどを購入して食べている姿をよく見かける」と証言しています。

食事のキャンセルは宿泊施設にとって大きな負担となります。食材を用意してもキャンセルされる、キャンセルを断ると「食べていないのになぜお金を払わないといけないのか」と詰められる、言葉の壁もあって意思疎通が難しい、返金の手続きが煩雑など、多くの問題が生じていたのです。

各旅館の柔軟な対応策

こうした状況に対応するため、京都の旅館ではさまざまな工夫が生まれています。

  1. 朝食のみの提供:夕食の提供をやめ、朝食のみを提供するスタイルに切り替える
  2. 飲食店の予約代行サービス:ある旅館Bでは、仕出し弁当付きのプランをやめ、代わりに飲食店の予約代行を始めました。日本語も英語も達者な日本人スタッフが間に立つことで、飲食店も安心して予約を受け入れられますし、宿泊客からも好評を得ています。
  3. 完全素泊まりへの転換:旅館Cのように、思い切って素泊まりのみのプランに切り替え、滞在中のおもてなしに特化するケースもあります。
  4. 人気メニューへの転換:旅館Dでは、提供する食事メニューにすき焼きやしゃぶしゃぶを加えたところ、大変な人気となりました。外国人観光客が予約をとりにくい人気店の料理を、宿で簡単に楽しめるというメリットが支持されたのです。

インバウンド依存と今後の展望

京都では外国資本の宿泊施設も増えており、外国人向けの手頃な価格と言葉の壁がない環境が整いつつあります。そうした中で、顧客のニーズに合わせてサービスを変化させる必要性は理解できますが、外国人に照準を絞ったサービスにはリスクもあります。

コロナ禍のようなパンデミックや国際問題などで、いつインバウンド需要が失速するかわからないからです。インバウンドの盛り上がりとは裏腹に、京都の老舗旅館は難しいかじ取りを迫られているのが現状です。

京都の和を体験できる新しいスタイルの宿泊施設も

一方で、訪日外国人向けに「和」を堪能できる工夫をした宿泊施設も京都には多数存在します。「京町家 楽遊 堀川五条」のような京町家旅館は、トリップアドバイザーの「外国人に人気の旅館ランキング」で1位を獲得した実績もあります。

この旅館では町家の伝統的な建築様式をそのまま楽しんでもらうため、客室の設備を最小限に抑えてシンプルにしています。また、チェックインには最低30分をかけ、ゲストが何をしたいのかをヒアリングして個々のニーズに合った情報を提供するなど、きめ細かなサービスが好評を得ています。

外国人観光客が求める「本当の日本体験」とは

京都が外国人観光客に人気の理由として、世界文化遺産の多さや特別な文化・自然風景、和食の味わい、伝統的なお祭りや行事の体験、多様なお土産などが挙げられます。特に、伏見稲荷大社や清水寺、金閣寺などは外国人に非常に人気の高い観光スポットです。

しかし、「日本体験」への期待と現実にはギャップがあり、特に食文化においてその傾向が顕著です。旅館の伝統的な日本食と、SNSで見る華やかな日本食のイメージの間には大きな違いがあります。

まとめ:変化する「おもてなし」のカタチ

京都の旅館における「1泊2食付き」プランからの撤退は、単なるサービス縮小ではなく、外国人観光客のニーズに合わせた柔軟な対応と言えるでしょう。人手不足や料理人の高齢化という構造的問題もありますが、それ以上に重要なのは、「おもてなし」のあり方そのものを再考する動きかもしれません。

日本の伝統的な「おもてなし」と外国人観光客が求める「体験」の間にある溝を埋めるため、各宿泊施設は創意工夫を続けています。飲食店の予約代行やメニューの見直しなど、柔軟な対応策は今後も広がっていくでしょう。

旅館の食事提供の変化は、京都のインバウンド観光の一側面を表していますが、同時に日本の「おもてなし文化」がグローバル化の中でどう進化していくかを示す興味深い現象でもあります。

参考情報

東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/872444
やまとごころ.jp http://www.yamatogokoro.jp/
BIGLOBE旅行 https://travel.biglobe.ne.jp/hotel/theme/japaneseculture/pref26/

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